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12時。
A6スタジオの中にいる。お昼の番組でバンドのことが紹介されて、俺達が登場することになる。生番組だ。まずはリーダーの悠人が挨拶し、順番にメンバーが挨拶する。今までは久弥が仕切ってくれていたが、その存在はいない。しかし、スタジオの中で収録を見守ってくれている。
「ナツキさん!こっちに立って下さい!」
「はい!」
俺にマイクが付けられた。藤下音響という会社がこのテレビ局と取引があり、今日はその会社のスタッフが来てくれた。縁起の良い人がいる会社だと噂がる。その人は栗下さんと言い、彼が取り付けたマイクから喋ると声がよく通り、収録に失敗がないのだという。デビューの時だからと、IKUから指定させて貰い、テレビ局の方も快く応じて貰えた。
藤下音響のことは久弥を通じて知った。ディアドロップ時代のコンサートで音響スタッフを担当してくれた会社だそうだ。メンバー同士は喧嘩していた状況だったのに、この会社が担当してくれるようになり、ステージの評判がぐっと良くなったそうだ。そういうわけで、ディスレクトサイドゼロを担当してくれるようになった。今までのバンドは縁が無かったわけでは無いが、ずっと同じ会社に担当して貰えず、今回から引き受けてくれた。何でもタイミングがあるのだと分かった。
藤下音響がスタッフに付いたということで、会社のジンクスが広く知られた。今までも知られていたが、テレビカメラの前でそれを伝えることになるから、ますます忙しくなって俺達のバンドが担当して貰えなくなったらどうしようと思っている。それだけ御利益ともいえるジンクスがある会社だ。
俺は悠人の隣に立ち、今、カメラが向けられた。テレビに登場する手前のシーンから動画に残し、ファンサイトに載せる予定をしている。そして、司会者から俺達のことが紹介されて、テレビにはデビュー曲のプロモーションビデオが流れ始めた。その間にテレビカメラの前に移動した。
「はい!オッケーです!みなさん、こっちのカメラです」
「はい!」
昨日はリラックスしたムードでカメラの前に立ったが、今回は生放送な分だけ緊張している。メンバー全員が揃い、それぞれが着ている衣装がそばにあるモニターに映った。みんなの顔が輝いている。そして、プロモーションビデオが流れ終わり、俺達のことが紹介された。
「今日はディスレクトサイドゼロのみなさんにお越し頂いております!新曲は4月10日発表です。I still love youです。では、メンバーの紹介をお願いします」
「はい。こんにちは。ディスレクトサイドゼロです。俺はリーダーでギターを担当しているユートです。よろしくお願いします」
パチパチパチ!
スタジオ内から拍手が起った。番組ゲストからの拍手もある。その拍手が落ち着いた頃に、今度は俺が挨拶をして、順番に、聡太郎、大和、琉芯へと移る。
「こんにちは。ボーカルのナツキです」
「ギターのソータです」
「ベースの大和です」
「ドラムの琉芯です」
パチパチパチ!
それぞれが挨拶を済ませて、今度は司会者から話しかけられた。新曲のアピールポイント、結成秘話、メンバー全員の年齢などだ。琉芯が高校を卒業したばかりだということでは驚きの声が上がった。普段は18歳という感じなのに、今の彼は全然違うからだ。さすがは大人に混ざってステージに立っていたと言うだけあるのか、いつもよりも大人っぽい。18歳に見えるのだが、28歳ぐらいに見えると、司会者からのイジリが入り、メンバーからもスタジオ内からも笑いが起った。その本人も笑っている。
その様子を見て、俺はホッとした。大和もリラックスしている。聡太郎は相変わらずのオーラの出し方で、頼もしいと思った。そして、悠人には番組ゲストからのイジリが入った。お笑い担当でそそっかしいという悠人君がリーダーでいいのかというイジリだ。それは台本通りだだったが、悠人の取った自然なリアクションにまた笑いが起った。その台本のセリフが本気で言っているかのようにしか聞こえなかったからだ。
「げええええっ。台本だっていうのに、本気で言っていますよねーーー」
「はははは!」
その台本のセリフを言ったのは羽音さんだ。心強い先輩だ。俺達から見える場所には久弥がいて、俺達のことを見て微笑んでいた。声はすっかり元通りで、身体も元気だ。久弥と仕事をしていた人達は、彼の声のことで驚き、良かったですと、誰もがそう言ってくれた。今も昔のようなハスキーな笑い声を立てているのだろう。
そして、俺達には新しいカメラが回り始めた。スタジオ内での記念撮影だ。ゲストと司会者とでカメラの前に立ち、笑顔を浮かべた。この様子をきっと黒崎と黒崎家の家族が見てくれているだろうと思い、なるべく緊張しないようにした。
