青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 一貴さんが好きだと思ったということは神仙教授は優しいということで、一貴さんの一目会った時の印象の目は正しいのだと思った。そうすると、俺のことを見た時の印象が気になる。わざと意地悪なことを言ってきたからだ。その後でスイーツを家に届けてくれたから、ごめんねという謝罪は済んでいる。しかし、気になった。

「カズ兄さん。俺のことは最初、どう思っていたんだよ~?」
「なにを突然……」
「神仙教授。この兄が、最初に会った時に意地悪を言った人なんです。ほら、前に話したことがあるでしょう」
「ああ。覚えているよ。何かと突っかかってくる言い方の人だって言っていたね。このお兄さんがそうなのか……。見えないなあ。今だって、君の側から離れないようにしているのに……」
「それは黒崎さんからの命令だからです。迷子予防と、俺に誰も近づかないように警戒させるのも兼ねています」

 一貴さんは俺の手を握っている。今言った通り、一貴さんがはぐれないようにするためだ。こうしておけば、変な奴が近寄ってこないというのが黒崎の意見だ。見た目はきちんとした大人の一貴さんが不安げに手を繋いでいる姿は違和感があるだろう。かといって、恋人同士には見えない。

「カズ兄さん。さあ、言ってみてよ。俺の第一印象を……」
「お、大人しそう。そんな印象だった……」
「ほんとにそれだけかよ~?喧嘩売ってきたくせに~」
「夏樹。やめてやってくれ。ほら、一貴。教授と話せ。どうもすみません……」

 黒崎から止められたから口を閉じた。一貴さんが俺の手を離して黒崎に渡すと、教授と話し始めた。今日は大学に大勢の人が来ているから、その中には不審者もいるに違いないと考えた黒崎が、常に俺から離れないようにしている。そういうわけもあって、今日はみんなで来た。

 黒崎のことを見た。はっきり言って、かっこいい。通り過ぎていく人はみんな彼のことを見ている。中には、キャーーッと小さい悲鳴を上げる人もいる。大学の友達は黒崎のことを見慣れているから、理学部以外の人か、1年生達だと思う。その中で、ナツキだ!と声を上げる生徒らしき人がいて、手を振った。

「おはようございまーーーす」
「キャーーーー!ナツキ君!ユート君もいる!頑張ってね!」
「はーーい!ありがとう!」

 俺と悠人がもう一度手を振ると、またキャーキャー悲鳴が上がった。見たことが無い子達だから、きっと1年生だろう。今日は登校していたのか。卒業式だから授業がない。図書館も閉まっている。そこで、今日はセレモニーの手伝いのバイトをしているのだと気づいた。たしか、大成もかり出されているはずだ。

 11月に会って以来、大成の周りにはゴタゴタが起きてしまった。真羽とノアとは友達同士に落ち着いたのだが、その後で大成に告白する男子生徒がなんと5人もいて、争奪戦のようになっていたのだという。1年生と2年生が使っているキャンパスの学食では、誰が大成の隣に座るのかで火花を散らし、大成が好きなプリンアラモードをゲットしてプレゼントするのを競っているそうだ。引っ込み思案だという大成には笑顔が増えて、そんな彼のことを可愛いと思った男達が続出したというわけだ。

 大成とノアはキャンパスが違うから、一緒にいるとしたら、授業が終わった後だ。その時は真羽も一緒にいる。大成が今日のバイトを引き受けたということで、ノアも引き受けると言っていた記憶がある。ノアは留学生で、卒業式には出ないからだ。しかし、ここの大学院には進学する。

「大成はいないかな?今日はノアもいるって聞いたけど。張り付いていると思うけど……。あ、ユーリー。ノアを見つけたの?」
「ああ、見つけた。案内係をやっている」
「ほんとだ。ノアーーーー!」

 おーーいと、ノアのことを呼んで手を振った。俺の声に振り向く人もいて、すみませんと謝った。このように、声が大きいから、周りに気を遣ってしまう。昔は声が小さめで気にしていたのに、今とは全然違う。
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