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どんな束縛だったのかは話を聞いて知っているが、慣れてきたら平気なような気がする。そんなものだ。そこで、ローザーさんにそれを言うと、笑いながら嫌がられてしまった。
「いやいやいや、夏樹君。あの人の束縛はダメよーーー。何時何分何秒にどこで何をしているのか知っておきたいだなんて、私は嫌よ。たぶん現場はどこだって聞いていたから、あの辺に居ると思うとか、あのスタジオって言っていたなーーーぐらいがちょうど良いの」
「それ、黒崎さんならアウトだよ。どこに居るのかはっきりしないなんて、絶対にダメ。俺のことで知らないことを作るのが何よりも嫌なんだ。ローザーさん、ためしに黒崎さんと付き合ってみてよ。聖河さんのことが分かるから。マシだって思うかも……」
「黒崎さんとは付き合ってみたいわねーー。食事デートなんて素敵でしょうね。黒崎ホールディングス、覚えているわよ。とってもかっこいい人なんだって、雑誌で読んだことはあるの。今だって、とても素敵よ。雰囲気が柔らかいと思ったけど、最近は張り詰めている感じがあるわよ。忙しいのね」
「そうなんだよ~」
ローザーさんは何でもはっきり教えてくれる。黒崎の雰囲気が変わったことを。俺が倒れたこと以外にも色々と気を遣わないといけないことがあり、黒崎の方こそ倒れそうだ。家のことは晴海さんに丸投げにしているが、一貴さんのことだったり二葉のことだったりと、忙しくなっている。
一貴さんは会食の機会が一段と増えた。黒崎とセットで申し込んでくる人がいて、日程調整としている。すでにセットで会った回数はもう10回もあり、昼と夜でハシゴしたこともある。その忙しさからの疲れがきていると思う。
二葉のことでは、なんと、一貴さんが黒崎家の息子だと知った人から、会ってみたいと言われることが増えて、黒崎が上手に言い訳を考えて断っているところだ。二葉は黒崎家の娘として、お義父さんや黒崎と一緒にパーティーに出るようになると思うが、まだ早いと考えている。それに、娘なのか息子なのか詮索を受けることで心を痛め、黒崎は傷ついていると思う。お見合いを断り続けて、二葉は男性の格好で仕事にも大学にも通っていると話が広まり、噂好きな人の格好のネタになってしまった。
俺のことはあまり心配していないと思う。IKUでチーム・ディスレクトサイドゼロが集まり、みんなで庇い合っているからだ。今日だって仲間に囲まれている。祖父のことでは心配を掛けてしまった。土曜日に伊吹が会いに行き、容態は落ち着いているとの報告を受けた。明日、退院するらしい。病院には父が行っているそうだ。
黒崎家からも見舞いを送った。祖母宛にしておいた。黒崎が手配してくれた。俺には昨日と今日の仕事に集中して欲しいからだという。何も心配は要らないと黒崎が言ってくれた。俺はそれに甘えて、丸投げにしている状況だ。今日の仕事を乗り越えたら、黒崎の肩の荷が少し下りると思う。
「黒崎さんが、デビューが済んだ後、うちで食事をしたいって話が出ているんだ。来てくれるかな?」
「もちろんお邪魔するわ。ミカちゃんも一緒に。でも、いいの?忙しいんでしょう」
「黒崎さんがそう言っているんだ。何か出来ないかなって思っていて、落ち着かないだろうから」
「そう?楽しみにしているわ。お土産で持って行きたい物があるから、持って行くわね。さあ、目を閉じて頂戴。アイラインを引くから……」
ローザーさんから促されて、俺は目を閉じた。これからローザーさんの魔法の一つが掛けられる。アイラインだ。彼が引くアイラインは目力がアップして、目が大きく見える。俺は目が大きい方だから、あまりやりすぎると宇宙人っぽくなるとローザーさんが言うから、控えめに引かれている。それでもくっきり見える。ステージでは大きく引く。今日はテレビ用にしてある。
はい、いいわよ。そんな声で目を開けると、鏡の中には違う自分がいた。ディスレクトサイドゼロのナツキだ。明るい色の髪の毛と真っ黒いアイラインとのコントラストがはっきりしている。今までよりもずっと大人に感じた。
そして、出番が来たとスタッフが呼びに来て、立ち上がった。黒のジャケットと革パンツ姿だ。これは俺の戦闘服のようなものであり、肩を回してストンと降ろして、なるべくリラックスするようにした。
「いやいやいや、夏樹君。あの人の束縛はダメよーーー。何時何分何秒にどこで何をしているのか知っておきたいだなんて、私は嫌よ。たぶん現場はどこだって聞いていたから、あの辺に居ると思うとか、あのスタジオって言っていたなーーーぐらいがちょうど良いの」
「それ、黒崎さんならアウトだよ。どこに居るのかはっきりしないなんて、絶対にダメ。俺のことで知らないことを作るのが何よりも嫌なんだ。ローザーさん、ためしに黒崎さんと付き合ってみてよ。聖河さんのことが分かるから。マシだって思うかも……」
「黒崎さんとは付き合ってみたいわねーー。食事デートなんて素敵でしょうね。黒崎ホールディングス、覚えているわよ。とってもかっこいい人なんだって、雑誌で読んだことはあるの。今だって、とても素敵よ。雰囲気が柔らかいと思ったけど、最近は張り詰めている感じがあるわよ。忙しいのね」
「そうなんだよ~」
ローザーさんは何でもはっきり教えてくれる。黒崎の雰囲気が変わったことを。俺が倒れたこと以外にも色々と気を遣わないといけないことがあり、黒崎の方こそ倒れそうだ。家のことは晴海さんに丸投げにしているが、一貴さんのことだったり二葉のことだったりと、忙しくなっている。
一貴さんは会食の機会が一段と増えた。黒崎とセットで申し込んでくる人がいて、日程調整としている。すでにセットで会った回数はもう10回もあり、昼と夜でハシゴしたこともある。その忙しさからの疲れがきていると思う。
二葉のことでは、なんと、一貴さんが黒崎家の息子だと知った人から、会ってみたいと言われることが増えて、黒崎が上手に言い訳を考えて断っているところだ。二葉は黒崎家の娘として、お義父さんや黒崎と一緒にパーティーに出るようになると思うが、まだ早いと考えている。それに、娘なのか息子なのか詮索を受けることで心を痛め、黒崎は傷ついていると思う。お見合いを断り続けて、二葉は男性の格好で仕事にも大学にも通っていると話が広まり、噂好きな人の格好のネタになってしまった。
俺のことはあまり心配していないと思う。IKUでチーム・ディスレクトサイドゼロが集まり、みんなで庇い合っているからだ。今日だって仲間に囲まれている。祖父のことでは心配を掛けてしまった。土曜日に伊吹が会いに行き、容態は落ち着いているとの報告を受けた。明日、退院するらしい。病院には父が行っているそうだ。
黒崎家からも見舞いを送った。祖母宛にしておいた。黒崎が手配してくれた。俺には昨日と今日の仕事に集中して欲しいからだという。何も心配は要らないと黒崎が言ってくれた。俺はそれに甘えて、丸投げにしている状況だ。今日の仕事を乗り越えたら、黒崎の肩の荷が少し下りると思う。
「黒崎さんが、デビューが済んだ後、うちで食事をしたいって話が出ているんだ。来てくれるかな?」
「もちろんお邪魔するわ。ミカちゃんも一緒に。でも、いいの?忙しいんでしょう」
「黒崎さんがそう言っているんだ。何か出来ないかなって思っていて、落ち着かないだろうから」
「そう?楽しみにしているわ。お土産で持って行きたい物があるから、持って行くわね。さあ、目を閉じて頂戴。アイラインを引くから……」
ローザーさんから促されて、俺は目を閉じた。これからローザーさんの魔法の一つが掛けられる。アイラインだ。彼が引くアイラインは目力がアップして、目が大きく見える。俺は目が大きい方だから、あまりやりすぎると宇宙人っぽくなるとローザーさんが言うから、控えめに引かれている。それでもくっきり見える。ステージでは大きく引く。今日はテレビ用にしてある。
はい、いいわよ。そんな声で目を開けると、鏡の中には違う自分がいた。ディスレクトサイドゼロのナツキだ。明るい色の髪の毛と真っ黒いアイラインとのコントラストがはっきりしている。今までよりもずっと大人に感じた。
そして、出番が来たとスタッフが呼びに来て、立ち上がった。黒のジャケットと革パンツ姿だ。これは俺の戦闘服のようなものであり、肩を回してストンと降ろして、なるべくリラックスするようにした。
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