330 / 938
11-13
しおりを挟む
お義父さんの家では、お手伝いさんがご飯を作ってくれている。お義父さんの家の洗濯物もやってくれている。しかし、今日の昼ご飯は俺が用意するということで、山崎さんが手伝ってくれている。ネギを切ったり、食器を用意したりしてくれた。
「山崎さん。休んでいてよ。朝ご飯、大変だったんだろ?」
「そうでもないのよ。一貴さんが手伝うって言ってくれて、一緒にキッチンに立てて面白かったのよ」
「かえって面倒だっただろ~。ふむふむ。昨日のメニュー表はこうなっていたんだね……」
「ええ。見事にお蕎麦ばかり……」
壁には1週間の献立表が貼ってある。みんなの分だ。急に出かけることになった時は翌日にそのメニューにしたり、来客が会ったときなどは出前を取ったり、臨機応変に変わる。冷蔵庫にあるもので作って貰うこともある。そこで、買い物の量が多いことから、宅配で食材を用意している。その方が時間の効率がいいからだそうだ。俺の家では黒崎と2人だから、スーパーに行ったり、宅配を頼んだりと、色々選んでいる。
しかし、今はお義父さんの家の家族数が増えたし、こうして時々俺がキッチンに立ったり、おかずを差し入れすることがあり、そのお返しということで、何か美味しい物を作って届けてくれることもある。そういうわけで、冷蔵庫には食材がぎっしりと詰まっている。食品棚には蕎麦乾麺だらけだ。
今週は一貴さんの好きな物をメインで作るという週だから、献立表は蕎麦ばかりだ。今朝はそうではなかった。ごく普通に、パンと卵料理とサラダとスープだ。水曜日ということで、週の真ん中だから、蕎麦は無しにしたそうだ。そこで、俺が用意することになった。ということで、毎日が蕎麦ばかりだ。
山崎さんが部屋で休んでくると言い、休憩に入った。俺は鰹と昆布で出汁を取り、ほんのりとした匂いを嗅いだ。
「うーーん。良い匂いだなあ。醤油はキシヤマ製麺の出汁醤油だね。良いのが出て良かったなあ。しかも、減塩だから、カズ兄さんが喜んでいたっけ……」
一貴さんはとにかく蕎麦が好きだから、醤油を使うことが多い。そこで、塩分の取り過ぎになっていると、病院で注意されている。ぶっかけ蕎麦が好きだからだ。わりと味の濃いめんゆつだ。そこで、月島さんが新商品をプレゼントしてくれた。キシヤマ製麺で作った出汁醤油だ。塩分を控えめにしてあるが、十分に醤油の味がするのだという。昨日うちで使ったら、とても美味しかった。そこで、今日の昼ご飯でも使うことにした。黒崎も美味しいと言っていた。
「お醤油をどれぐらい入れたら良いかな~。どぼどぼっと……」
味見をしながら味を調整して、めんつゆが出来上がった。後は六槍さんの到着を待って、麺を茹でるだけだ。彼もお蕎麦が好きだから、一貴さんと食の好みが合っている。ただし、六槍さんは温かい蕎麦派で、一貴さんはざるそば派だ。
「それにしても……。カズ兄さんってば、すごいことをするよねえ。久弥と知り合ったばかりの頃に招いた立食パーティーで、ざるそばを食べていたなんて……」
それは今から数年前のパーティーでのことだ。久弥から聞いてある。ディアドロップ時代にプラセルが衣装提供をした関係で、久弥がプラセル主催のパーティーに招かれた。そこで、ゆっくりと一貴さんと会う機会ができたわけだが、周りは立食パーティーらしい食べ物と飲み物を楽しんでいるのに、一貴さんだけが椀を持って箸を使っていたからどうしたのかと思って久弥が近づき、ざるそばを食べていたことが分かったそうだ。
その時、彼のことを、変わった人だと思ったそうだ。しかし、久弥も蕎麦が好きだから意気投合したところ、パーティーの終わり際で壁に押しやられて口説かれてしまい、なんとか断って逃げてきたという。その時の久弥は早瀬さんのことは忘れられず、蔵之介さんと付き合う前だったから、ますますそうなった。
