青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 その前に晴海さんに連絡をしようと思った。一貴さんのそばにヨーク達がいることを話した時、晴海さんは一貴さんの前に居た。家の花の交換に来た時だった。ちょうどヨークが一貴さんと玄関で話しているときで、その時の晴海さんは、人格が分かれた2人が話しているのだろうと思っていたそうだが、急に背中が冷たくなり、そして、身体が温かくなり、どこからか女性の声が聞こえてきたそうだ。――私達を理解してください。そう言われたそうだ。

 その声はリンさんだった。たしかに聞こえた声に晴海さんがにキョロキョロしていると、後ろに一貴さんが立ち、ヨーク立ちが居ることを打ち明けた。その時の晴海さんは驚いていたが、何とも不思議な感覚が身体に起きて、まるで夢を見ているかのようだったそうだ。

 宇宙人がいると楽しいな。子供の頃にそういうことを考えていた晴海さんは実際に彼らから話しかけられても怖くなくて、ああ、やっぱり居たのかと思ったそうだ。そして、リンさんの声がもう一度聞こえてきて、あなたのそばにもいたことがあるのだと聞こえてきたそうだ。それは晴海さんにとって覚えのあることで、ああ、あなただったんですかと答えたそうだ。

 俺が晴海さんに連絡をしようとすると、お義父さんが自分からすると言われた。俺にはゆっくりしていてもらいたいのだと。そして、お義父さんがスマホで電話をかけ始めた。相手は晴海さんだ。すぐに電話に出てくれて、親子だったよという短い報告をしていた。晴海さんは北岡さんのオフィスに来ていて、何か用事をしていたようで、早々に電話を終えていた。今日、ここに来てくれるそうだ。

「晴海が来るそうだ。さっき、リンさんから知らされたそうだ。空中から声が聞こえてきて、もうすぐで電話が入ることも教えてくれたそうだ。一貴、そうなんだろう?」
「そうです。リンが伝えてくると言っていました。晴海君は声が聞こえる。圭一にはお父さんから電話をしてください。二葉にも」
「ああ。分かった」

 お義父さんが黒崎に電話をかけ始めた。ちょうど昼休み中だからタイミングが良かったようで、すぐに電話に出てくれた。黒崎とも短い会話をした後、二葉にはラインを送っていた。今年の春から大学3年生に上がることから、教室をあちこち動いているところだからだ。そのラインはすぐに既読になり、ガッツポーズをしたウサギのスタンプが送られてきた。

「カズ兄さん。ヨークとウーリはここに居るんだよね?リンさんは晴海お兄ちゃんのところに行っているの?」
「いや、宇宙船から電話を掛けたような感じだ。晴海君には天使がついていて、まずは彼に伝えられて、彼を通して伝えられたそうだ」
「え、天使?月島さんが言っていたよ。試練を与えることもあるのが天使だって……。大丈夫かな……」
「昨日から付くことになった天使だけど、そう怖い話じゃ無いそうだ。環境が変わるからだそうだ。これから僕の面倒を見ないといけなくなるから、大変だろうって事で、そう決まったそうだ」
「なるほど。当主だもんね。今日はお祝いする?この間、ちらし寿司とハマグリのお吸い物を食べたところだけど……」

 俺が思い浮かぶのは、今日の晩ご飯のことだ。アレクシスさんの来日歓迎ということで、日曜日は日本食レストランに食事に出かけた。今日もお祝いでも良いと思った。しかし、明日は平日だから、そう遅くならない方がいい。

「アレクシスさん。土曜日に帰るのは変更無し?やっぱり帰るの?」
「ああ、今度こそ帰る。本当は今日帰る予定だったんだけどな。会社の休暇を伸ばせた。有休がたまっているから、もっと休んでこいとは言われている。でも、親父のことで休暇が必要になるかも知れないと思うと、長く休まない方がいいと思った」
「兄さん。父さんのことなんか放っておくといい。あと1週間、ここにいるといい。月島君が会いたがっている。電話とビデオ会議で話したところだけど……」

 そう言った後、ユーリーが口を閉ざした。つい、月島さんのことが思い浮かんで名前を出してしまったのだろう。会って欲しいという言葉と共に。それに対してアレクシスさんがツッコんだから、俺は静かにしているようにした。
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