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15-32(黒崎視点)
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12時。
午前中の業務を終え、副社長に戻ってきた。先ほどまで3本の会議に参加していたからだ。この部屋にはテレビが置いてあり、さっきから付けてある。夏樹達が出る番組を観るためだ。同じ部屋は須賀部長がいる。会議で一緒になった。須賀部長こそ、息子の姿を見たいだろうと思い、部屋に誘った。
「須賀さん。どうぞ座ってくれ」
「ありがとう。早瀨君はいないのか?」
「今、来た。早瀬。こっちに来い」
社内では彼のことを名字で呼んでいる。副社長のグループだと言われているのは当たり前だ。社内には派閥があったが取り払われて、今は随分と自由になった。こうして副社長の椅子に座り、数ヶ月後にそうなった。俺が副社長になるまでは次期社長だと思われており、それなら俺の味方に付く者がいてもよかっただろうが、そうはいかない連中がいた。自分たちのグループの出世をかけての争いがあった。
しかし、俺が副社長に落ち着き、深川さんが社長になったことで、派閥の敵達は勢いを無くした。俺が深川さんに付いたからだ。それまでもそうだったが、俺が派閥のトップだとされており、それがあっさりと深川さんの下についたことで、大勢が彼の元に集まり、自然と派閥が消えてしまったというわけだ。
そういうものがあるとやりにくいのが、この社内だ。もうそんなものはいらないと思っていた。しかし、人間という者はグループを作りたがる。それは俺も同じだ。こうして親しい者同士で集まっているのだから。
すると、秘書室から紅茶が運ばれてきた。それぞれの前に並べられた後、まずは深川さんが一口飲み、美味いと口にした。デパートで買ってきたという紅茶だ。最近になって急成長している会社の物だ。俺も一口飲んで、たしかに美味いと感じた。どこかで飲んだことがある。うちの近所にある佐山茶房の物に似ている。この会社の茶葉なのかも知れないと思った。
「早瀬。お前も飲んでくれ」
「ああ、頂くよ。美味しいな。初めて飲んだ紅茶だ。あんたの家の近所にある佐山茶房の紅茶に似ていないか?」
「ああ、俺もそう思った。今度、聞いておく。最近、紅茶の味が変わったところだった。同じ会社かも知れない。ああ、始まったか……」
番組が始まった。まだ夏樹達は登場しない。今頃スタジオで待機していることだろう。今朝の顔色は良かった。しかし、まあまあと言ったところだった。まだ本調子ではなく、白い肌が青白かった。
夏樹には少々の日焼けをさせたほうが良いだろうか。そんなことを最近思うようになった。日に当たるのは健康に良いと聞く。しかし、紫外線は大敵だ。俺は自分のことは気にしない。夏樹のことは気になる。肌の健康のことを考えると日焼け止めは必須だ。彼にはいつも塗るように言ってある。だからなのか、全く日焼けしない。元から焼けるタイプではなく、赤くなる肌質をしている。そのため、夏は心配事が増える。今も心配している。ライトが強すぎて、体調は大丈夫なのかと。
「早瀬。ライトの強さは頭痛には響かないのか?」
「関係あるよ。強すぎて健康に悪いということはある。寝られなくなるんだ。興奮状態が続くような物だ」
「そうか……。今日のスタジオのセットは昨日よりも広い分、ライトの数も多い。緊張もする。生放送だからな」
「久弥はスタジオ内にいて、収録を見守っている。大丈夫だ。夏樹君なら、きっとやり遂げる」
「そうだといいんだが……。須賀さん。大和君は大丈夫だったか?」
「ああ、平気そうだ。今朝も体調が良さそうだった。二度目のデビューだ。スカイレールレコードからは意地悪なことを言われているようだが、大和だけじゃない。そういう子は大勢居るそうだ」
「そうだな。IKUが移籍先だ。大丈夫に決まっている」
俺達がテレビ画面を見ていると、早瀬のスマホに着信が入った。父親の孝則さんかららしい。このタイミングでどうしたのかと早瀬が愚痴を言いながら電話に出た。用件は、早瀬の作詞家デビューへの祝いだった。
