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窓の外を眺めると、ストーブやセキュリティーライトの明かりで庭が照らされていて、けっこう明るい。そんな中で、南波さんのテントもそこにあると、はっきりと分かる。シートの上には二葉が座っていて、早瀬さんが話しかけていた。そして、小瀬さんの従兄弟2名が背中をさすり、飲み物を飲ませている。
「俺達も外に戻ろうか。アンも来るだろ?ユリウスは寝ているから、このままでいいかな……」
「そうだな。ぐっすり寝ている。アンは寒くないかな?」
「そうだと思うんだけど、俺達が外に居たら、一緒に居たがるからさ。あと一時間ぐらいは外に居て、みんなと話していたいよ。晩御飯がまだだし……。でも、こういう時にバーベキューというのもなあ……」
俺達は晩ご飯をどうしようかと悩んだ。そこで、お肉は食べずに、出前を取ることにした。ウナギが良いと思った。ここも配達エリアになっている黒崎が好きな店があるから、そこに頼もうと思った。
「黒崎さん、あんたが電話してくれるの?」
「ああ、そうする。なんだ、俺がするとおかしいのか?」
「ううん。あんたが全員ウナギが好きだっていうことを把握しているところがすごいなって思ったんだ」
「常に情報収集はしてある」
まるで月島さんのようなことを言い、黒崎が出前の電話をかけ始めた。その間に俺達は外に出て、前を歩きながら電話を掛けている黒崎の後ろ姿を眺めた。堂々としていて、何も驚かず、いつも通りだ。こういう人が居てくれて良かったと思う反面、この家で育った彼のことに、少しだけ胸が痛くなった。
「ねえ、お義父さん。拓海さんってどんな人だったの?性格がどんなだったか、聞いたことが無いんだ」
「ああ、そうだったね。心の整理が、やっとついてきたところだ。性格は悪いところもあったし、良いところもあった子だった。悪いところは私に似て、良いところは母親似だ。圭一とは似ていないようで、似ている。晴海とは全く違う。晴海は花が好きだが、拓海は芸術面が苦手な子だったから、圭一のピアノ演奏を聴いても理解できなくて、上達したねと褒めることが精一杯だったそうだ」
「へえーー。そうだったんだね~。何でも出来そうに思っていたんだ。お菓子作りが得意だったって聞いているよ」
「ああ、それはやっていた。ただし、ケーキのデコレーションは写真の見本の通りにいかなくて、ぐしゃぐしゃだった。でも、味は良かったよ」
「写真はあるの?」
「あったはずだ。さて、どこに置いてあったか……」
お義父さんが考え事をしながら歩いたせいか、手元の杖を落としても気づかずにそのまま歩き続けているから教えると、驚いた顔になった。そして、一貴さんが杖を拾い上げて、お義父さんに渡した。またウキウキした顔になっている。
「カズ兄さん、どうしたの?」
「いや、お父さんがとうとうだと思ったら、ちょっとね……」
「ボケたって言いたいの?」
「まあ、そんなところだ。月島君に、お父さんがいつボケてしまうか、見てもらおうと思っている」
「そんなこと、やめろよ~」
「はははは。私なら良いぞ。自分でも聞いておきたい。準備することがある。棺桶に入れて貰いたい物のリストアップや、写真の整理もしておきたい」
「ほら、お義父さんがショックを受けているじゃん!」
「いたたた。叩かないでくれ」
一貴さんのことを叩くと、大げさに痛がられた。去年骨折した場所が痛むのだという。それは足だ。俺が今叩いたのは背中だ。しかも、軽くだった。すると、黒崎が振り向いた。
「夏樹。乱暴するな」
「だって、カズ兄さんがいけないことを言うんだもん」
「やめておけ。その人は可哀想な人だ」
「なんだと?圭一!そっちの方がいけないことだ!」
