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室内に入ると、いくつもの段ボールが積み重ねられていた。これから運び出すそうだ。新しい部屋では黒崎達が待っているから任せておける。そういうわけで、晴海さんは最後にこの部屋の中で写真を撮っていくそうだ。
「とうとう引っ越しだね。業者さんの姿が見えなかったけど、どこに居るんだろ?」
「下で作業をしていた。もう上がってきたぞ」
「あ、ここじゃ邪魔になるね」
引っ越し業者のお兄さん達が部屋の中に入ってきた。そして、これからトラックに荷物を運び出すと言った。全部で6人居る。晴海さんの荷物の多さから、この人数になったようだ。一人暮らしでは2人来ると聞いていた。俺と黒崎の引っ越しの時は4人だった。俺の荷物が多かったが、少ない人数だそうだ。
俺はずらっと並べられた段ボールを眺めて写真を撮った。リビングに所狭しと並べられている。すでにベッドが無い。昨夜はどこで寝たのだろう。新居だろうか。
「昨夜はどこで寝たの?」
「近くにあるホテルで寝た。ベッドは処分した。この際、新しい家では新しいベッドで寝たいと思ったからだ」
「この際?」
「思い出が詰まっている」
「え?晴海お兄ちゃん。恋人がいたのかよ?」
「ああ。最近じゃ無いけどな」
「ヒョーーーー!」
これは初耳だ。そんなに良い人が居たのか。そんなことをつぶやくと、怒られてしまった。それを神仙教授が慰めてくれて、助けてくれた。教授のこともこんなにいい人だと思わなかった。プライベートは違うのだと思った。
「うっうっ。きょうじゅーー、いい人だねえ。初めて知ったよ」
「黒崎君。口を閉じたまえ。さすがに僕でも庇いきれない」
「え、もう庇ってくれないんですか?」
「あんまり悪いことを言うとだ。ここに呼んだのは、君との記念を作りたかったからだ。僕は生まれて初めての友達ができた。君のおかげだ。こちらの晴海君と親しくなれた。ここでお茶を飲んで写真を撮りたかった」
「でも、食器類は段ボールの中ですよ?業者さんが運び出しているし……」
「ここにセットがある。これだ」
「ふうん……」
神仙教授が差し出してきたのは、コンビニの袋だ。中にはアールグレイティーのペットボトルと紙コップが入っていた。これでここでお茶というわけだ。しかし、業者さんが作業をしている中、悪いと思った。ぼーっと立っているのも申し訳ない気がしている。
「教授、運び出しの後にしましょう」
「もう終わる。さあ、こっちの部屋に来てくれ。日差しが入って温かい。暑いぐらいだ。ここで僕は晴海君と初めてお茶を飲んだ。それがこのアールグレイティーだった」
「ほんとだ!もう運び出しが終わりそう!」
教授が言ったとおり、荷物の運び出しが終わりそうだと思った。しかし、それは錯覚だった。晴海さんがリビングの隣の部屋を指したからだ。そこにも段ボールがあるそうだ。しかし、俺達はすることが無い。運び出しの後の掃除も業者さんがしてくれるそうで、後は退去するときの立ち会いだけで良いそうだ。その立ち会いは3日後に行われる。
俺達は教授が指し示した場所に行き、床に座った。そして、教授が紙コップを並べて、紅茶をついでいった。窓からは日差しが降り注ぎ、今日の天気の良さを感じた。こういう日に引っ越しだなんてラッキーだと思った。
「さあ、どうぞ」
「頂きます」
一貴さんが紙コップを手に取った。彼の後ろでは業者さんがスピーディーに動いている。そんな中でお茶を飲むなんて、教授のマイペースさを感じた。なんだか俺は遠慮がちな気分になった。すると、晴海さんが、彼らからはゆっくりしていてくれと言われているのだと言った。
「近くに居ない方が良い。邪魔になる」
「そうだね。楽しむことにするよ。カズ兄さん、コップをしっかり持たないといけないよ。こぼすと大変だよ」
「ああ、しっかり持っている。それにしても、広い部屋だったな。今度の部屋の間取りはどうなんだ?」
「同じ広さだ。少々、向こうの方が広いかも知れない。教授が泊まりに来るための部屋を用意してある」
「ぶっ」
