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リビングの中にいる。ユーリーがソファーで横たわっている。頭がフラフラして倒れるだなんて、病気があるに決まっている。脳の病気だ。そのいくつかの病名が頭によぎった。身体に麻痺が残ったり、命を落とす人が居る。それだけ大変な病気だ。俺としてはすぐに病院で診てもらった方が良いと思っている。黒崎がユーリーのそばに座り、手が痺れていないかを聞いた。ユーリーは何もないと答えた。
「圭一。どうってことはないよ。飲み過ぎだ」
「最後の酒を飲んでから8時間経つ。酒のせいじゃないだろう。飲み過ぎで身体に何かあったんだろう。病院に連れて行く。親父が聖加世病院の救急センターに連絡を取っている。向こうは救急車で来てもらいたいそうだが、お前が遠慮するなら、仕方が無い。車で連れて行く」
「本当に大丈夫だ」
「今朝からおかしかった。フラついていただろう。酒のせいなら尚更だ。最近、飲み過ぎだ。何かあったのか?」
「何も無いよ。僕まで病院に行くのは恥ずかしい。この間は夏樹が行った」
「ユーリー。そんなことを言ってもだめだよ。もう行くって言ってあるんだからさ。ノアにも知らせておくよ。月島さんにもね。夕方頃に電話が入るんだろ?電話に出られないって、ラインに書いて送っておくよ。エミリアさんには二葉から連絡を取るよ」
「ああ……」
ユーリーが身体の力を抜いた。頭に手を当てて項垂れている。身体がつらいのだろうか。それとも、病院が怖いのだろうか。もしかして、迷惑を掛けてしまったと思っているだろうか。
「ユーリー。遠慮なんてするなよ。俺の頭痛の時なんか、ずっと世話してくれたじゃん。いつも居てくれるって思っているから安心しているんだよ。あんたが倒れて、お義父さんも黒崎さんもそわそわしているよ」
「アンドリューはどうするんだ?」
「山崎さんと佐山さんが預かってくれるんだ。アンのこともね。だから、俺も行くよ。あ、二葉……」
「俺がいるだろ。俺も2匹のことを預かるよ。ユリウスのことも任せておけ」
リビングに二葉が入ってきた。その姿は今までと違う感じがある。男らしくなりたいと言っていたのに、最近の二葉は女性的に変わった。本人は以前と変わらず男の格好をしているし、男性に間違われることがあったが、今の彼女は違う。もう女性にしか見えない。冬は男性にしか見えなかったのに。黒崎家のお祖母さんの若い頃の写真とそっくりな顔立ちをしている。たしかに彼女はこの家の人間であると分かる。
本人も女性的に変わったことは分かっている。これはもうどうすることもできないのだと受け入れている。薬を使って男性的になる治療が検討されたが、本人は薬を使わないことを選んだ。手術もしない。ありのままでいることを決めたから、身体や顔つきが女性的になろうとも、性別がそうなのだから当然だという考えをしている。去年までは自分がどっちの性別か迷っていたが、今の彼女はその迷いが薄れている。どっちでも無いかも知れない。そう言っている。気にしたところで身体が男に変わるわけでもなく、自分は自分だという考えだ。
黒崎製菓のトイレは男女の分と多目的の分があるが、今の二葉は女性の方を使っている。更衣室も女性の方だ。今までは秘書室の隣の部屋があてがわれていたが、特別扱いになるからと、女性に混ざることを選んだ。身体が女性だからだ。シンプルな話だと言っていた。
「二葉。ユーリーが病院に行きたくないってさ」
「誰か亡くなったことを思い出したのか?」
「いいや。そうじゃないよ。僕は病院が苦手なだけだ。真っ白い壁が恐怖心を誘う」
「そっか。聖加世病院の壁はクリーム色だったと思うよ。あれーー?白だったかな?二葉、どっちだったっけ?」
「夏樹。その手の嘘はバレるぞ。病院の壁は白だ。俺が家に残るから、みんなでユーリーに付き添ってよ。カズ兄さんのことは連れて行った方が良いと思うから」
「そうだねえ。死なないでくれって泣いているもんね……」
このリビングの中が気ぜわしい。一貴さんがシクシクと泣いているからだ。アテンドラテを飲んだ後、気分が高揚してきたと言っていた。そして、感情の波が大きくなり、悲しかったり嬉しかったりという気分が起きたそうだ。そして、ユーリーが倒れている中、一貴さんのことを心配しているから、一貴さんとしては嬉しくなり、悲しくなったというわけだ。ヨーク達が居る影響もあると思う。
「圭一。どうってことはないよ。飲み過ぎだ」
「最後の酒を飲んでから8時間経つ。酒のせいじゃないだろう。飲み過ぎで身体に何かあったんだろう。病院に連れて行く。親父が聖加世病院の救急センターに連絡を取っている。向こうは救急車で来てもらいたいそうだが、お前が遠慮するなら、仕方が無い。車で連れて行く」
「本当に大丈夫だ」
「今朝からおかしかった。フラついていただろう。酒のせいなら尚更だ。最近、飲み過ぎだ。何かあったのか?」
「何も無いよ。僕まで病院に行くのは恥ずかしい。この間は夏樹が行った」
「ユーリー。そんなことを言ってもだめだよ。もう行くって言ってあるんだからさ。ノアにも知らせておくよ。月島さんにもね。夕方頃に電話が入るんだろ?電話に出られないって、ラインに書いて送っておくよ。エミリアさんには二葉から連絡を取るよ」
「ああ……」
ユーリーが身体の力を抜いた。頭に手を当てて項垂れている。身体がつらいのだろうか。それとも、病院が怖いのだろうか。もしかして、迷惑を掛けてしまったと思っているだろうか。
「ユーリー。遠慮なんてするなよ。俺の頭痛の時なんか、ずっと世話してくれたじゃん。いつも居てくれるって思っているから安心しているんだよ。あんたが倒れて、お義父さんも黒崎さんもそわそわしているよ」
「アンドリューはどうするんだ?」
「山崎さんと佐山さんが預かってくれるんだ。アンのこともね。だから、俺も行くよ。あ、二葉……」
「俺がいるだろ。俺も2匹のことを預かるよ。ユリウスのことも任せておけ」
リビングに二葉が入ってきた。その姿は今までと違う感じがある。男らしくなりたいと言っていたのに、最近の二葉は女性的に変わった。本人は以前と変わらず男の格好をしているし、男性に間違われることがあったが、今の彼女は違う。もう女性にしか見えない。冬は男性にしか見えなかったのに。黒崎家のお祖母さんの若い頃の写真とそっくりな顔立ちをしている。たしかに彼女はこの家の人間であると分かる。
本人も女性的に変わったことは分かっている。これはもうどうすることもできないのだと受け入れている。薬を使って男性的になる治療が検討されたが、本人は薬を使わないことを選んだ。手術もしない。ありのままでいることを決めたから、身体や顔つきが女性的になろうとも、性別がそうなのだから当然だという考えをしている。去年までは自分がどっちの性別か迷っていたが、今の彼女はその迷いが薄れている。どっちでも無いかも知れない。そう言っている。気にしたところで身体が男に変わるわけでもなく、自分は自分だという考えだ。
黒崎製菓のトイレは男女の分と多目的の分があるが、今の二葉は女性の方を使っている。更衣室も女性の方だ。今までは秘書室の隣の部屋があてがわれていたが、特別扱いになるからと、女性に混ざることを選んだ。身体が女性だからだ。シンプルな話だと言っていた。
「二葉。ユーリーが病院に行きたくないってさ」
「誰か亡くなったことを思い出したのか?」
「いいや。そうじゃないよ。僕は病院が苦手なだけだ。真っ白い壁が恐怖心を誘う」
「そっか。聖加世病院の壁はクリーム色だったと思うよ。あれーー?白だったかな?二葉、どっちだったっけ?」
「夏樹。その手の嘘はバレるぞ。病院の壁は白だ。俺が家に残るから、みんなでユーリーに付き添ってよ。カズ兄さんのことは連れて行った方が良いと思うから」
「そうだねえ。死なないでくれって泣いているもんね……」
このリビングの中が気ぜわしい。一貴さんがシクシクと泣いているからだ。アテンドラテを飲んだ後、気分が高揚してきたと言っていた。そして、感情の波が大きくなり、悲しかったり嬉しかったりという気分が起きたそうだ。そして、ユーリーが倒れている中、一貴さんのことを心配しているから、一貴さんとしては嬉しくなり、悲しくなったというわけだ。ヨーク達が居る影響もあると思う。
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