625 / 938
18-15
しおりを挟む
そこで俺は聞いてみたくなった。今まで大学内で口説かれたことがあるのかと。教授は生徒に人気がある。生徒から告白されたこともありそうだ。そして、晴海さんのことはどうかと聞いてみたい。そう考えて、随分と俺は性格が変わったことに気づいた。昔の俺は人のことに興味がなかったのに、今なんてお節介を焼きまくっている。今ここで話をしているユーリーにも関心がある。
「南波君!電話を切らないでくれ。今度の約束は必ず守る」
「約束?本当にどうしたのかな?」
南波さんとは友達の距離を保っているはずだ。これではまるで、デートをすっぽかしてしまったユーリーが謝っているように聞こえる。そもそも、そんなことをしそうにないのに。人との約束はきちんと守る人だ。時間だって守る。そういう点ではとても真面目で、信頼ができる。そもそも、謝らないといけないことをしない人でもある。
ユーリーがニコニコしたままだ。ということは、喧嘩ではないのだろう。いや、南波さんだけが怒っているのか。俺達は席を外した方が良さそうだと思った。愛しているなんて言葉が出てくるとは驚いたが、ユーリーならあり得る。本当に真面目な人だから、本気でそう思っているのが分かる。
「教授。彼のことは放っておきましょう」
「そうだね。僕はさっき口説かれていたんだよ」
「そうですよねえ。オカルト研究部には入るんですよね?」
「そうするよ。もう返事をしてしまった。ははは。UFOロードか。一貴さん。ご存じでしたか?」
「いやーー、僕は知らない場所です。ウーリに聞くんですか?聞いてみます。……知っているそうです。出るそうですよ。そこ……」
「それは楽しみだ。旅行はいつだろう」
「あ……」
俺達は立ち止まった。晴海さんがじっとこっちを見ていたからだ。自分の居ないところで教授が楽しそうにしていたからだろう。晴海さんはそういう一面がある。そう思って、何でもないことだと晴海さんに言おうとすると、はあっと彼が深呼吸をして、こっちに来た。
「別に、友達を盗られた気分じゃないぞ」
「晴海お兄ちゃん。そうだよ。さっきね、ユーリーが教授のことをオカルト研究部に誘っていたんだ。そこでオッケーが貰えたところ。ユーリーは今、別の人と電話で話しているよ。そうですよね?教授……」
「そうだよ。晴海君。君のことは分かっている。僕は君とは体験親しい友人同士だ。ここの内見に同行した。ここは強調しておく。僕が泊まったときに使う部屋は奥にしたのかな?」
「ああ。そっちの部屋にした。手前が俺の寝室だ」
晴海さんが奥の部屋を指して、俺達のことを連れていった。3LDKという間取りは一人暮らしには広いだろうと思っていたが、誰かが泊まるなら部屋数はあった方が良いと思った。
そこで、俺と黒崎が付き合うことになった当時のことを振り返った。同じように、広い部屋に住んでいた黒崎だった。俺が泊まりに行くようになり、ガランとした部屋に俺の荷物が積まれるようになり、手狭になるほどだった。晴海さんもそうなると良いのにと思った。元から荷物の多いタイプのところに人が増える状況だ。
晴海さんがまず先に教授のことを奥の部屋に通した。そこはスタイリッシュな内装の部屋だった。ここにベッドを置くと指し示した場所を見て、教授が首を横に振った。自分はリビングでいいからだという。
「教授。遠慮するな。冬は風邪を引く。ふ、ふ、冬になっても俺と一緒に……」
「僕はリビングでいいよ。ああ、そうだ。他にもお客さんが来るだろう。客間にするといい。それに、君は恋人が欲しいと言っていただろう。この部屋は風水で決めた物件だ。恋愛、家庭運に良い方角だった。そういうわけで、その人のために開けておきたまえ」
「……」
晴海さんが押し黙った。さっき言いかけたことは告白だったと思う。きっと、冬になっても俺と一緒にいてくれという事が言いたかったのだろう。しかし、教授はそれに気づいていない。
俺としてはもどかしい。しかし、晴海さんに友達が出来て良かったと思った。風水で決めたなんて、今回の恋に一生を掛けているのだと思った。そこで、本で読んだのかと聞いてみると、そうだった。書店に行った時は教授も同行したのだと知り、さらに驚いたのだった。晴海さんが占いを信じるとは思わなかったからだった。
