497 / 938
14-66
しおりを挟む
ぽりぽり。俺はお漬物を食べながら、絵理奈の友達の件を嘆いた。どうしたら良いのだろうか。一体、どこで出会ったというのか。それを聞いていなかった。悠人は知っているだろうか。
「ゆうとーー。絵理奈ちゃんの友達って、そのヒモと出会ったのは、どこだったか聞いてある?」
「聞いているよ。大学のセミナーだよ。恐竜の化石展が開催されたときの講演だよ。カレシが出席者で、友達がスタッフでさ。一目で恋に落ちたんだって言っていたよ。バンドマンだっていうからライブを観に行って、ますます彼のことが好きになったんだって」
「それは分かるよ。ギターを弾いている姿なんてかっこいいと思うよ。でもさ~、50万借りられないかなんて聞く?」
「そういう男なんだよーーー。ライブの開催費用なんて嘘だよ。ヒモっていっても、美容師の仕事をやっているんだよ。まあ、ヒモだけど。食事デートは割り勘するときは一円単位まで割る男で、かつ、ほとんど彼女の方が出しているんだ。私、出すからなんて……。では、月島さんに解説して貰いましょうか」
「そうだねえ。月島さんに聞いてみるのが一番だよ」
悠人がそばにいる月島さんに話しかけた。紫乙さんとお義父さんとで鍋を囲んでいる。その隣ではアレクシスさんが酔っぱらって早瀬さんに絡んでいる。今日はバーテルス家のネックレスを付けてくれているのかなんて聞きながら、シャツの襟元を広げて肌をのぞき込んでいる。ユーリーは止めない。南波さんに夢中だからだ。一貴さんは俺達の隣に居て、黒崎と二葉とで鍋を囲んでいる。何も問題は無い。
そう思った後、月島さんが悠人からの話に頷いた。名前を聞かなくても分かるそうだ。どんな人なのかだ。こういうことはヨークやルークさんも得意らしいが、一貴さんや紫乙さんには教えないのだという。ここで暮らしている目的が違うからだそうだ。月島さんの場合は霊能者の仕事をする役目があり、色々と想念というものがキャッチできるのだそうだ。
「どうかな?絵理奈ちゃんの友達は別れないのかな?」
「もう別れたところだ。ついさっきだよ。浮気が原因だ。お金のことではないようだ。貸すつもりがあったようだ」
「ええーーーー、別れる原因がそこじゃないんだねえ。大丈夫かな。次もそんな男と出会うかも知れないよね」
「ははは。これは笑い事じゃないね。よっぽど彼の好きだったようだ。でも、浮気男で、そっちとは結婚話もしているというラインを見て、気持ちを切り替えたようだ。絵理奈ちゃんに聞いてみるか?」
「そうだね。聞いてみようかな……。あ、悠人は彼女の連絡先を聞いているんだね」
「うん。今、ラインを送るよ。バンドマンのカレシとはどう?って……」
そのカレシと同じくバンドマンである悠人がラインを送る姿を眺めた。すると、電話が掛かってきて、悠人がゆったりとした感じで電話に出た。貫禄を感じられる。やっぱり大学入学当時とは違う。バンドとモデルとコマーシャル。悠人はメディアに露出しまくっているから、しっかりしたのだろう。
「もしもし。結井ちゃん。カレシと一緒にいるの?夏樹がさーー、心配してて。うひぇーーー、別れたのかーー。実はね、この間話した月島さんが、2人が別れたみたいだって言うんだ。……え、ついさっきなのかーーー。今、外なんだろーー?気を付けて帰らないといけないよ。じゃあね!」
悠人が電話を終えた。俺の方は驚きで言葉を失った。月島さんが的中させたからだ。こんなに当たるなら、南波さんが小瀬さんと付き合うのは本当のことなのだろうと思った。そして、月島さんがユーリーが自分のパートナーなのだというから、それも本当なのだろうと思った。
「月島さん。ユーリーを呼ぶよ。せっかく会えたんだから、もっと近くで話すと良いよ。南波さん、こっちにおいでよ。ユーリーが月島さんのことを避けているんだ」
「オッケー。え、やばい!この人、僕の手を握ったよ。約束はどうしたんだよ!」
南波さんがユーリーから手を握られて、ツッコミを入れた。その姿にほっこりした。平和な方がいい。湯気が出ている鍋からの匂いと膨れてきたお腹を感じて、なんだか眠くなってきた。
そんな俺に黒崎は真っ先に気がつき、大丈夫かと声を掛けてきた。それに対して大丈夫だよと返事を返して、悠人が食べ始めたお寿司の量に驚いた。お義父さんが追加で彼の前にあるお皿に置いてくれたお寿司は20貫もあった。鍋一つ分の芋煮を食べきった後なのに。
そこで俺は、こんなに食べられる悠人がいるのだから、バンドは安泰だと感じて、大丈夫だと言ったくせに、うつらうつらと船をこぎ始めた。
