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俺が黒崎の方を見ると、ホッとしていた。目が光っていないからだという。そして、二人で月島さんの目を見てみると、普通に戻っていた。いや、そうでもなかった。また光っている。
「黒崎さんもそう見えるんだよね。だったら気のせいじゃないね……」
「こういう体験は今まで無かったわけじゃないが、こんなに長い時間は無かった。おい、一貴が変だぞ……」
「どうしたの?」
「倒れそうだ……」
黒崎が椅子から立ち上がって一貴さんのそばに行こうとしたその時だ。一番近くに居た聖河さんが彼の身体を支えた。たった今、一貴さんが意識を失うようにして倒れ込んでしまったからだ。そして、聖河さんが彼の身体を床に寝かせて、心音を聞き始めた。
「カズ兄さん!あ、いけない。静かにしていないと……」
「心音はある。脈もある。でも、意識がない……。救急車を呼んでくれないか?」
「分かった!」
お酒は一切飲んでいないから、酔っ払って寝ているわけではないと分かっている。黒崎がスマホを操作して、救急車の手配を始めた。患者の年齢は46歳で、いきなり倒れたということや、聖加世病院に勤務している医師が同席中で、救急車の要請を指示されたことを伝え始めた。吐いたり苦しがっていないこともだ。顔色は悪くて、青白くなっていることも伝えていた。
「カズ兄さん!俺達、ここに居るからね!救急車を呼んでいるよ!」
「夏樹。お前は二葉と一緒に門の前に行ってくれ。ここに救急車の案内をしてくれ。いや、やめておこう。俺が行く。お前達はここに居ろ。何かあったら電話をしてこい」
「分かった!」
黒崎が山崎さんにお義父さんをリビングに呼んでくれと頼み始めた。そして、玄関のドアを開ける音がした。アンは俺達の足下に居る。黒崎がお前は夏樹と一緒に居ろと言ったからだ。そして、アンが床で寝ている一貴さんの頬に鼻を寄せて、クーンと鳴いた。それを見て、胸が痛くなった。
数年前に俺が倒れたときも、アンがこうやって鳴いていた。それはまだ都内に来る前に住んでいたマンションの庭でのことだ。あの時は俺とアンだけだったから、アンは必死に黒崎のことを呼んでいた。そして、俺がこの家の庭で怪我をしたときも、遠くに居た山崎さんのことを見つけて吠えて知らせてくれた。
「アン、今日はみんながいるからね。ユリウスは部屋で寝ているんだよ。大丈夫だよ。みんながいるんだ。あ、お義父さん……。AEDを持ってきてくれたの?」
「ああ。要らない方が良いんだが……」
「飲んでいる薬は分かりますか?」
聖河さんからの質問に、お義父さんが頷いた。そして、いくつかの睡眠薬の名前を伝えた。すると、二葉が立ち上がった。一貴さんの部屋から薬手帳を持ってくるという。搬送先は聖加世病院になると思うからどんな薬を出しているのかは記録に残されているが、一貴さんのことだから、何か薬を飲んだかも知れないと、二葉が言い出した。しかし、市販薬だと薬手帳には記録がないと聖河さんが言い、そこで、ああそうかと、二葉が気がついた。彼女も俺も慌てている。
「カズ兄さん、最近は風邪を引いていないよね?」
「うん。でも、何か飲んだかも知れないよ。昔、インフルエンザにかかったときの薬を保管しているんだよ。飲み残しってやつ。その薬を飲むと身体が元気になるんだって……。だから、辛いときに飲もうって思っているんだって言っていたんだ……」
「え……」
「本人が俺にそう言っていたんだ。聖河さん、そういうのってあるのかな?」
「いや……。別の薬じゃないか……。彼は何を飲んでいるんだ……」
俺達は静まり返った。そして、自然と月島さんの方へ振り向いた。何か分かるかと思ってのことだ。みんなそうだと思う。そして、月島さんが頷いた。
「これは医学の領域だ。ああ、分かった。何か分からないか見てみる。……僕が見えるのは、何もない。危ない薬を飲んだとかいうこともない。ひどく空腹だと出ている。脳に栄養が行っていないんじゃないか……」
「それって、バカヤロウってこと?あ、ごめん。本気で言ったんだ……」
ひどく空腹かと言いながら、聖河さんが頷いた。一貴さんは昼ご飯を食べているのを、この目で見た。ただし、栗きんとんやかまぼこを残していた。他にもあった。そこで、お義父さんが言った。朝ご飯は食べていなかったのだと。昨日の夜は食欲が無いと言って、トーストだけ食べていたそうだ。
「忙しかったのかな?新しいデザインが浮かんだとかで、没頭していたとか……」
「目を覚ましそうで、そうで無いのか……」
お義父さんが一貴さんのそばに座った。そして、聖河さんが立ち上がった。救急車のサイレンが聞こえてきたそうだ。その耳の良さに驚き、やってきた救急車を窓から見て、なんとか助かって欲しいと願った。