さて、家の中にはどんどん家具が運び入れられている。黒崎が指揮し、ここに向こうにと指示を出し、お兄さん達に運んで貰っている。その様子は頼もしくて、胸がときめいたのだった。
「南波君!電話を切らないでくれ。今度の約束は必ず守る」
「約束?本当にどうしたのかな?」
南波さんとは友達の距離を保っているはずだ。これではまるで、デートをすっぽかしてしまったユーリーが謝っているように聞こえる。そもそも、そんなことをしそうにないのに。人との約束はきちんと守る人だ。時間だって守る。そういう点ではとても真面目で、信頼ができる。そもそも、謝らないといけないことをしない人でもある。
ユーリーがニコニコしたままだ。ということは、喧嘩ではないのだろう。いや、南波さんだけが怒っているのか。俺達は席を外した方が良さそうだと思った。愛しているなんて言葉が出てくるとは驚いたが、ユーリーならあり得る。本当に真面目な人だから、本気でそう思っているのが分かる。
「教授。彼のことは放っておきましょう」
「そうだね。僕はさっき口説かれていたんだよ」
「そうですよねえ。オカルト研究部には入るんですよね?」
「そうするよ。もう返事をしてしまった。ははは。UFOロードか。一貴さん。ご存じでしたか?」
「いやーー、僕は知らない場所です。ウーリに聞くんですか?聞いてみます。……知っているそうです。出るそうですよ。そこ……」
「それは楽しみだ。旅行はいつだろう」
「あ……」
俺達は立ち止まった。晴海さんがじっとこっちを見ていたからだ。自分の居ないところで教授が楽しそうにしていたからだろう。晴海さんはそういう一面がある。そう思って、何でもないことだと晴海さんに言おうとすると、はあっと彼が深呼吸をして、こっちに来た。
「別に、友達を盗られた気分じゃないぞ」
「晴海お兄ちゃん。そうだよ。さっきね、ユーリーが教授のことをオカルト研究部に誘っていたんだ。そこでオッケーが貰えたところ。ユーリーは今、別の人と電話で話しているよ。そうですよね?教授……」
「そうだよ。晴海君。君のことは分かっている。僕は君とは体験親しい友人同士だ。ここの内見に同行した。ここは強調しておく。僕が泊まったときに使う部屋は奥にしたのかな?」
「ああ。そっちの部屋にした。手前が俺の寝室だ」
晴海さんが奥の部屋を指して、俺達のことを連れていった。3LDKという間取りは一人暮らしには広いだろうと思っていたが、誰かが泊まるなら部屋数はあった方が良いと思った。
そこで、俺と黒崎が付き合うことになった当時のことを振り返った。同じように、広い部屋に住んでいた黒崎だった。俺が泊まりに行くようになり、ガランとした部屋に俺の荷物が積まれるようになり、手狭になるほどだった。晴海さんもそうなると良いのにと思った。元から荷物の多いタイプのところに人が増える状況だ。
晴海さんがまず先に教授のことを奥の部屋に通した。そこはスタイリッシュな内装の部屋だった。ここにベッドを置くと指し示した場所を見て、教授が首を横に振った。自分はリビングでいいからだという。
「教授。遠慮するな。冬は風邪を引く。ふ、ふ、冬になっても俺と一緒に……」
「僕はリビングでいいよ。ああ、そうだ。他にもお客さんが来るだろう。客間にするといい。それに、君は恋人が欲しいと言っていただろう。この部屋は風水で決めた物件だ。恋愛、家庭運に良い方角だった。そういうわけで、その人のために開けておきたまえ」
「……」
晴海さんが押し黙った。さっき言いかけたことは告白だったと思う。きっと、冬になっても俺と一緒にいてくれという事が言いたかったのだろう。しかし、教授はそれに気づいていない。
俺としてはもどかしい。しかし、晴海さんに友達が出来て良かったと思った。風水で決めたなんて、今回の恋に一生を掛けているのだと思った。そこで、本で読んだのかと聞いてみると、そうだった。書店に行った時は教授も同行したのだと知り、さらに驚いたのだった。晴海さんが占いを信じるとは思わなかったからだった。
さて、家の中にはどんどん家具が運び入れられている。黒崎が指揮し、ここに向こうにと指示を出し、お兄さん達に運んで貰っている。その様子は頼もしくて、胸がときめいたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる