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すると、伊吹があくびをしながら起き上がった。話題は小瀬さんのことだ。すっかり親しくなり、連絡先の交換をしてある。伊吹としては、こんなに良い子がいるなら紹介してくれと、小瀬さんの話題を出さなかった高野さんに文句を言いたいそうだ。
きっと、高野さんからすれば、伊吹にこき使われるに決まっているから、後輩を自分と同じ目に遭わせたくなじゃったのだろう。早瀬さんと高野さんも親しいが、小瀬さんの話題は少しだけ出されたことがあったそうだ。そこで、早瀬さんが小瀬さんに、高野さんから恋心を寄せられているのではないかと冷やかさえれていた。
「夏樹。小瀬君は裕也君というんだな。ゆうやではなく……」
「うん。たまに呼び間違えれるそうだよ。琉芯君みたいだよ」
「そうだな。戸羽琉芯。とばね君と呼び間違えられるのか。しかも、書き間違えられて、鳥羽流心という漢字になったこともあるそうだな。しかも、小学校の校長先生が書いた表彰状だったなんて……」
「うん……。可哀想だけど、おかしくて、笑うよね~。うひゃひゃひゃ!」
「我ら兄弟は読みやすい名前の方だと思う。夏樹、特にお前はナツキとしか呼ばれない」
「うん。そうだよね。万理が意外だったよ。男の子だと思った人が居たんだよね。俺達は妹だって分かっているからなんだけど……」
「男3人兄弟だと思ったんだろう。誰だったか……」
「誰だったっけ?もう忘れたよ~」
懐かしいことも思い出したところで、伊吹が悲鳴を上げた。黒崎が2階から降りてきたからだ。こっそりアンにお菓子を食べさせたと分かり、俺は慌てた。黒崎に見つかったら叱られてしまう。アンではない。俺と伊吹がだ。
「わーー!黒崎さん!忍び足で降りてこないで下さい!」
「なんだ、菓子を食わせているのか……。バタークッキーだと?甘い物じゃないか……」
「わーーー!アン、隠せ!」
伊吹がアンのことを抱き上げて、俺のそばに連れて来た。庇ってくれということだろう。アンにとっては昨日に続き、美味しい物を食べられた日になったわけだ。なんだか嬉しそうな顔をしている。
「アン、もうダメだよ。黒崎さんが食べさせないって言うからさ。俺も同じ考えに近いけどさ。たまには食べたいよね。俺達と同じ物をさ……。そこで、君のために、おやつが届いたんだ。良かったね~」
キッチンの床には段ボールを置いてある。その中には、なんと、アンが好きなササミを発売しているメーカーの、ナナちゃんハウスの商品の詰め合わせが入っている。IKUに届いた物だ。俺に渡してくれということで、メーカーさんが送ってくれたそうだ。俺がササミを買い求めている話がSNSでアップされたことがきっかけで話題になったそうで、お礼ということで、プレゼントしてくれた。もちろんお礼状を送るし、何か美味しい物を贈りたいと思っている。
「アン、ナナちゃんハウスの新商品のクッキーだよ!これで俺もクッキーが食べられるよ。なになに?カンテールの個装アップルパイを贈るといいよっていうのか……。君が食べてみたい物なんだろ。そうだよね~」
「夏樹。ペット向けのアップルパイを作って貰うか?カンテールさんが、そう言っていたそうだ」
「マジで?甘くないアップルパイか……」
「カンテールさんが事業を広げたいそうだ。老舗の洋菓子店の社長が交代になって、新しいことにチャレンジする空気が出来たそうだ」
「息子さんのことだよね?」
「ああ、感化されたそうだ。まったく、ユーリーは何を話したのか……」
「いいじゃん~。伊吹お兄ちゃん、実はね……」
この間の話を伊吹にすることにした。ユーリーとお義父さんが夕方に、アンの散歩でカンテールの前を通りかかった。そこで、ユーリーは小さい頃に食べていた洋菓子店のアップルパイやケーキ類が懐かしくなり、お義父さんのことを待たせて、店に入った。そこで、カンテールの前の社長さんと再会し、手と手を取り合い、懐かしんだ。そこで長話をして、ユーリーが日本の大学に入り直そうと思っていることや、もしかしたら黒崎製菓で仕事をするかも知れないと近況を話し、それを聞いた息子さんが刺激を受けて、頑張ってみたいと思ったそうだ。
その息子さんは店内にいて、ユーリーと会ったわけだが、お互いに電気が走るような感じになったことで、親しくなった。俺としては、ユーリーが恋の相手に選んだのでないかと思った。ほんのひとときの相手というのなら、いけないことだ。しかし、交流が広がるのは良いことであり、良いことが起きると良いなと言いながら、俺達は外に出る支度を始めた。
