327 / 938
11-10
しおりを挟む
俺に続き、ユーリーもそばに来た。そして、一貴さんのことを見つめて、肩を揺すり始めた。しかし、彼は顔を上げようとしない。
「ねえ、一貴さん。おーーい」
「ああーーー、2人とも……。僕は作戦を失敗したんだ。花木社長がさっきのテレビを観ていたようで、僕にメールを送ってきた。食事の誘いだ。僕のことが好きになったそうだ……」
「良かったじゃん。好きになってもらえて……。あ、もしかして、デートなの?その社長さんって、独身だったっけ?」
「付き合っている人が居るそうだ。友達づきあいをしたいと書いてある……」
「友達づきあいって感じじゃないのかよ?」
「ああ。デートの誘いだと思うんだ。店がそういう感じの店だ。いかにもデートだ」
「ふうん……」
その店の名前を教えて貰った。キセイという夜景が綺麗な店の姉妹店だった。サングリーノというイタリアンレストランだ。久弥に教えて貰ったことがある店だ。IKUの忘年会で誘いが入り行ってみると、高宮さんと2人でビックリしたそうだ。見事にカップルだらけであり、向かい合って座る席が微妙に近くて、カップルが見つめ合えるというコンセプトなんだそうだ。
久弥は高宮さんと微妙な距離感で見つめ合って話して、恥ずかしかったそうだ。2人は仕事仲間であり、友人でもある。だから、距離が近づいて、間違いが起こらないかとヒヤヒヤしたそうだ。それは高宮さんも同じで、ここに連れて来られたら、魔術が掛けられそうだと言ったそうだ。それなら俺は、黒崎と行ってみたいと思った。
「サングリーノは久弥が行ったことがあるんだよ。高宮さんと2人でね。席が微妙に近くて、見つめ合って話すしかないみたいな感じになるんだって……」
「ああ、困ったなあ。テレビでブロッコリー社の味方だって流したから、挑発してきたんだろうか……」
「いつものカズ兄さんなら、ウキウキした顔になるのに、どうしたんだよ?」
「僕は心を入れ替えようかと思っているんだ。こういう事件が起きたことで、ウキウキした顔になる自分を振り返って、これではいけないと思ったんだ。だから、花木社長とは喧嘩をしたくない。できれば、伊吹君とも仲良くして貰いたい」
「なるほど……」
一貴さんが悩んでいることが分かった。ユーリーが隣に座り、背中を撫でてくれている。そして、良い方向に進むと良いねとつぶやいた瞬間、一貴さんに六槍さんから電話が入った。花木社長からの敗北宣言だそうだ。
「え、急にどうしたんだろうね?そんな宣言なんて……」
「六槍君!それは罠だ!……なんだって?伊吹君から食事の誘いが来て、受けたからなのか。そうか……。僕とは敵対しないし、ブロッコリー社とも親交を深めるということなのか……。僕の出る幕ではないのか?ああ、コメンテーターの2人の仲裁は担当するのか。なんだ、伊吹君は僕の助けを必要としていないのか。ああ、いけないと思うけど、嫉妬している。また伊吹君の仕事の妨害をしたくなった……」
「カズ兄さん!やめろよ~~~」
一貴さんが顔を上げて、俺達のことを見つめた。目に力が入っている。島川社長の顔だ。この間見た後はすっかり元の一貴さんに戻り、印象を忘れていた。意地が悪くて狡猾だと言われている人だ。最近は優しくなり、評判が上がってきている。しかし、今の顔は意地悪そうだ。一見、爽やかそうな顔をしているが、目が違う。だから、俺は違いが分かる。
「島川社長になるのはやめたら?」
「ああーーー、しまった!この家の中では普段の僕で居ることになっているのに……。六槍君、僕は元に戻ったよ。分かった。伊吹君の邪魔はしない。コメンテーターの2人には席を用意する。和食の店が良いだろう。酒を飲んで打ち解けて、恨みを残さないようにしよう。ついでに、僕の印象を良くするようにしてくれ。どんなことでもいい。そうか、何か意見が欲しいのか。なら、伊吹君と僕が並んで写っている写真を、SNSにアップしておいてくれ。ああ、しまった。SNSはやめておくんだった。一枚ぐらいならいいだろう?そうか、載せてくれるのか。これでよし……」
一貴さんが電話を切った。そして、どうやら解決に向かいそうだと言った。テレビではずっと動物のコーナーが流れている。なんだか長いと思っていると、ユーリーが、きっとスタジオで喧嘩が続いているのだろうと言い出した。
「やっぱりそう思う?……あ、黒崎さんが帰ってきたよ」
こういう時は黒崎がいると落ち着く。さっきのニュースやコメンテーターの2人の喧嘩のことを話すことにした。すると、窓を開けて待っている俺のことを見た黒崎が笑い、何かあったのだろうと言ってきた。それに頷き、早く入ってきてよと急かしてやった。