「黒崎さんもそう見えるんだよね。だったら気のせいじゃないね……」
「こういう体験は今まで無かったわけじゃないが、こんなに長い時間は無かった。おい、一貴が変だぞ……」
「どうしたの?」
「倒れそうだ……」
黒崎が椅子から立ち上がって一貴さんのそばに行こうとしたその時だ。一番近くに居た聖河さんが彼の身体を支えた。たった今、一貴さんが意識を失うようにして倒れ込んでしまったからだ。そして、聖河さんが彼の身体を床に寝かせて、心音を聞き始めた。
「カズ兄さん!あ、いけない。静かにしていないと……」
「心音はある。脈もある。でも、意識がない……。救急車を呼んでくれないか?」
「分かった!」
お酒は一切飲んでいないから、酔っ払って寝ているわけではないと分かっている。黒崎がスマホを操作して、救急車の手配を始めた。患者の年齢は46歳で、いきなり倒れたということや、聖加世病院に勤務している医師が同席中で、救急車の要請を指示されたことを伝え始めた。吐いたり苦しがっていないこともだ。顔色は悪くて、青白くなっていることも伝えていた。
「カズ兄さん!俺達、ここに居るからね!救急車を呼んでいるよ!」
「夏樹。お前は二葉と一緒に門の前に行ってくれ。ここに救急車の案内をしてくれ。いや、やめておこう。俺が行く。お前達はここに居ろ。何かあったら電話をしてこい」
「分かった!」
黒崎が山崎さんにお義父さんをリビングに呼んでくれと頼み始めた。そして、玄関のドアを開ける音がした。アンは俺達の足下に居る。黒崎がお前は夏樹と一緒に居ろと言ったからだ。そして、アンが床で寝ている一貴さんの頬に鼻を寄せて、クーンと鳴いた。それを見て、胸が痛くなった。
数年前に俺が倒れたときも、アンがこうやって鳴いていた。それはまだ都内に来る前に住んでいたマンションの庭でのことだ。あの時は俺とアンだけだったから、アンは必死に黒崎のことを呼んでいた。そして、俺がこの家の庭で怪我をしたときも、遠くに居た山崎さんのことを見つけて吠えて知らせてくれた。
「アン、今日はみんながいるからね。ユリウスは部屋で寝ているんだよ。大丈夫だよ。みんながいるんだ。あ、お義父さん……。AEDを持ってきてくれたの?」
「ああ。要らない方が良いんだが……」
「飲んでいる薬は分かりますか?」
聖河さんからの質問に、お義父さんが頷いた。そして、いくつかの睡眠薬の名前を伝えた。すると、二葉が立ち上がった。一貴さんの部屋から薬手帳を持ってくるという。搬送先は聖加世病院になると思うからどんな薬を出しているのかは記録に残されているが、一貴さんのことだから、何か薬を飲んだかも知れないと、二葉が言い出した。しかし、市販薬だと薬手帳には記録がないと聖河さんが言い、そこで、ああそうかと、二葉が気がついた。彼女も俺も慌てている。
「カズ兄さん、最近は風邪を引いていないよね?」
「うん。でも、何か飲んだかも知れないよ。昔、インフルエンザにかかったときの薬を保管しているんだよ。飲み残しってやつ。その薬を飲むと身体が元気になるんだって……。だから、辛いときに飲もうって思っているんだって言っていたんだ……」
「え……」
「本人が俺にそう言っていたんだ。聖河さん、そういうのってあるのかな?」
「いや……。別の薬じゃないか……。彼は何を飲んでいるんだ……」
俺達は静まり返った。そして、自然と月島さんの方へ振り向いた。何か分かるかと思ってのことだ。みんなそうだと思う。そして、月島さんが頷いた。
「これは医学の領域だ。ああ、分かった。何か分からないか見てみる。……僕が見えるのは、何もない。危ない薬を飲んだとかいうこともない。ひどく空腹だと出ている。脳に栄養が行っていないんじゃないか……」
「それって、バカヤロウってこと?あ、ごめん。本気で言ったんだ……」
ひどく空腹かと言いながら、聖河さんが頷いた。一貴さんは昼ご飯を食べているのを、この目で見た。ただし、栗きんとんやかまぼこを残していた。他にもあった。そこで、お義父さんが言った。朝ご飯は食べていなかったのだと。昨日の夜は食欲が無いと言って、トーストだけ食べていたそうだ。
「忙しかったのかな?新しいデザインが浮かんだとかで、没頭していたとか……」
「目を覚ましそうで、そうで無いのか……」
お義父さんが一貴さんのそばに座った。そして、聖河さんが立ち上がった。救急車のサイレンが聞こえてきたそうだ。その耳の良さに驚き、やってきた救急車を窓から見て、なんとか助かって欲しいと願った。
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