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そこで、一貴さんとしては、以前からライバル心を持ちながらも素敵だなと思っていた早瀨さんとの関係を噂で聞き、久弥と早瀬さんの両方のことでモヤモヤしていたそうだ。今でも2人のことが忘れられず、隙あらばと口説こうとしているわけだ。藤沢がいるのに。そんな一貴さんのことを理解してそばに居てくれているのが六槍さんだ。
「いい人だよねえ。伊吹お兄ちゃんの仕事の妨害をしたって言っても、結局は良い方に向かったんだし……。そういう気がしたからそうしたっていうのって、良い勘だよね。いいなあ。俺にもそういう勘が欲しいなあ」
六槍さんの勘というものが俺にも欲しい。できれば、黒崎が持ち帰る“デートの誘いのメッセージカード”の所持に気づく勘は欲しくない。もっと他の勘がいい。決して、黒崎の浮気を疑いたくなるような、ほんの小さな異変など、気づきたくない。
「黒崎さんってばさ~。浮気をするわけがないだろうって言い切るんだもんな~。それに、もうモテないって……。そんなことはないと思うんだ。かっこいいもん。病院でもさ~。チラチラと視線を向けられててさ~」
俺は切ってある具材に目を向けた。かまぼこが美味しそうだ。紅白の彩りが、お蕎麦に映えるだろう。早くも気分は年末だ。年越しそばは一貴さんのアイデアで、キシヤマ製麺が作った冷凍の蕎麦を使うことにした。月島さんがうどんばかり食べる人だから、キシヤマ味噌の部長さん達は、蕎麦の方を食べているのだという。どちらも推しの商品だそうだ。
「月島さんって、今日はどうしているのかな……。アレクシスさんが来てくれる日に会いに来てもらいたいな。二葉がそう言うし。一緒に居てもらいたいって……。ユーリーには、月島さんと付き合えって言うだろなあ。うひゃひゃひゃ」
月島さんがユーリーのことを諦めようとしないから、黒崎が気を利かせて、2人を食事に出させようとしている。アレクシスさんの希望もある。ユーリーが一目で気に入った時は、ほとんどが友達コースになるのだという。そして、相手には恋人ができて、ユーリーとしては寂しくなるのが定番だそうだ。
その点、月島さんには一目惚れしていない。相手の方からアタックしてきたことは経験があるそうだが、そういうパターンの時、ユーリーの好みのタイプでは無いそうだ。彼の好みは南波さんだ。ずっと好きだった人が似ているのだと知ったところだ。可愛いタイプだ。それなのに、ユーリーはその反対に、しっかりした感じの男性から好まれるという。可愛いと言われているそうだ。
「“僕は可愛いと言いたい方で、可愛いなんて言われたくない。僕は口説く方が好きだ。口説かれたくない”って……。うひゃひゃひゃ。月島さんから、そういう言い方が可愛いよって言われて、困っていたなあ。あ、ユーリー、聞こえたかな?」
「ああ、聞こえたよ。僕はハンターなんだ。自分の方から行きたいタイプだ。男らしいだろ?」
「そうだね。そう思うよ。でも、月島さんのこと、悪くないって思っているだろ?」
「ああ、いい人だとは思っているよ。社員から好かれている人だという噂は聞いた。一貴さんもそうだ。でも、彼の場合は業界で嫌われている。月島君は好かれている。癖があるけど、ないみたいに感じる」
「そうだよね。優しいもん。悠人をキシヤマ味噌のコマーシャルに起用したいって言って、細かいことを決めたのは、月島さんなんだそうだよ。悠人のロックな部分も出した上で、どの年代の人も見ていて楽しいようなコマーシャルをって……。そのおかげで、小学生の子が、俺達のことを知っているんだ」
「そうだな。君も出たら良かったのに。圭一がコマーシャルには出さないって決めていたからなんだな。番組も、音楽専門チャンネルの植本さんの司会の分しか出さないって決めていたんだって聞いたぞ」
「うん。最初の頃だよ。今なんか、そうでもないんだよ。俺が熊の着ぐるみに驚いて逃げるシーンなんか、面白い番組に使われているもん。俺に来るのって、カレーうどんの早食いしませんかとか、梅干しを食べ分けるコーナーとか、リアクションを期待される番組なんだ」
「君は百面相だからな」
ユーリーが笑った。優しそうで賢そうな見かけをしていると思った。実際そうなのだが、一緒に過ごしているうちに、結構我儘で、言いたいことを言うタイプなのだと知った。しかも、高圧的なところもあるだなんて、今笑っている彼からは想像も出来ない。楽しいことが大好きだ。そんな顔をしている。
「いい人だよねえ。伊吹お兄ちゃんの仕事の妨害をしたって言っても、結局は良い方に向かったんだし……。そういう気がしたからそうしたっていうのって、良い勘だよね。いいなあ。俺にもそういう勘が欲しいなあ」
六槍さんの勘というものが俺にも欲しい。できれば、黒崎が持ち帰る“デートの誘いのメッセージカード”の所持に気づく勘は欲しくない。もっと他の勘がいい。決して、黒崎の浮気を疑いたくなるような、ほんの小さな異変など、気づきたくない。
「黒崎さんってばさ~。浮気をするわけがないだろうって言い切るんだもんな~。それに、もうモテないって……。そんなことはないと思うんだ。かっこいいもん。病院でもさ~。チラチラと視線を向けられててさ~」
俺は切ってある具材に目を向けた。かまぼこが美味しそうだ。紅白の彩りが、お蕎麦に映えるだろう。早くも気分は年末だ。年越しそばは一貴さんのアイデアで、キシヤマ製麺が作った冷凍の蕎麦を使うことにした。月島さんがうどんばかり食べる人だから、キシヤマ味噌の部長さん達は、蕎麦の方を食べているのだという。どちらも推しの商品だそうだ。
「月島さんって、今日はどうしているのかな……。アレクシスさんが来てくれる日に会いに来てもらいたいな。二葉がそう言うし。一緒に居てもらいたいって……。ユーリーには、月島さんと付き合えって言うだろなあ。うひゃひゃひゃ」
月島さんがユーリーのことを諦めようとしないから、黒崎が気を利かせて、2人を食事に出させようとしている。アレクシスさんの希望もある。ユーリーが一目で気に入った時は、ほとんどが友達コースになるのだという。そして、相手には恋人ができて、ユーリーとしては寂しくなるのが定番だそうだ。
その点、月島さんには一目惚れしていない。相手の方からアタックしてきたことは経験があるそうだが、そういうパターンの時、ユーリーの好みのタイプでは無いそうだ。彼の好みは南波さんだ。ずっと好きだった人が似ているのだと知ったところだ。可愛いタイプだ。それなのに、ユーリーはその反対に、しっかりした感じの男性から好まれるという。可愛いと言われているそうだ。
「“僕は可愛いと言いたい方で、可愛いなんて言われたくない。僕は口説く方が好きだ。口説かれたくない”って……。うひゃひゃひゃ。月島さんから、そういう言い方が可愛いよって言われて、困っていたなあ。あ、ユーリー、聞こえたかな?」
「ああ、聞こえたよ。僕はハンターなんだ。自分の方から行きたいタイプだ。男らしいだろ?」
「そうだね。そう思うよ。でも、月島さんのこと、悪くないって思っているだろ?」
「ああ、いい人だとは思っているよ。社員から好かれている人だという噂は聞いた。一貴さんもそうだ。でも、彼の場合は業界で嫌われている。月島君は好かれている。癖があるけど、ないみたいに感じる」
「そうだよね。優しいもん。悠人をキシヤマ味噌のコマーシャルに起用したいって言って、細かいことを決めたのは、月島さんなんだそうだよ。悠人のロックな部分も出した上で、どの年代の人も見ていて楽しいようなコマーシャルをって……。そのおかげで、小学生の子が、俺達のことを知っているんだ」
「そうだな。君も出たら良かったのに。圭一がコマーシャルには出さないって決めていたからなんだな。番組も、音楽専門チャンネルの植本さんの司会の分しか出さないって決めていたんだって聞いたぞ」
「うん。最初の頃だよ。今なんか、そうでもないんだよ。俺が熊の着ぐるみに驚いて逃げるシーンなんか、面白い番組に使われているもん。俺に来るのって、カレーうどんの早食いしませんかとか、梅干しを食べ分けるコーナーとか、リアクションを期待される番組なんだ」
「君は百面相だからな」
ユーリーが笑った。優しそうで賢そうな見かけをしていると思った。実際そうなのだが、一緒に過ごしているうちに、結構我儘で、言いたいことを言うタイプなのだと知った。しかも、高圧的なところもあるだなんて、今笑っている彼からは想像も出来ない。楽しいことが大好きだ。そんな顔をしている。
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