その話に驚き、お茶を拭いてしまった。一貴さんに注意したのに、俺の方がこぼしそうだ。俺はポケットに入れてあったハンカチで口元を拭いて、ゲホゲホとむせ返った。
「とうとう引っ越しだね。業者さんの姿が見えなかったけど、どこに居るんだろ?」
「下で作業をしていた。もう上がってきたぞ」
「あ、ここじゃ邪魔になるね」
引っ越し業者のお兄さん達が部屋の中に入ってきた。そして、これからトラックに荷物を運び出すと言った。全部で6人居る。晴海さんの荷物の多さから、この人数になったようだ。一人暮らしでは2人来ると聞いていた。俺と黒崎の引っ越しの時は4人だった。俺の荷物が多かったが、少ない人数だそうだ。
俺はずらっと並べられた段ボールを眺めて写真を撮った。リビングに所狭しと並べられている。すでにベッドが無い。昨夜はどこで寝たのだろう。新居だろうか。
「昨夜はどこで寝たの?」
「近くにあるホテルで寝た。ベッドは処分した。この際、新しい家では新しいベッドで寝たいと思ったからだ」
「この際?」
「思い出が詰まっている」
「え?晴海お兄ちゃん。恋人がいたのかよ?」
「ああ。最近じゃ無いけどな」
「ヒョーーーー!」
これは初耳だ。そんなに良い人が居たのか。そんなことをつぶやくと、怒られてしまった。それを神仙教授が慰めてくれて、助けてくれた。教授のこともこんなにいい人だと思わなかった。プライベートは違うのだと思った。
「うっうっ。きょうじゅーー、いい人だねえ。初めて知ったよ」
「黒崎君。口を閉じたまえ。さすがに僕でも庇いきれない」
「え、もう庇ってくれないんですか?」
「あんまり悪いことを言うとだ。ここに呼んだのは、君との記念を作りたかったからだ。僕は生まれて初めての友達ができた。君のおかげだ。こちらの晴海君と親しくなれた。ここでお茶を飲んで写真を撮りたかった」
「でも、食器類は段ボールの中ですよ?業者さんが運び出しているし……」
「ここにセットがある。これだ」
「ふうん……」
神仙教授が差し出してきたのは、コンビニの袋だ。中にはアールグレイティーのペットボトルと紙コップが入っていた。これでここでお茶というわけだ。しかし、業者さんが作業をしている中、悪いと思った。ぼーっと立っているのも申し訳ない気がしている。
「教授、運び出しの後にしましょう」
「もう終わる。さあ、こっちの部屋に来てくれ。日差しが入って温かい。暑いぐらいだ。ここで僕は晴海君と初めてお茶を飲んだ。それがこのアールグレイティーだった」
「ほんとだ!もう運び出しが終わりそう!」
教授が言ったとおり、荷物の運び出しが終わりそうだと思った。しかし、それは錯覚だった。晴海さんがリビングの隣の部屋を指したからだ。そこにも段ボールがあるそうだ。しかし、俺達はすることが無い。運び出しの後の掃除も業者さんがしてくれるそうで、後は退去するときの立ち会いだけで良いそうだ。その立ち会いは3日後に行われる。
俺達は教授が指し示した場所に行き、床に座った。そして、教授が紙コップを並べて、紅茶をついでいった。窓からは日差しが降り注ぎ、今日の天気の良さを感じた。こういう日に引っ越しだなんてラッキーだと思った。
「さあ、どうぞ」
「頂きます」
一貴さんが紙コップを手に取った。彼の後ろでは業者さんがスピーディーに動いている。そんな中でお茶を飲むなんて、教授のマイペースさを感じた。なんだか俺は遠慮がちな気分になった。すると、晴海さんが、彼らからはゆっくりしていてくれと言われているのだと言った。
「近くに居ない方が良い。邪魔になる」
「そうだね。楽しむことにするよ。カズ兄さん、コップをしっかり持たないといけないよ。こぼすと大変だよ」
「ああ、しっかり持っている。それにしても、広い部屋だったな。今度の部屋の間取りはどうなんだ?」
「同じ広さだ。少々、向こうの方が広いかも知れない。教授が泊まりに来るための部屋を用意してある」
「ぶっ」
その話に驚き、お茶を拭いてしまった。一貴さんに注意したのに、俺の方がこぼしそうだ。俺はポケットに入れてあったハンカチで口元を拭いて、ゲホゲホとむせ返った。
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