「ねえ、一貴さん。おーーい」
「ああーーー、2人とも……。僕は作戦を失敗したんだ。花木社長がさっきのテレビを観ていたようで、僕にメールを送ってきた。食事の誘いだ。僕のことが好きになったそうだ……」
「良かったじゃん。好きになってもらえて……。あ、もしかして、デートなの?その社長さんって、独身だったっけ?」
「付き合っている人が居るそうだ。友達づきあいをしたいと書いてある……」
「友達づきあいって感じじゃないのかよ?」
「ああ。デートの誘いだと思うんだ。店がそういう感じの店だ。いかにもデートだ」
「ふうん……」
その店の名前を教えて貰った。キセイという夜景が綺麗な店の姉妹店だった。サングリーノというイタリアンレストランだ。久弥に教えて貰ったことがある店だ。IKUの忘年会で誘いが入り行ってみると、高宮さんと2人でビックリしたそうだ。見事にカップルだらけであり、向かい合って座る席が微妙に近くて、カップルが見つめ合えるというコンセプトなんだそうだ。
久弥は高宮さんと微妙な距離感で見つめ合って話して、恥ずかしかったそうだ。2人は仕事仲間であり、友人でもある。だから、距離が近づいて、間違いが起こらないかとヒヤヒヤしたそうだ。それは高宮さんも同じで、ここに連れて来られたら、魔術が掛けられそうだと言ったそうだ。それなら俺は、黒崎と行ってみたいと思った。
「サングリーノは久弥が行ったことがあるんだよ。高宮さんと2人でね。席が微妙に近くて、見つめ合って話すしかないみたいな感じになるんだって……」
「ああ、困ったなあ。テレビでブロッコリー社の味方だって流したから、挑発してきたんだろうか……」
「いつものカズ兄さんなら、ウキウキした顔になるのに、どうしたんだよ?」
「僕は心を入れ替えようかと思っているんだ。こういう事件が起きたことで、ウキウキした顔になる自分を振り返って、これではいけないと思ったんだ。だから、花木社長とは喧嘩をしたくない。できれば、伊吹君とも仲良くして貰いたい」
「なるほど……」
一貴さんが悩んでいることが分かった。ユーリーが隣に座り、背中を撫でてくれている。そして、良い方向に進むと良いねとつぶやいた瞬間、一貴さんに六槍さんから電話が入った。花木社長からの敗北宣言だそうだ。
「え、急にどうしたんだろうね?そんな宣言なんて……」
「六槍君!それは罠だ!……なんだって?伊吹君から食事の誘いが来て、受けたからなのか。そうか……。僕とは敵対しないし、ブロッコリー社とも親交を深めるということなのか……。僕の出る幕ではないのか?ああ、コメンテーターの2人の仲裁は担当するのか。なんだ、伊吹君は僕の助けを必要としていないのか。ああ、いけないと思うけど、嫉妬している。また伊吹君の仕事の妨害をしたくなった……」
「カズ兄さん!やめろよ~~~」
一貴さんが顔を上げて、俺達のことを見つめた。目に力が入っている。島川社長の顔だ。この間見た後はすっかり元の一貴さんに戻り、印象を忘れていた。意地が悪くて狡猾だと言われている人だ。最近は優しくなり、評判が上がってきている。しかし、今の顔は意地悪そうだ。一見、爽やかそうな顔をしているが、目が違う。だから、俺は違いが分かる。
「島川社長になるのはやめたら?」
「ああーーー、しまった!この家の中では普段の僕で居ることになっているのに……。六槍君、僕は元に戻ったよ。分かった。伊吹君の邪魔はしない。コメンテーターの2人には席を用意する。和食の店が良いだろう。酒を飲んで打ち解けて、恨みを残さないようにしよう。ついでに、僕の印象を良くするようにしてくれ。どんなことでもいい。そうか、何か意見が欲しいのか。なら、伊吹君と僕が並んで写っている写真を、SNSにアップしておいてくれ。ああ、しまった。SNSはやめておくんだった。一枚ぐらいならいいだろう?そうか、載せてくれるのか。これでよし……」
一貴さんが電話を切った。そして、どうやら解決に向かいそうだと言った。テレビではずっと動物のコーナーが流れている。なんだか長いと思っていると、ユーリーが、きっとスタジオで喧嘩が続いているのだろうと言い出した。
「やっぱりそう思う?……あ、黒崎さんが帰ってきたよ」
こういう時は黒崎がいると落ち着く。さっきのニュースやコメンテーターの2人の喧嘩のことを話すことにした。すると、窓を開けて待っている俺のことを見た黒崎が笑い、何かあったのだろうと言ってきた。それに頷き、早く入ってきてよと急かしてやった。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる