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悠人が南波さんとくっつくようにして立ち、画面に向かい始めた。視聴者コメントとしては、悠人のファンがいて、本物だよねとか、嬉しいという文字があった。俺が声だけ出たときは、悠人のように、イケメンとか、可愛いとか書かれていなかった。
その後で、ナツキ、どこ?とか、いるの?とか、身体は大丈夫?など、健康を心配されるものが流れた。それはTDDに寄せられるコメントと似ていた。俺がコンサート前から痩せ続けているということを、植本さんのブログでイジられたことがきっかけだ。このままでは危ないとまで書かれて、俺の割れた腹筋の写真が載せられて、それはナツキの腹筋ではなくて、別の誰かの写真だという反応があった。それはそれで面白かった。
俺はSNSをしていない。TDDのSNSに長谷部さんが書いた、ナツキからのお知らせのみだ。俺は誤解されやすいし、中学時代の荒れていた時の話題が増えてもいけないからだという。その点、悠人は優等生だ。きちんと書くし、写真だって上手に撮って載せている。おばあちゃんと暮らした家での写真なども載せている。時々、羽音さんが登場して、華やかだ。
そんな悠人の姿を見ていると、朝陽が俺のそばに戻ってきた。はあはあと息を吐いている。今も走って来たそうだ。黒崎は向こうをのんびり歩いている。
「夏樹。俺、ちゃんと解除できたぞ!君のおかげだよ。お兄ちゃんからパスワードをもう一回聞き出せたんだ。……どうしたんだよ?背中を丸めて……」
「うっうっ。俺ってダメなんだよーーー。朝陽、俺だって同じなんだよ。画面に出られないんだ……」
「いや、それは違うだろう?君は出たくても、出してくれないんだろう。俺は恥ずかしくて出られないんだ。この通り、度胸がなくてさ……」
「そんなことはないよ。誰だってそうだよ。黒崎さんだって、恥ずかしいから、画面に出ないんだ。ほらね。向こうに行っているだろ。さっきは南波さんが池に落ちたから、咄嗟の判断で出たんだけど、すぐにお義父さんにスマホを渡していたからさ……」
その黒崎が南波さんのテントの前で立ち止まった。まだ組み立てが済んでいない。すると、久弥が来るまでには立てておきたいということで、南波さんと悠人が移動を始めた。
「みんなーー、テントのところに戻るよーー。……こういう呼びかけをしているんだよ」
「ふむふむ。みんなで歩いているっていうわけかーー」
トコトコと、2人が寄り添うようにして歩いて行き、テントのところまで戻った。そして、南波さんが三脚を立ててスマホを置き、定点観測のようにして、自分たちを映した。広角レンズを使っているそうで、たしかに広範囲が映っていると思った。
「へえーー。この位置に置くと、テント全体が映るんだね~」
「うん。放送を始めた頃は分からなくて、だんだんとコツを掴んできた感じだよ。最初は友達に手伝って貰っていたんだ。でも、向こうが忙しくなって、俺一人になってねーー……」
「ん?」
「あ、ごめんね。こうやって誰かといると、思い出したんだ……」
「しばらく会っていない人なの?」
「ううん。この間、飲みに行って来たよ……」
なんだか南波さんが寂しそうな顔をした。これ以上は聞かない方が良いだろうか。さっきまでは悠人の前でテンションが上がっていたのに、急に静かになっている。俺は広がっているテントを前にして、一人でそれを組み立てている南波さんのことを見つめた。すると、彼が恥ずかしそうにし始めた。
「忘れることなんて出来ないよね。あのね、僕の好きだった人なんだよ……。悠人君のことを諦めて、その後で、その人のことを急に意識し始めたんだ……」
「そうだったんだね……。あれ?今の声、入ったんじゃないの?」
「あ、やば!」
「どれどれ……」
その声に反応して、俺のそばで話を聞いていたユーリーが画面を見た。どうしたの?とか書かれているから、聞こえなかったということだろう。
その後で、ナツキ、どこ?とか、いるの?とか、身体は大丈夫?など、健康を心配されるものが流れた。それはTDDに寄せられるコメントと似ていた。俺がコンサート前から痩せ続けているということを、植本さんのブログでイジられたことがきっかけだ。このままでは危ないとまで書かれて、俺の割れた腹筋の写真が載せられて、それはナツキの腹筋ではなくて、別の誰かの写真だという反応があった。それはそれで面白かった。
俺はSNSをしていない。TDDのSNSに長谷部さんが書いた、ナツキからのお知らせのみだ。俺は誤解されやすいし、中学時代の荒れていた時の話題が増えてもいけないからだという。その点、悠人は優等生だ。きちんと書くし、写真だって上手に撮って載せている。おばあちゃんと暮らした家での写真なども載せている。時々、羽音さんが登場して、華やかだ。
そんな悠人の姿を見ていると、朝陽が俺のそばに戻ってきた。はあはあと息を吐いている。今も走って来たそうだ。黒崎は向こうをのんびり歩いている。
「夏樹。俺、ちゃんと解除できたぞ!君のおかげだよ。お兄ちゃんからパスワードをもう一回聞き出せたんだ。……どうしたんだよ?背中を丸めて……」
「うっうっ。俺ってダメなんだよーーー。朝陽、俺だって同じなんだよ。画面に出られないんだ……」
「いや、それは違うだろう?君は出たくても、出してくれないんだろう。俺は恥ずかしくて出られないんだ。この通り、度胸がなくてさ……」
「そんなことはないよ。誰だってそうだよ。黒崎さんだって、恥ずかしいから、画面に出ないんだ。ほらね。向こうに行っているだろ。さっきは南波さんが池に落ちたから、咄嗟の判断で出たんだけど、すぐにお義父さんにスマホを渡していたからさ……」
その黒崎が南波さんのテントの前で立ち止まった。まだ組み立てが済んでいない。すると、久弥が来るまでには立てておきたいということで、南波さんと悠人が移動を始めた。
「みんなーー、テントのところに戻るよーー。……こういう呼びかけをしているんだよ」
「ふむふむ。みんなで歩いているっていうわけかーー」
トコトコと、2人が寄り添うようにして歩いて行き、テントのところまで戻った。そして、南波さんが三脚を立ててスマホを置き、定点観測のようにして、自分たちを映した。広角レンズを使っているそうで、たしかに広範囲が映っていると思った。
「へえーー。この位置に置くと、テント全体が映るんだね~」
「うん。放送を始めた頃は分からなくて、だんだんとコツを掴んできた感じだよ。最初は友達に手伝って貰っていたんだ。でも、向こうが忙しくなって、俺一人になってねーー……」
「ん?」
「あ、ごめんね。こうやって誰かといると、思い出したんだ……」
「しばらく会っていない人なの?」
「ううん。この間、飲みに行って来たよ……」
なんだか南波さんが寂しそうな顔をした。これ以上は聞かない方が良いだろうか。さっきまでは悠人の前でテンションが上がっていたのに、急に静かになっている。俺は広がっているテントを前にして、一人でそれを組み立てている南波さんのことを見つめた。すると、彼が恥ずかしそうにし始めた。
「忘れることなんて出来ないよね。あのね、僕の好きだった人なんだよ……。悠人君のことを諦めて、その後で、その人のことを急に意識し始めたんだ……」
「そうだったんだね……。あれ?今の声、入ったんじゃないの?」
「あ、やば!」
「どれどれ……」
その声に反応して、俺のそばで話を聞いていたユーリーが画面を見た。どうしたの?とか書かれているから、聞こえなかったということだろう。
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