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南波さんが訪ねてくる。その知らせを聞いたアレクシスさんが、今から着替えてくると言って、椅子から立ち上がった。今のラフでダルダルな格好でいいのに。それをお義父さんも言うと、いいやと言って、首を横に振った。
「ユリウスが恥ずかしいだろうから、もっとマシな格好をしておく。二葉も帰ってくるだろう」
「そうだね。お見合い相手だもんね」
そういうことか。俺達は納得して、アレクシスさんがキッチンに食器を持って行く姿を眺めて見送った。彼もまたここに住んでいるときに、お手伝いをしていたということが分かった。アレクシスさんは穏やかな性格をしていると思う。気難しい性格なのはユーリーの方だ。しかし、どちらも優しいという点では同じだ。
この家で暮らしたというからには、どんなに性格が曲がって育ったことだろうかと、黒崎に連れられてこの家に住み始めたときは、そう思っていた。それだけ黒崎の話す内容がどんよりしていたし、お義父さんだって同じ事を言っていた。しかし、アレクシスさんとユーリーと話してみると、曲がったところが無くて素直に育った気がしている。お義父さんが愛情を掛けていたのだと分かる。
しかし、晴海さんのことが思い浮かんで、そうでもないのかと思い直した。出会った頃の彼は疲弊していて、どうしたら良いのかという迷いとネガティブな感情に支配されていたという。だが、今ではすっかり良いお兄さんの部分を出してくれているから、元から優しいのだと思う。お義父さんの教育は厳しかったと言うから、アレクシスさん達に対する話し方とはまた違っていたのだろう。
「ねえ。お義父さん。晴海お兄ちゃんとアレクシスさんとユーリーに対しては、話し方を変えていたの?ユーリーってわんぱくじゃん。お義父さんが怖かったら悪戯が出来なかったと思うんだ。優しかったの?」
「ああ。親戚の子と息子では、私の態度は違っていたはずだ。遠い国から来た2人の子供に、しかも、母親が父親から離れてきた事情を抱えている子には、厳しくは出来ない。アレクシスの1人部屋は、父親と相談した結果、用意したんだよ」
「そっか。お義父さん、優しかったんだね。良かったよ。おかげでユーリーは我儘になったけど。言いだしたら聞かなくてさ~」
そう言って、俺はユーリーのことを見つめた。“お母さんから思い切り可愛がられた子”。そういう面をいろいろを見させてもらっている俺は、最初の頃に彼に抱いていた印象を忘れてしまいそうだ。インテリジェンスな人。優しそう。穏やかそう。そんな印象を彼に抱く人はいると思うが、付き合いが深まっていく度に、言いだしたら聞かない面を見て、これは何でもお母さんから許されてきたんだなということがを感じるようになった。伊吹が俺よりも先にそう言っていた。さすがだ。一貴さんの人格が分かれていることにも、一番最初の会食で気がついている。
お義父さんがユーリーのことを見て笑った。我儘な面を今、見ているところだ。南波さんの写真を眺めて、絶対に付き合うと言っているからだ。もう無理だと言われているのに、彼が良いと言って言うことを聞かない。
「アレクシスはユーリーの面倒をよく見ていたよ。だから、いい男に育った」
「そうなんだね。勉強ばっかりさせられていたって、ユーリーが言うからさ~。しかも、気難しい性格っていうから、覚悟していた面があったんだけど、全然そんなこと無いね」
「いや、気難しい性格をしているよ。ユーリーよりも難しい。エミリアがよく言っていた。フェリックスのお兄さんに似ているんだと。フェリックスの性格とはまた違う。しかし、あれぐらいでちょうど良いとは思っているよ」
「ここに居る間に、そういう面を見られたらいいな。アレクシスさんって荷物が少ないんだね。大きなスーツケースの中にあるのは、ドイツからのお土産ばかりだったんだ」
ここに到着したアレクシスさんのスーツケースは2個あった。そして、背負っている荷物もあった。どれもお土産ばかりだった。服は持ってこなくても、一貴さんが用意すると言っていた。そして、アレクシスさんのために用意した服を昨日さっそくプレゼントしていて、今日はそれを着るのだろうか。
そうしているうちに、アレクシスさんがダイニングに戻ってきた。着ているのは一貴さんがプレゼントした服であり、落ち着いた感じで、ドキッとした。かっこいい。そんな言葉が自然と口から飛び出してしまい、慌てて口を閉じた。黒崎が嫉妬するからだった。しかし、その黒崎は何にも言っていなくて、スマホを見ていた。
