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午前9時。
庭に出ていると、本当に南波さんがこの時間に到着することが分かった。黒崎に電話が掛かってきたからだ。もうすぐで着きますという報告だった。そこで、黒崎が門へ向かった。南波さんのことを出迎えるためにだ。門のセキュリティーも解除しなければならない。
それは家の中からでも出来るが、ガーーッと防犯カメラが作動する中、ご近所さんからは緊張するという評判の防犯システムのため、きっと南波さんも同じ気持ちだろうと思い、黒崎が迎えに行ったわけだ。門を通ってお父さんの家に着くまでにも、何台のカメラが回っている状態だ。この家の住人以外の人を検知したときにカメラ音が鳴るようになっていて、物々しいとも言える。
このシステムは、今月初めに導入した。今までと変わらないが、カメラの作動音が鳴る点では新しい。ご近所さんでは、お正月に奥さんのことを置いて車を出発させた安斎さんのご主人がこのカメラを買って設置している。防犯意識を高めるためだ。音がするから、誰か来たら分かるそうだ。
俺のそばにはアレクシスさんがいる。庭のセキュリティーライトを眺めている。そして、いくつあるんだと言って、指折り数えている。その近くにはユーリーが居て、木の枝を掴んでぶら下がり、ユラユラ揺れている。
「ユーリー。そのユラユラだけどさ。力が無いと難しいね。俺、今やってみて分かったよ」
「そうか?自然のリズムに身を任せてぶら下がって、ゆっくり身体を揺らすと、力はいらないよ」
「ううん。腕の力が必要だよ。手の力もね。さすがは瓦割りをするだけあるよ。この庭で上半身裸で走り回るのって、あんただけだよ」
「僕は体力オバケと呼ばれたことがある。ドイツに帰った後の8歳の時だ。親戚の叔父さんがシーソーを買ってくれて庭に設置したんだけど、大人が見ていないといけないっていうことで、ずっと母さんが見てくれていたんだ。僕は友達を連れて来ていて、その子とずっとシーソーで遊んでいて、母さんが疲れてきて、もうやめなさいって。疲れを知らないから、体力オバケだ。母さん、元気かな。昨日、電話で話したところだけど」
「エミリアさんは春になったら来てくれるんだね。ちょうど良い季節だよ。バンドのレコーディングが終わって、楽曲を聴いて貰えるよ」
「そうだな。タイトルは、マザー。君がインスピレーションを働かせて書いた詩だ。一発目の楽曲は裕理が書いた曲で、2曲目になるのかな?」
「その予定だよ。一発目のすぐ後で出すんだ。4月10日に“I still love you”だよ。曲名が変わったんだ。言ったっけ?」
「聞いてある。今でも君のことを愛しているだなんて、蔵之介君が聞いた時はザワザワしたんじゃないか?」
「そうみたいだよ。早瀬さんが今でも久弥のことが好きだっていう意味だもん。悠人は全然気にしていないんだ。アレンジを重ねていって、バリバリどかーーんな曲にしたんだって、威張っていたんだ」
「さすがはミュージシャンだ。プロだなあ。僕なら嫉妬する」
「うひゃひゃひゃ。そうだよねえ。黒崎さんだってそう言っていたんだ。琉芯君も大和もすごいよ。2人の息がぴったり合っているんだ。一発でレコーディングのOKが出たんだけど、まだアレンジをしたいからって頑張って、何日もかかったんだ」
春から始まるバンドのディスレクトサイドゼロには、高校を卒業したばかりの琉芯がドラムとして参加し、俺と悠人も大学を卒業した後というタイミングで、今までよりも大人になったということで、高い年齢層のファンの獲得を狙っている。
長谷部さんのマネージングでは、大人の女性から、琉芯君可愛いという言葉が貰えるように狙いもある。聡太郎は久弥のことが大好きな人からの関心と、ギターを弾いている人からの注目も集めたい。大和は前のバンドで注目されていたから、今度入るバンドは今までとジャンルが違うということで、違う魅力を見せたいということだ。悠人はお笑い担当だ。そして、バンドの楽曲のアレンジという大きな役目を担っている。
では、俺の役目は何かというと、お色気担当だ。俺がステージで上半身裸になると、男の人達から“兄貴、抱いてくれ”コールが巻き怒ったことがある。そういうわけで、俺の担当になった。だから、俺は一生懸命に肉体改造しようと努めて、何とかして腹筋を割ることに成功した。心臓が弱いことから無理がないように組まれたトレーニングだったのにそうなったから、自分でも驚いた。ステージでは俺の腹筋を見てもらいたいと思っている。
