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ママの家があるマンションを出たところだ。ここから待ち合わせ場所の書店の駐車場までは近い。ユーリーと二人で並んで歩き、黒崎がいないということが懐かしくなった。今の家に引っ越してきたばかりの時は、黒崎は俺を通学以外では一人で歩かせず、そして、必ず黒崎が付いていないと外を歩くことを禁止されていた。
今ではそうではなくなり、お義父さんと近所なら歩いて良いし、今日のような家から離れた場所でも、ユーリーが一緒だから歩ける。黒崎の進歩だと思った。いや、悠人と出かけたときもあったから、決して過保護では無いのか。いずれにしても、どこに行くのにも黒崎が付いてきていて、ママの家に行くのには以前は必ず彼がいたのに。
今、ユーリーとその話を始めたところだ。黒崎が、まるで俺がいなくなると思っていたのだということと、今から思えば、過保護も悪くなかったということを。
「それでね。黒崎さんさ~、俺がいなくなると思って、去年の春までは、カズ兄さんとも二人で歩かせなかったんだよ。危険だって言ってさ。カズ兄さんのことは信頼しているんだけど、二人とも誘拐されそうだって言うんだ」
「それは言えている。悠人君との3人出かけた時があっただろう。君が海外観光客の人達にバスに乗ろうって、手を引かれたときがあったそうじゃないか。君が自分たちと同じツアー客だと思われて、さあ、行くよって……」
「そうなんだよ。それ、浅草だよ。俺さ、浅草で買った和風の柄のパーカーを着ていたから、同じように浅草で売っているパーカーを着ている団体の人に、自分たちの仲間だと思われてさ~。優しい人達なんだと思うよ。異国の地でさ、助け合うっていのはさ。それで、俺、英語で日本人ですって説明しても通じなくて、カズ兄さんが説明してくれたんだ。悠人もだよ。そこで誤解が解けて、ばいばいって手を振ったんだ……」
「はははは。君、イギリス系のおばあさんがいるもんな。夏山マデリンさん。元気なのか?」
「うん。元気だよ。おじいちゃんと一緒に、山に近い家で暮らしているよ」
話題に出て、会いたくなってしまった。母方の夏山家は中山の両親が暮らす同じ県にあり、昔は海の近くに住んでいた。しかし、曾お祖父さんの家を建て直して、今は山の近くで暮らしている。前に暮らしていたその海の近くの家は、偶然にも、黒崎の母方の叔父さんの家があった。黒崎が高校3年生の時に、沙耶さんと怜さんとで2週間滞在し、マデリンから英会話を習ったという思い出がある。
マデリンはお義父さんがオーストラリアで会って恋に落ちた相手であり、プロポーズをされたが断られて、お互いに別の人と結婚した。お義父さんがマデリンと交流が続いていて、黒崎の英会話教師になってくれと頼み、黒崎が海の近くの家に行ったわけだ。
その家の近くにはマデリンと祖父、母の妹の沙羅叔母さんが暮らしていて、実は俺は3歳の時に預けられている。万理が入院していて、退院後も看病が必要であり、心臓が悪かった俺に何かあってはいけないとマデリンが言って、俺は彼女達の家で2ヶ月暮らした。そこで、偶然にも俺は黒崎と出会い、何度か遊んで貰ったという思い出がある。つまり、レストランで会ったときは再会だったということだ。
俺が黒崎と出会った頃は全然気がつかなくて、付き合い始めたもそうだった。そして、黒崎と俺がそのことに気づいた頃に、お義父さんが俺のことを調べ始めた。しかし、俺がマデリンの孫だということを知ったのは交際を認めた後で、黒崎が、ああ、言うのを忘れていたと言い、お義父さんに伝えたことで発覚した。
そこで、お義父さんは気まずい思いをしたそうだ。かつて自分も息子も世話になった人の孫を調べるということをしてしまったことに対してだ。そして、お義父さんがマデリンに連絡を取り、黙っていたなんて酷いと言ったそうだ。マデリンとしては、もう言ってあるのだと思っていたそうだ。それと、黒崎と交流が断絶している感じだったから、あなたが悪いんじゃないかということまで言われて、何も言い返せなかったそうだ。
今ではそうではなくなり、お義父さんと近所なら歩いて良いし、今日のような家から離れた場所でも、ユーリーが一緒だから歩ける。黒崎の進歩だと思った。いや、悠人と出かけたときもあったから、決して過保護では無いのか。いずれにしても、どこに行くのにも黒崎が付いてきていて、ママの家に行くのには以前は必ず彼がいたのに。
今、ユーリーとその話を始めたところだ。黒崎が、まるで俺がいなくなると思っていたのだということと、今から思えば、過保護も悪くなかったということを。
「それでね。黒崎さんさ~、俺がいなくなると思って、去年の春までは、カズ兄さんとも二人で歩かせなかったんだよ。危険だって言ってさ。カズ兄さんのことは信頼しているんだけど、二人とも誘拐されそうだって言うんだ」
「それは言えている。悠人君との3人出かけた時があっただろう。君が海外観光客の人達にバスに乗ろうって、手を引かれたときがあったそうじゃないか。君が自分たちと同じツアー客だと思われて、さあ、行くよって……」
「そうなんだよ。それ、浅草だよ。俺さ、浅草で買った和風の柄のパーカーを着ていたから、同じように浅草で売っているパーカーを着ている団体の人に、自分たちの仲間だと思われてさ~。優しい人達なんだと思うよ。異国の地でさ、助け合うっていのはさ。それで、俺、英語で日本人ですって説明しても通じなくて、カズ兄さんが説明してくれたんだ。悠人もだよ。そこで誤解が解けて、ばいばいって手を振ったんだ……」
「はははは。君、イギリス系のおばあさんがいるもんな。夏山マデリンさん。元気なのか?」
「うん。元気だよ。おじいちゃんと一緒に、山に近い家で暮らしているよ」
話題に出て、会いたくなってしまった。母方の夏山家は中山の両親が暮らす同じ県にあり、昔は海の近くに住んでいた。しかし、曾お祖父さんの家を建て直して、今は山の近くで暮らしている。前に暮らしていたその海の近くの家は、偶然にも、黒崎の母方の叔父さんの家があった。黒崎が高校3年生の時に、沙耶さんと怜さんとで2週間滞在し、マデリンから英会話を習ったという思い出がある。
マデリンはお義父さんがオーストラリアで会って恋に落ちた相手であり、プロポーズをされたが断られて、お互いに別の人と結婚した。お義父さんがマデリンと交流が続いていて、黒崎の英会話教師になってくれと頼み、黒崎が海の近くの家に行ったわけだ。
その家の近くにはマデリンと祖父、母の妹の沙羅叔母さんが暮らしていて、実は俺は3歳の時に預けられている。万理が入院していて、退院後も看病が必要であり、心臓が悪かった俺に何かあってはいけないとマデリンが言って、俺は彼女達の家で2ヶ月暮らした。そこで、偶然にも俺は黒崎と出会い、何度か遊んで貰ったという思い出がある。つまり、レストランで会ったときは再会だったということだ。
俺が黒崎と出会った頃は全然気がつかなくて、付き合い始めたもそうだった。そして、黒崎と俺がそのことに気づいた頃に、お義父さんが俺のことを調べ始めた。しかし、俺がマデリンの孫だということを知ったのは交際を認めた後で、黒崎が、ああ、言うのを忘れていたと言い、お義父さんに伝えたことで発覚した。
そこで、お義父さんは気まずい思いをしたそうだ。かつて自分も息子も世話になった人の孫を調べるということをしてしまったことに対してだ。そして、お義父さんがマデリンに連絡を取り、黙っていたなんて酷いと言ったそうだ。マデリンとしては、もう言ってあるのだと思っていたそうだ。それと、黒崎と交流が断絶している感じだったから、あなたが悪いんじゃないかということまで言われて、何も言い返せなかったそうだ。
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