「ゆうとーー。絵理奈ちゃんの友達って、そのヒモと出会ったのは、どこだったか聞いてある?」
「聞いているよ。大学のセミナーだよ。恐竜の化石展が開催されたときの講演だよ。カレシが出席者で、友達がスタッフでさ。一目で恋に落ちたんだって言っていたよ。バンドマンだっていうからライブを観に行って、ますます彼のことが好きになったんだって」
「それは分かるよ。ギターを弾いている姿なんてかっこいいと思うよ。でもさ~、50万借りられないかなんて聞く?」
「そういう男なんだよーーー。ライブの開催費用なんて嘘だよ。ヒモっていっても、美容師の仕事をやっているんだよ。まあ、ヒモだけど。食事デートは割り勘するときは一円単位まで割る男で、かつ、ほとんど彼女の方が出しているんだ。私、出すからなんて……。では、月島さんに解説して貰いましょうか」
「そうだねえ。月島さんに聞いてみるのが一番だよ」
悠人がそばにいる月島さんに話しかけた。紫乙さんとお義父さんとで鍋を囲んでいる。その隣ではアレクシスさんが酔っぱらって早瀬さんに絡んでいる。今日はバーテルス家のネックレスを付けてくれているのかなんて聞きながら、シャツの襟元を広げて肌をのぞき込んでいる。ユーリーは止めない。南波さんに夢中だからだ。一貴さんは俺達の隣に居て、黒崎と二葉とで鍋を囲んでいる。何も問題は無い。
そう思った後、月島さんが悠人からの話に頷いた。名前を聞かなくても分かるそうだ。どんな人なのかだ。こういうことはヨークやルークさんも得意らしいが、一貴さんや紫乙さんには教えないのだという。ここで暮らしている目的が違うからだそうだ。月島さんの場合は霊能者の仕事をする役目があり、色々と想念というものがキャッチできるのだそうだ。
「どうかな?絵理奈ちゃんの友達は別れないのかな?」
「もう別れたところだ。ついさっきだよ。浮気が原因だ。お金のことではないようだ。貸すつもりがあったようだ」
「ええーーーー、別れる原因がそこじゃないんだねえ。大丈夫かな。次もそんな男と出会うかも知れないよね」
「ははは。これは笑い事じゃないね。よっぽど彼の好きだったようだ。でも、浮気男で、そっちとは結婚話もしているというラインを見て、気持ちを切り替えたようだ。絵理奈ちゃんに聞いてみるか?」
「そうだね。聞いてみようかな……。あ、悠人は彼女の連絡先を聞いているんだね」
「うん。今、ラインを送るよ。バンドマンのカレシとはどう?って……」
そのカレシと同じくバンドマンである悠人がラインを送る姿を眺めた。すると、電話が掛かってきて、悠人がゆったりとした感じで電話に出た。貫禄を感じられる。やっぱり大学入学当時とは違う。バンドとモデルとコマーシャル。悠人はメディアに露出しまくっているから、しっかりしたのだろう。
「もしもし。結井ちゃん。カレシと一緒にいるの?夏樹がさーー、心配してて。うひぇーーー、別れたのかーー。実はね、この間話した月島さんが、2人が別れたみたいだって言うんだ。……え、ついさっきなのかーーー。今、外なんだろーー?気を付けて帰らないといけないよ。じゃあね!」
悠人が電話を終えた。俺の方は驚きで言葉を失った。月島さんが的中させたからだ。こんなに当たるなら、南波さんが小瀬さんと付き合うのは本当のことなのだろうと思った。そして、月島さんがユーリーが自分のパートナーなのだというから、それも本当なのだろうと思った。
「月島さん。ユーリーを呼ぶよ。せっかく会えたんだから、もっと近くで話すと良いよ。南波さん、こっちにおいでよ。ユーリーが月島さんのことを避けているんだ」
「オッケー。え、やばい!この人、僕の手を握ったよ。約束はどうしたんだよ!」
南波さんがユーリーから手を握られて、ツッコミを入れた。その姿にほっこりした。平和な方がいい。湯気が出ている鍋からの匂いと膨れてきたお腹を感じて、なんだか眠くなってきた。
そんな俺に黒崎は真っ先に気がつき、大丈夫かと声を掛けてきた。それに対して大丈夫だよと返事を返して、悠人が食べ始めたお寿司の量に驚いた。お義父さんが追加で彼の前にあるお皿に置いてくれたお寿司は20貫もあった。鍋一つ分の芋煮を食べきった後なのに。
そこで俺は、こんなに食べられる悠人がいるのだから、バンドは安泰だと感じて、大丈夫だと言ったくせに、うつらうつらと船をこぎ始めた。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる