青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 そんな俺に黒崎が気を遣ってくれて、あれやこれやと俺の気を引こうとしてくる。新作絵本や仕掛け絵本のプレゼントだ。レターセットもあった。これは海外で発売された物であり、都内で展示会があった。俺はしばらく出かけるのを控えるからと、黒崎が手配してくれて、買ってきてくれた。どれも凝った造りであり、使うのが勿体ないほどだ。他に文房具もあった。
 
 アンドリューにはご近所さんからお見舞いがきた。猫じゃらしなどだ。アンにはボールだ。お返しを考えないといけない。特に安斎さんからは二匹が使えるクッションがプレゼントされた。夏物クッションだ。さらっとした生地が触り心地が良くて、脱臭効果もあるそうだ。俺が枕にして寝たいぐらいだった。

 今日の料理は個別にパッケージがされて、ご近所さんに配ってある。いつもの黒崎の朝の見送りメンバーさん達だ。本当はパーティーに来て欲しかったが、それには俺にプレゼントを渡すということになり、色々と気を遣わせてしまう。だから、料理のおすそ分けにした。しかし、今日はたくさんのプレゼントを受け取った。何枚あっても助かるタオルハンカチや、美味しい物、一貴さんにはざるそば用のワサビの差し入れもあった。

 その一貴さんは今、アンとアンドリューのそばにいる。二葉も一緒だ。今さっき着いた朝陽のことを引っ張って、リビングに連れて行ってしまった。アンドリューの診察をさせるのだという。というのは冗談で、猫好きの朝陽に真っ先に見せたかったようだ。

「黒崎さん。みんな、大丈夫かな?」
「リビングか?俺もお前も席を外せない。後で見に行こう。二葉が居るから大丈夫だ」
「そうだね。ありがとう。こんなにたくさん、ありがとう。今日はたくさん食べて飲んでいってね」

 俺達は今、パーティーの招待客を迎えているところだ。それぞれからプレゼントを受け取っている。開封は後でする。まずはみんなを席に案内して、飲み物を飲んで貰うことにした。

 今日のために、ビールとワインをたくさん用意してある。日本酒もある。ソフトドリンクもある。料理は余るぐらいにテーブルの上に用意してあり、食べきって貰えることを望んでいる。

 俺達の前に沙耶さんがやって来た。旦那さんの熊澤さんと一緒だ。沙耶さんと会うときは何かあったときだから、今日のようなお祝いの席ではなかった。しかし、今日は誕生日パーティーの会場であり、家の中が落ち着いてきたなと嬉しくなった。

「夏樹君。誕生日おめでとう」
「ありがとう。いつも何かある時じゃないと会わないから、今日は新鮮な気分だよ~」
「そうよねえ。何もないのが一番だわ。黒崎君。これ、あなたにも。熊澤君と選んだネクタイなの。あなたって、自分の誕生日のことは忘れるもの。たまには受け取って頂戴」
「ああ。すまない。ありがとう」
「黒崎さん。開けてみたら?」
「ああ……」

 黒崎が包装紙を開いた。すると、渋い感じのネクタイが入っていた。これから先に使えるデザインを選んだのだと、沙耶さんが言った。そして、いつでも元気でという言葉を貰った。

「沙耶さん。うっうっ。ありがとうね~。黒崎さんってばさ、自分のことは後回しにするから、いつ大きな病気をするかって、心配になっているんだ~」
「ばかやろう。俺は人間ドックも定期検診も受けている。去年の発作はたまたまだ。あれからないだろう」
「そうだけどさ~。あ、紫乙さんだ!紹介したかったんだよ。聖河さんも来てくれたね。ローザーさんも……」
「あら、会いたかったのよ。こんばんは!」
「こんばんは」
「こんばんはーー」

 俺達の周りに紫乙さん達やローザーさんがやって来た。沙耶さん達とは初対面だ。俺と黒崎はそれぞれに紹介を始めて、あれやこれやと話題を振った。すると、月島さんの声がした。ユーリーも声もした。門の前にはユーリーが迎えに出ていて、みんなのことを案内してくれている。ということは、月島さんが最後だろうか。そこで俺は部屋の中を見回すと、そのようだと分かった。

「月島さん。沙耶さんを紹介するよ。こっちに来てよ」
「ああ、こんばんは。キシヤマ味噌の月島です」
「こんばんは。熊澤です。こちらは私の主人です。あら、ユリウスさんが何かしているわ。どうしたのかしら?」
「ん?」

 たしかに沙耶さんの言うとおりだ。ユーリーが出入り口のところで立ち往生している。そこで話しかけると、その答えを聞いて驚いた。月島さんが連れてきた霊達が居るというからだ。しかし、俺は悲鳴を上げると冗談だと言われて、そして、この家に居る霊だと言われて、もう一度悲鳴を上げてしまった。
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