青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 しかし、そのまさかが起きたというわけで、満羽さんは両親から叱られて、真利奈さんから見た宮川さんの中学時代の話を聞かされて、苦労した面もあるし、そんな中でボールをぶつけて謝っていないのは、彼なりの葛藤があり、その思い出を怨恨という形で残してあるから、満羽さんのことをじっと見ていたのだと説明されたそうだ。

 怨恨とは、お互いに残っている感情だと説明したそうだ。真利奈さんは正直にこう言ったそうだ。今でも恨みに思っているのだと。そして、きっと宮川さんの方も、ボール遊びを止められたことで恨んでいるはずだと。

 そこで、満羽さんとしては分からない点が出てきたそうだ。教室内でボール遊びは禁止されており、誰も止めない中で、しかも、怖がっている子が居る中で、彼のことを止めたお母さんのどこが悪いのかと。そこで、再会した後、真利奈さんに会った宮川さんがいまだに謝っていないのは悪いことではないかと思ったそうだ。そこで、金槌の件があり、謝ろうとしない宏尚君と宮川君のお父さんに違和感を感じると思っているそうだ。

 しかし、除け者にしていじめようと方針を固めた自分は悪かったと反省し、教室に居るときに2人に謝った。しかし、半分だけ本気だった。そして、今朝になり、全部本気で謝りたくなり、両親に打ち明けて、今ここに居る。金槌を振り回している弟のことを止めに来た美紀さんは何も悪くないのだということも分かっている。そこで、俺は黒崎の肩を叩き、緊張している感じの満羽さんに話しかけることにした。

「満羽ちゃん。謝るのは偉いよ」
「ありがとうございます。お兄ちゃん、バンドボーカルだよね?テレビで観たよ」
「そうだよ。ナツキっていうんだ」
「分かるよ。夏樹君だって。すごいなあ。会えるなんて思わなかったの。美紀ちゃんも好きだったと思うの。かっこいいって言っているのを聞いたことがあるの」
「そうなんだね!嬉しいなあ」
「ああ、助かった。ありがとうございます」
「おい、真利奈」

 真利奈さんがホッと胸を撫で下ろしたから、黒崎がじろっと睨んだ。心配なものは心配ということだ。俺達が合流できて良かったと思った。

「まあまあ。黒崎さん、いいじゃん。満羽ちゃん、何かお菓子を買おうよ。買ってあげる」
「ありがとう!でも、いいの?」
「いいんだよ。真利奈さん、買わせて下さい。それに、お子さん達へのお土産にもなると思うし……」
「あ、お菓子だったら持ってきているの。だから……」
「いいですから~。さあ、あの2人のところに行こうよ。おじさん2人のところに……」

 俺は満羽さんを連れて、お菓子のコーナーに向かった。俺の後ろからは、黒崎と真利奈さんからのお礼の声が聞こえてきた。今朝電話で話したとはいえ、久しぶりに会って話したかっただろう。さっき、真利奈さんに月島さんのことを紹介した。

 そして、一貴さんのことも。さらに、今日は9歳の子になっているのだと、正直に伝えた。最初は驚いた顔をしたが、すぐに元通りの顔になり、何かあったのねという事をつぶやいていた。そして、そばにいる満羽さんに伝えてくれた。その時、満羽さんは不思議そうな顔をしたが、真利奈さんがそういうこともあると言うと、しっかりとした表情で頷き、怖がらずに、一貴さんのそばに歩いていった。

 一貴さんが持っているカゴにはいくつかのお菓子が入っていて、そばにいる月島さんが、あともう一つカゴに入れないと700円以上にならないと言った。そこで、一貴さんがどれがいいか迷い始めた。

「うーーーん。どれがいいかなあ……」
「満羽ちゃんも選んでね。700円以上でくじが引けるよ」
「私は一つで良いの。いつも一つだから。そういう決まりになっているの」
「そうなんだね。この9歳の子なんか、こんなに買って貰うんだよ。今日だけは良いんじゃないかな?」
「だめだめ。お母さんがそう言うもん。おじいちゃんがいいって言っても、そうなのよ」
「そっか。どれが良いかなあ?」

 本当にしっかりしていると思った。一貴さんとは大違いだ。取り替えて欲しいと思った。その一貴さんが一瞬だけ大人に戻り、満羽さんに微笑みかけた。そして、これが良いんじゃないかと、スナック菓子を差し出した。それを彼女がニコッと笑って受け取り、これにしたいと言った。俺はその様子をほのぼのした感じで見つめて、レジに向かった。
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