A6スタジオの中にいる。お昼の番組でバンドのことが紹介されて、俺達が登場することになる。生番組だ。まずはリーダーの悠人が挨拶し、順番にメンバーが挨拶する。今までは久弥が仕切ってくれていたが、その存在はいない。しかし、スタジオの中で収録を見守ってくれている。
「ナツキさん!こっちに立って下さい!」
「はい!」
俺にマイクが付けられた。藤下音響という会社がこのテレビ局と取引があり、今日はその会社のスタッフが来てくれた。縁起の良い人がいる会社だと噂がる。その人は栗下さんと言い、彼が取り付けたマイクから喋ると声がよく通り、収録に失敗がないのだという。デビューの時だからと、IKUから指定させて貰い、テレビ局の方も快く応じて貰えた。
藤下音響のことは久弥を通じて知った。ディアドロップ時代のコンサートで音響スタッフを担当してくれた会社だそうだ。メンバー同士は喧嘩していた状況だったのに、この会社が担当してくれるようになり、ステージの評判がぐっと良くなったそうだ。そういうわけで、ディスレクトサイドゼロを担当してくれるようになった。今までのバンドは縁が無かったわけでは無いが、ずっと同じ会社に担当して貰えず、今回から引き受けてくれた。何でもタイミングがあるのだと分かった。
藤下音響がスタッフに付いたということで、会社のジンクスが広く知られた。今までも知られていたが、テレビカメラの前でそれを伝えることになるから、ますます忙しくなって俺達のバンドが担当して貰えなくなったらどうしようと思っている。それだけ御利益ともいえるジンクスがある会社だ。
俺は悠人の隣に立ち、今、カメラが向けられた。テレビに登場する手前のシーンから動画に残し、ファンサイトに載せる予定をしている。そして、司会者から俺達のことが紹介されて、テレビにはデビュー曲のプロモーションビデオが流れ始めた。その間にテレビカメラの前に移動した。
「はい!オッケーです!みなさん、こっちのカメラです」
「はい!」
昨日はリラックスしたムードでカメラの前に立ったが、今回は生放送な分だけ緊張している。メンバー全員が揃い、それぞれが着ている衣装がそばにあるモニターに映った。みんなの顔が輝いている。そして、プロモーションビデオが流れ終わり、俺達のことが紹介された。
「今日はディスレクトサイドゼロのみなさんにお越し頂いております!新曲は4月10日発表です。I still love youです。では、メンバーの紹介をお願いします」
「はい。こんにちは。ディスレクトサイドゼロです。俺はリーダーでギターを担当しているユートです。よろしくお願いします」
パチパチパチ!
スタジオ内から拍手が起った。番組ゲストからの拍手もある。その拍手が落ち着いた頃に、今度は俺が挨拶をして、順番に、聡太郎、大和、琉芯へと移る。
「こんにちは。ボーカルのナツキです」
「ギターのソータです」
「ベースの大和です」
「ドラムの琉芯です」
パチパチパチ!
それぞれが挨拶を済ませて、今度は司会者から話しかけられた。新曲のアピールポイント、結成秘話、メンバー全員の年齢などだ。琉芯が高校を卒業したばかりだということでは驚きの声が上がった。普段は18歳という感じなのに、今の彼は全然違うからだ。さすがは大人に混ざってステージに立っていたと言うだけあるのか、いつもよりも大人っぽい。18歳に見えるのだが、28歳ぐらいに見えると、司会者からのイジリが入り、メンバーからもスタジオ内からも笑いが起った。その本人も笑っている。
その様子を見て、俺はホッとした。大和もリラックスしている。聡太郎は相変わらずのオーラの出し方で、頼もしいと思った。そして、悠人には番組ゲストからのイジリが入った。お笑い担当でそそっかしいという悠人君がリーダーでいいのかというイジリだ。それは台本通りだだったが、悠人の取った自然なリアクションにまた笑いが起った。その台本のセリフが本気で言っているかのようにしか聞こえなかったからだ。
「げええええっ。台本だっていうのに、本気で言っていますよねーーー」
「はははは!」
その台本のセリフを言ったのは羽音さんだ。心強い先輩だ。俺達から見える場所には久弥がいて、俺達のことを見て微笑んでいた。声はすっかり元通りで、身体も元気だ。久弥と仕事をしていた人達は、彼の声のことで驚き、良かったですと、誰もがそう言ってくれた。今も昔のようなハスキーな笑い声を立てているのだろう。
そして、俺達には新しいカメラが回り始めた。スタジオ内での記念撮影だ。ゲストと司会者とでカメラの前に立ち、笑顔を浮かべた。この様子をきっと黒崎と黒崎家の家族が見てくれているだろうと思い、なるべく緊張しないようにした。
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