きっと、高野さんからすれば、伊吹にこき使われるに決まっているから、後輩を自分と同じ目に遭わせたくなじゃったのだろう。早瀬さんと高野さんも親しいが、小瀬さんの話題は少しだけ出されたことがあったそうだ。そこで、早瀬さんが小瀬さんに、高野さんから恋心を寄せられているのではないかと冷やかさえれていた。
「夏樹。小瀬君は裕也君というんだな。ゆうやではなく……」
「うん。たまに呼び間違えれるそうだよ。琉芯君みたいだよ」
「そうだな。戸羽琉芯。とばね君と呼び間違えられるのか。しかも、書き間違えられて、鳥羽流心という漢字になったこともあるそうだな。しかも、小学校の校長先生が書いた表彰状だったなんて……」
「うん……。可哀想だけど、おかしくて、笑うよね~。うひゃひゃひゃ!」
「我ら兄弟は読みやすい名前の方だと思う。夏樹、特にお前はナツキとしか呼ばれない」
「うん。そうだよね。万理が意外だったよ。男の子だと思った人が居たんだよね。俺達は妹だって分かっているからなんだけど……」
「男3人兄弟だと思ったんだろう。誰だったか……」
「誰だったっけ?もう忘れたよ~」
懐かしいことも思い出したところで、伊吹が悲鳴を上げた。黒崎が2階から降りてきたからだ。こっそりアンにお菓子を食べさせたと分かり、俺は慌てた。黒崎に見つかったら叱られてしまう。アンではない。俺と伊吹がだ。
「わーー!黒崎さん!忍び足で降りてこないで下さい!」
「なんだ、菓子を食わせているのか……。バタークッキーだと?甘い物じゃないか……」
「わーーー!アン、隠せ!」
伊吹がアンのことを抱き上げて、俺のそばに連れて来た。庇ってくれということだろう。アンにとっては昨日に続き、美味しい物を食べられた日になったわけだ。なんだか嬉しそうな顔をしている。
「アン、もうダメだよ。黒崎さんが食べさせないって言うからさ。俺も同じ考えに近いけどさ。たまには食べたいよね。俺達と同じ物をさ……。そこで、君のために、おやつが届いたんだ。良かったね~」
キッチンの床には段ボールを置いてある。その中には、なんと、アンが好きなササミを発売しているメーカーの、ナナちゃんハウスの商品の詰め合わせが入っている。IKUに届いた物だ。俺に渡してくれということで、メーカーさんが送ってくれたそうだ。俺がササミを買い求めている話がSNSでアップされたことがきっかけで話題になったそうで、お礼ということで、プレゼントしてくれた。もちろんお礼状を送るし、何か美味しい物を贈りたいと思っている。
「アン、ナナちゃんハウスの新商品のクッキーだよ!これで俺もクッキーが食べられるよ。なになに?カンテールの個装アップルパイを贈るといいよっていうのか……。君が食べてみたい物なんだろ。そうだよね~」
「夏樹。ペット向けのアップルパイを作って貰うか?カンテールさんが、そう言っていたそうだ」
「マジで?甘くないアップルパイか……」
「カンテールさんが事業を広げたいそうだ。老舗の洋菓子店の社長が交代になって、新しいことにチャレンジする空気が出来たそうだ」
「息子さんのことだよね?」
「ああ、感化されたそうだ。まったく、ユーリーは何を話したのか……」
「いいじゃん~。伊吹お兄ちゃん、実はね……」
この間の話を伊吹にすることにした。ユーリーとお義父さんが夕方に、アンの散歩でカンテールの前を通りかかった。そこで、ユーリーは小さい頃に食べていた洋菓子店のアップルパイやケーキ類が懐かしくなり、お義父さんのことを待たせて、店に入った。そこで、カンテールの前の社長さんと再会し、手と手を取り合い、懐かしんだ。そこで長話をして、ユーリーが日本の大学に入り直そうと思っていることや、もしかしたら黒崎製菓で仕事をするかも知れないと近況を話し、それを聞いた息子さんが刺激を受けて、頑張ってみたいと思ったそうだ。
その息子さんは店内にいて、ユーリーと会ったわけだが、お互いに電気が走るような感じになったことで、親しくなった。俺としては、ユーリーが恋の相手に選んだのでないかと思った。ほんのひとときの相手というのなら、いけないことだ。しかし、交流が広がるのは良いことであり、良いことが起きると良いなと言いながら、俺達は外に出る支度を始めた。
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