「ユリウスが恥ずかしいだろうから、もっとマシな格好をしておく。二葉も帰ってくるだろう」
「そうだね。お見合い相手だもんね」
そういうことか。俺達は納得して、アレクシスさんがキッチンに食器を持って行く姿を眺めて見送った。彼もまたここに住んでいるときに、お手伝いをしていたということが分かった。アレクシスさんは穏やかな性格をしていると思う。気難しい性格なのはユーリーの方だ。しかし、どちらも優しいという点では同じだ。
この家で暮らしたというからには、どんなに性格が曲がって育ったことだろうかと、黒崎に連れられてこの家に住み始めたときは、そう思っていた。それだけ黒崎の話す内容がどんよりしていたし、お義父さんだって同じ事を言っていた。しかし、アレクシスさんとユーリーと話してみると、曲がったところが無くて素直に育った気がしている。お義父さんが愛情を掛けていたのだと分かる。
しかし、晴海さんのことが思い浮かんで、そうでもないのかと思い直した。出会った頃の彼は疲弊していて、どうしたら良いのかという迷いとネガティブな感情に支配されていたという。だが、今ではすっかり良いお兄さんの部分を出してくれているから、元から優しいのだと思う。お義父さんの教育は厳しかったと言うから、アレクシスさん達に対する話し方とはまた違っていたのだろう。
「ねえ。お義父さん。晴海お兄ちゃんとアレクシスさんとユーリーに対しては、話し方を変えていたの?ユーリーってわんぱくじゃん。お義父さんが怖かったら悪戯が出来なかったと思うんだ。優しかったの?」
「ああ。親戚の子と息子では、私の態度は違っていたはずだ。遠い国から来た2人の子供に、しかも、母親が父親から離れてきた事情を抱えている子には、厳しくは出来ない。アレクシスの1人部屋は、父親と相談した結果、用意したんだよ」
「そっか。お義父さん、優しかったんだね。良かったよ。おかげでユーリーは我儘になったけど。言いだしたら聞かなくてさ~」
そう言って、俺はユーリーのことを見つめた。“お母さんから思い切り可愛がられた子”。そういう面をいろいろを見させてもらっている俺は、最初の頃に彼に抱いていた印象を忘れてしまいそうだ。インテリジェンスな人。優しそう。穏やかそう。そんな印象を彼に抱く人はいると思うが、付き合いが深まっていく度に、言いだしたら聞かない面を見て、これは何でもお母さんから許されてきたんだなということがを感じるようになった。伊吹が俺よりも先にそう言っていた。さすがだ。一貴さんの人格が分かれていることにも、一番最初の会食で気がついている。
お義父さんがユーリーのことを見て笑った。我儘な面を今、見ているところだ。南波さんの写真を眺めて、絶対に付き合うと言っているからだ。もう無理だと言われているのに、彼が良いと言って言うことを聞かない。
「アレクシスはユーリーの面倒をよく見ていたよ。だから、いい男に育った」
「そうなんだね。勉強ばっかりさせられていたって、ユーリーが言うからさ~。しかも、気難しい性格っていうから、覚悟していた面があったんだけど、全然そんなこと無いね」
「いや、気難しい性格をしているよ。ユーリーよりも難しい。エミリアがよく言っていた。フェリックスのお兄さんに似ているんだと。フェリックスの性格とはまた違う。しかし、あれぐらいでちょうど良いとは思っているよ」
「ここに居る間に、そういう面を見られたらいいな。アレクシスさんって荷物が少ないんだね。大きなスーツケースの中にあるのは、ドイツからのお土産ばかりだったんだ」
ここに到着したアレクシスさんのスーツケースは2個あった。そして、背負っている荷物もあった。どれもお土産ばかりだった。服は持ってこなくても、一貴さんが用意すると言っていた。そして、アレクシスさんのために用意した服を昨日さっそくプレゼントしていて、今日はそれを着るのだろうか。
そうしているうちに、アレクシスさんがダイニングに戻ってきた。着ているのは一貴さんがプレゼントした服であり、落ち着いた感じで、ドキッとした。かっこいい。そんな言葉が自然と口から飛び出してしまい、慌てて口を閉じた。黒崎が嫉妬するからだった。しかし、その黒崎は何にも言っていなくて、スマホを見ていた。
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