一貴さんが言い返した。ユーリーの真似をして怒りだしたから、冗談でやっているのだと分かり、おかしくなって笑った。そのユーリーは俺達が戻ってくるのが遅いと心配して、玄関まで迎えに来てくれていた。アンが走って向かっている。俺達もそれに続いて、玄関のドアを開けた。
「俺達も外に戻ろうか。アンも来るだろ?ユリウスは寝ているから、このままでいいかな……」
「そうだな。ぐっすり寝ている。アンは寒くないかな?」
「そうだと思うんだけど、俺達が外に居たら、一緒に居たがるからさ。あと一時間ぐらいは外に居て、みんなと話していたいよ。晩御飯がまだだし……。でも、こういう時にバーベキューというのもなあ……」
俺達は晩ご飯をどうしようかと悩んだ。そこで、お肉は食べずに、出前を取ることにした。ウナギが良いと思った。ここも配達エリアになっている黒崎が好きな店があるから、そこに頼もうと思った。
「黒崎さん、あんたが電話してくれるの?」
「ああ、そうする。なんだ、俺がするとおかしいのか?」
「ううん。あんたが全員ウナギが好きだっていうことを把握しているところがすごいなって思ったんだ」
「常に情報収集はしてある」
まるで月島さんのようなことを言い、黒崎が出前の電話をかけ始めた。その間に俺達は外に出て、前を歩きながら電話を掛けている黒崎の後ろ姿を眺めた。堂々としていて、何も驚かず、いつも通りだ。こういう人が居てくれて良かったと思う反面、この家で育った彼のことに、少しだけ胸が痛くなった。
「ねえ、お義父さん。拓海さんってどんな人だったの?性格がどんなだったか、聞いたことが無いんだ」
「ああ、そうだったね。心の整理が、やっとついてきたところだ。性格は悪いところもあったし、良いところもあった子だった。悪いところは私に似て、良いところは母親似だ。圭一とは似ていないようで、似ている。晴海とは全く違う。晴海は花が好きだが、拓海は芸術面が苦手な子だったから、圭一のピアノ演奏を聴いても理解できなくて、上達したねと褒めることが精一杯だったそうだ」
「へえーー。そうだったんだね~。何でも出来そうに思っていたんだ。お菓子作りが得意だったって聞いているよ」
「ああ、それはやっていた。ただし、ケーキのデコレーションは写真の見本の通りにいかなくて、ぐしゃぐしゃだった。でも、味は良かったよ」
「写真はあるの?」
「あったはずだ。さて、どこに置いてあったか……」
お義父さんが考え事をしながら歩いたせいか、手元の杖を落としても気づかずにそのまま歩き続けているから教えると、驚いた顔になった。そして、一貴さんが杖を拾い上げて、お義父さんに渡した。またウキウキした顔になっている。
「カズ兄さん、どうしたの?」
「いや、お父さんがとうとうだと思ったら、ちょっとね……」
「ボケたって言いたいの?」
「まあ、そんなところだ。月島君に、お父さんがいつボケてしまうか、見てもらおうと思っている」
「そんなこと、やめろよ~」
「はははは。私なら良いぞ。自分でも聞いておきたい。準備することがある。棺桶に入れて貰いたい物のリストアップや、写真の整理もしておきたい」
「ほら、お義父さんがショックを受けているじゃん!」
「いたたた。叩かないでくれ」
一貴さんのことを叩くと、大げさに痛がられた。去年骨折した場所が痛むのだという。それは足だ。俺が今叩いたのは背中だ。しかも、軽くだった。すると、黒崎が振り向いた。
「夏樹。乱暴するな」
「だって、カズ兄さんがいけないことを言うんだもん」
「やめておけ。その人は可哀想な人だ」
「なんだと?圭一!そっちの方がいけないことだ!」
一貴さんが言い返した。ユーリーの真似をして怒りだしたから、冗談でやっているのだと分かり、おかしくなって笑った。そのユーリーは俺達が戻ってくるのが遅いと心配して、玄関まで迎えに来てくれていた。アンが走って向かっている。俺達もそれに続いて、玄関のドアを開けた。
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