「山崎さん。休んでいてよ。朝ご飯、大変だったんだろ?」
「そうでもないのよ。一貴さんが手伝うって言ってくれて、一緒にキッチンに立てて面白かったのよ」
「かえって面倒だっただろ~。ふむふむ。昨日のメニュー表はこうなっていたんだね……」
「ええ。見事にお蕎麦ばかり……」
壁には1週間の献立表が貼ってある。みんなの分だ。急に出かけることになった時は翌日にそのメニューにしたり、来客が会ったときなどは出前を取ったり、臨機応変に変わる。冷蔵庫にあるもので作って貰うこともある。そこで、買い物の量が多いことから、宅配で食材を用意している。その方が時間の効率がいいからだそうだ。俺の家では黒崎と2人だから、スーパーに行ったり、宅配を頼んだりと、色々選んでいる。
しかし、今はお義父さんの家の家族数が増えたし、こうして時々俺がキッチンに立ったり、おかずを差し入れすることがあり、そのお返しということで、何か美味しい物を作って届けてくれることもある。そういうわけで、冷蔵庫には食材がぎっしりと詰まっている。食品棚には蕎麦乾麺だらけだ。
今週は一貴さんの好きな物をメインで作るという週だから、献立表は蕎麦ばかりだ。今朝はそうではなかった。ごく普通に、パンと卵料理とサラダとスープだ。水曜日ということで、週の真ん中だから、蕎麦は無しにしたそうだ。そこで、俺が用意することになった。ということで、毎日が蕎麦ばかりだ。
山崎さんが部屋で休んでくると言い、休憩に入った。俺は鰹と昆布で出汁を取り、ほんのりとした匂いを嗅いだ。
「うーーん。良い匂いだなあ。醤油はキシヤマ製麺の出汁醤油だね。良いのが出て良かったなあ。しかも、減塩だから、カズ兄さんが喜んでいたっけ……」
一貴さんはとにかく蕎麦が好きだから、醤油を使うことが多い。そこで、塩分の取り過ぎになっていると、病院で注意されている。ぶっかけ蕎麦が好きだからだ。わりと味の濃いめんゆつだ。そこで、月島さんが新商品をプレゼントしてくれた。キシヤマ製麺で作った出汁醤油だ。塩分を控えめにしてあるが、十分に醤油の味がするのだという。昨日うちで使ったら、とても美味しかった。そこで、今日の昼ご飯でも使うことにした。黒崎も美味しいと言っていた。
「お醤油をどれぐらい入れたら良いかな~。どぼどぼっと……」
味見をしながら味を調整して、めんつゆが出来上がった。後は六槍さんの到着を待って、麺を茹でるだけだ。彼もお蕎麦が好きだから、一貴さんと食の好みが合っている。ただし、六槍さんは温かい蕎麦派で、一貴さんはざるそば派だ。
「それにしても……。カズ兄さんってば、すごいことをするよねえ。久弥と知り合ったばかりの頃に招いた立食パーティーで、ざるそばを食べていたなんて……」
それは今から数年前のパーティーでのことだ。久弥から聞いてある。ディアドロップ時代にプラセルが衣装提供をした関係で、久弥がプラセル主催のパーティーに招かれた。そこで、ゆっくりと一貴さんと会う機会ができたわけだが、周りは立食パーティーらしい食べ物と飲み物を楽しんでいるのに、一貴さんだけが椀を持って箸を使っていたからどうしたのかと思って久弥が近づき、ざるそばを食べていたことが分かったそうだ。
その時、彼のことを、変わった人だと思ったそうだ。しかし、久弥も蕎麦が好きだから意気投合したところ、パーティーの終わり際で壁に押しやられて口説かれてしまい、なんとか断って逃げてきたという。その時の久弥は早瀬さんのことは忘れられず、蔵之介さんと付き合う前だったから、ますますそうなった。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる