青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

文字の大きさ
408 / 938

13-14

しおりを挟む
 これはどういう縁なのか。真利奈の交通事故も偶然とは思えない。ましてや子供同士が同じクラスになるなど、あり得ないことだ。しかし、実際に起こっている現実だ。俺は静かに月島さんの言葉を待った。

「本山さんは市役所の職員をしていた人だ。大学生だった娘さんが恋人と駆け落ちをして、消息不明になっているそうだ。同級生には連絡は入っているようだけど、親には居場所を言わないでくれと頼まれていて、本山さんは何年も娘さんに会っていない。そして、下にもう一人、娘さんがいるそうだ。ある年に、妹の先輩の尾澄おずみさんが23歳の時に、本山さんと同じ課になったそうだ。そこで、変わった人だと思ったそうだ。その話を妹が聞いて僕に話してくれた。本山さんは元市民会館の館長をしていたこともあってなのか顔が広くて、地元住民や、地元の祭りの関係者と飲み歩いて、知り合いが多い人だったそうだ。しかし、尾澄さんが、本山さんからこういう話をされたそうだ。下の娘が小学4年生なのだと。上の娘さんは駆け落ちした後だから、家に居なかった。親としては、下の娘はもう夜一人で留守番できると思って、週に1回は午前0時過ぎまで奥さんと集まりに参加して、酒を飲んでいたそうだ。そこで、娘さんから、夜一人は怖いから家に居てくれと頼まれたけど、君は4年生だから一人で居られるだろうって説教してやったと。僕の考え方は間違っているだろうかと尾澄さんが聞かれて、聞き流せば良かったのに、可哀想だと思うって答えたことで腹を立てられたそうだ。でも、その後で、尾澄さんがテーマパークに同僚と遊びに行くと知った本山さんからお金を預かって、下の娘にそこで売っている人形を買ってきて欲しいと頼まれたそうだ。彼女は一瞬だけ断りたいと思ったが、すぐに思い直して、買ってくることにして、買ってきて、本山さんに渡した。今も大事にしてくれていると良いが……。その後、奥さんが男と駆け落ちした。そして、離婚した。その後、これは言うのは悪いと思うが、妻と上の娘が出て行ったことで同情を引くようにして選挙活動をして市議に当選して、一期務めた後に国政を目指して、国会議員になった。そういう経歴のある人だ」
「孫のことでは学校の中を引っかき回している人だということです。宮川と真利奈さんは交通事故でも再会している。満羽さんが学校を変えれば、縁が切れるでしょうか……」
「そうならないようだ。宮川さんの双子の子供達が危険だと感じた。まさか虐待を受けているのかと思った。圭一君。僕は彼の家を見てみたい。外からでいい。住所は知っているだろうか」
「分かります」

 月島さんが嫌な予感がすると言った。俺も何か感じ始めた。そこで、宮川を訪ねていくことにしてはどうかと提案した。仲裁することになってもいい。不思議と今はそういう気分だ。それを言うと、月島さんが言葉を濁した。

「仲裁という形では無く、久しぶりに会いに来たということにしておいた方が良い。宮川さんは圭一君のことを恨んでいる。真利奈さんの味方をしたからだ。君のことは信頼していたようだ。ボール遊びのことがある前まではね。自分と同じ片親の家庭環境だからだと言っている。君が言うように、息子が壊した物のことで、きちんと謝れば良い。それが親として出来ないのが宮川さんだ。今回仲裁を求めてきたのは、窮地に立たされたからだ。義理の父親からの命令なんだろう。田川家のお父さんがどこの団体の人が知ったのが、最近だと言っているよ。だから、負けないように、君と縁を持てという命令だ。言うことを聞かなかったら良いんだけどね。でも、それが出来ない。国会議員の父親が居ることで、勤務先では居心地の良い空間になっているからだそうだ。でも、義理の父親の影に隠れるのは屈辱的だとも思っている」
「宮川はどうしたいということでしょうか」
「満たされない思いを抱えている。そうとしか読み取れない。子供達が危ないのはたしかだ」
「そうですか……」

 そして、俺は電話を切り、宮川に連絡を取った。そして、今日の19時なら家に居ると言われて、その時間に訪ねていくことにした。宮川の方から会いに行くと言われたが、俺の方から行くと言い、電話を終えた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

守り守られ

ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師 患者 瀬咲朔 腸疾患・排泄障害・下肢不自由 看護師 ベテラン山添さん 準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん 木島 尚久 真幌の恋人同棲中

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~

野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。 残念ながら話もできたし、触ることもできた。 様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。 そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。 厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。 きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。 それから五年。 地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。 真詞の運命が大きく動き出す。 人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半) 別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半) ・前半 巡(人外)×真詞 ・後半 岬(人間)×真詞 ※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。 ※ キスを二回程度しかしないです。 ※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。 ※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

処理中です...