午前中の業務を終え、副社長に戻ってきた。先ほどまで3本の会議に参加していたからだ。この部屋にはテレビが置いてあり、さっきから付けてある。夏樹達が出る番組を観るためだ。同じ部屋は須賀部長がいる。会議で一緒になった。須賀部長こそ、息子の姿を見たいだろうと思い、部屋に誘った。
「須賀さん。どうぞ座ってくれ」
「ありがとう。早瀨君はいないのか?」
「今、来た。早瀬。こっちに来い」
社内では彼のことを名字で呼んでいる。副社長のグループだと言われているのは当たり前だ。社内には派閥があったが取り払われて、今は随分と自由になった。こうして副社長の椅子に座り、数ヶ月後にそうなった。俺が副社長になるまでは次期社長だと思われており、それなら俺の味方に付く者がいてもよかっただろうが、そうはいかない連中がいた。自分たちのグループの出世をかけての争いがあった。
しかし、俺が副社長に落ち着き、深川さんが社長になったことで、派閥の敵達は勢いを無くした。俺が深川さんに付いたからだ。それまでもそうだったが、俺が派閥のトップだとされており、それがあっさりと深川さんの下についたことで、大勢が彼の元に集まり、自然と派閥が消えてしまったというわけだ。
そういうものがあるとやりにくいのが、この社内だ。もうそんなものはいらないと思っていた。しかし、人間という者はグループを作りたがる。それは俺も同じだ。こうして親しい者同士で集まっているのだから。
すると、秘書室から紅茶が運ばれてきた。それぞれの前に並べられた後、まずは深川さんが一口飲み、美味いと口にした。デパートで買ってきたという紅茶だ。最近になって急成長している会社の物だ。俺も一口飲んで、たしかに美味いと感じた。どこかで飲んだことがある。うちの近所にある佐山茶房の物に似ている。この会社の茶葉なのかも知れないと思った。
「早瀬。お前も飲んでくれ」
「ああ、頂くよ。美味しいな。初めて飲んだ紅茶だ。あんたの家の近所にある佐山茶房の紅茶に似ていないか?」
「ああ、俺もそう思った。今度、聞いておく。最近、紅茶の味が変わったところだった。同じ会社かも知れない。ああ、始まったか……」
番組が始まった。まだ夏樹達は登場しない。今頃スタジオで待機していることだろう。今朝の顔色は良かった。しかし、まあまあと言ったところだった。まだ本調子ではなく、白い肌が青白かった。
夏樹には少々の日焼けをさせたほうが良いだろうか。そんなことを最近思うようになった。日に当たるのは健康に良いと聞く。しかし、紫外線は大敵だ。俺は自分のことは気にしない。夏樹のことは気になる。肌の健康のことを考えると日焼け止めは必須だ。彼にはいつも塗るように言ってある。だからなのか、全く日焼けしない。元から焼けるタイプではなく、赤くなる肌質をしている。そのため、夏は心配事が増える。今も心配している。ライトが強すぎて、体調は大丈夫なのかと。
「早瀬。ライトの強さは頭痛には響かないのか?」
「関係あるよ。強すぎて健康に悪いということはある。寝られなくなるんだ。興奮状態が続くような物だ」
「そうか……。今日のスタジオのセットは昨日よりも広い分、ライトの数も多い。緊張もする。生放送だからな」
「久弥はスタジオ内にいて、収録を見守っている。大丈夫だ。夏樹君なら、きっとやり遂げる」
「そうだといいんだが……。須賀さん。大和君は大丈夫だったか?」
「ああ、平気そうだ。今朝も体調が良さそうだった。二度目のデビューだ。スカイレールレコードからは意地悪なことを言われているようだが、大和だけじゃない。そういう子は大勢居るそうだ」
「そうだな。IKUが移籍先だ。大丈夫に決まっている」
俺達がテレビ画面を見ていると、早瀬のスマホに着信が入った。父親の孝則さんかららしい。このタイミングでどうしたのかと早瀬が愚痴を言いながら電話に出た。用件は、早瀬の作詞家デビューへの祝いだった。
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