庭に出ていると、本当に南波さんがこの時間に到着することが分かった。黒崎に電話が掛かってきたからだ。もうすぐで着きますという報告だった。そこで、黒崎が門へ向かった。南波さんのことを出迎えるためにだ。門のセキュリティーも解除しなければならない。
それは家の中からでも出来るが、ガーーッと防犯カメラが作動する中、ご近所さんからは緊張するという評判の防犯システムのため、きっと南波さんも同じ気持ちだろうと思い、黒崎が迎えに行ったわけだ。門を通ってお父さんの家に着くまでにも、何台のカメラが回っている状態だ。この家の住人以外の人を検知したときにカメラ音が鳴るようになっていて、物々しいとも言える。
このシステムは、今月初めに導入した。今までと変わらないが、カメラの作動音が鳴る点では新しい。ご近所さんでは、お正月に奥さんのことを置いて車を出発させた安斎さんのご主人がこのカメラを買って設置している。防犯意識を高めるためだ。音がするから、誰か来たら分かるそうだ。
俺のそばにはアレクシスさんがいる。庭のセキュリティーライトを眺めている。そして、いくつあるんだと言って、指折り数えている。その近くにはユーリーが居て、木の枝を掴んでぶら下がり、ユラユラ揺れている。
「ユーリー。そのユラユラだけどさ。力が無いと難しいね。俺、今やってみて分かったよ」
「そうか?自然のリズムに身を任せてぶら下がって、ゆっくり身体を揺らすと、力はいらないよ」
「ううん。腕の力が必要だよ。手の力もね。さすがは瓦割りをするだけあるよ。この庭で上半身裸で走り回るのって、あんただけだよ」
「僕は体力オバケと呼ばれたことがある。ドイツに帰った後の8歳の時だ。親戚の叔父さんがシーソーを買ってくれて庭に設置したんだけど、大人が見ていないといけないっていうことで、ずっと母さんが見てくれていたんだ。僕は友達を連れて来ていて、その子とずっとシーソーで遊んでいて、母さんが疲れてきて、もうやめなさいって。疲れを知らないから、体力オバケだ。母さん、元気かな。昨日、電話で話したところだけど」
「エミリアさんは春になったら来てくれるんだね。ちょうど良い季節だよ。バンドのレコーディングが終わって、楽曲を聴いて貰えるよ」
「そうだな。タイトルは、マザー。君がインスピレーションを働かせて書いた詩だ。一発目の楽曲は裕理が書いた曲で、2曲目になるのかな?」
「その予定だよ。一発目のすぐ後で出すんだ。4月10日に“I still love you”だよ。曲名が変わったんだ。言ったっけ?」
「聞いてある。今でも君のことを愛しているだなんて、蔵之介君が聞いた時はザワザワしたんじゃないか?」
「そうみたいだよ。早瀬さんが今でも久弥のことが好きだっていう意味だもん。悠人は全然気にしていないんだ。アレンジを重ねていって、バリバリどかーーんな曲にしたんだって、威張っていたんだ」
「さすがはミュージシャンだ。プロだなあ。僕なら嫉妬する」
「うひゃひゃひゃ。そうだよねえ。黒崎さんだってそう言っていたんだ。琉芯君も大和もすごいよ。2人の息がぴったり合っているんだ。一発でレコーディングのOKが出たんだけど、まだアレンジをしたいからって頑張って、何日もかかったんだ」
春から始まるバンドのディスレクトサイドゼロには、高校を卒業したばかりの琉芯がドラムとして参加し、俺と悠人も大学を卒業した後というタイミングで、今までよりも大人になったということで、高い年齢層のファンの獲得を狙っている。
長谷部さんのマネージングでは、大人の女性から、琉芯君可愛いという言葉が貰えるように狙いもある。聡太郎は久弥のことが大好きな人からの関心と、ギターを弾いている人からの注目も集めたい。大和は前のバンドで注目されていたから、今度入るバンドは今までとジャンルが違うということで、違う魅力を見せたいということだ。悠人はお笑い担当だ。そして、バンドの楽曲のアレンジという大きな役目を担っている。
では、俺の役目は何かというと、お色気担当だ。俺がステージで上半身裸になると、男の人達から“兄貴、抱いてくれ”コールが巻き怒ったことがある。そういうわけで、俺の担当になった。だから、俺は一生懸命に肉体改造しようと努めて、何とかして腹筋を割ることに成功した。心臓が弱いことから無理がないように組まれたトレーニングだったのにそうなったから、自分でも驚いた。ステージでは俺の腹筋を見てもらいたいと思っている。
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