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俺は壁に掛けられた絵を眺めた。これでいいと答えると、風林が荷物の運搬作業に戻っていった。段ボールに入った荷物の搬入だ。昨日、兄さんの前の家に行って、段ボールの数を見ておいた。荷ほどきのサービスを頼んでいるとはいえ、終わるのは日が暮れそうだ。しかし、楠木は2時間で終わらせますと言い切ったそうだ。
「当日のスケジュールと、搬入、設置提案書か……」
クリアファイルに入った書類を手元に広げた。引っ越しのアザレアが作成した物だ。家具の配置図、食器の置き方、洗面所回りの物の設置案、テレビの設置案などだ。大変細かく作られている。兄さんと楠木との間での打ち合わせによって作られた物だ。しかし、兄さんは一時間ほどで打ち合わせが終わったと言っていた。ほとんど、楠木が前の家に置いてある家具と食器、小物類を見て回り、作成したそうだ。そして、提案書に同意して、今日の引っ越しになった。
「“お客様の時間を大切にします。丁寧でスピーディーな引っ越しなら当社にお任せ下さい。引っ越しのアザレアは全国ネットワーク展開中”。ここ3年で急成長した会社だ。元はオモト引っ越しセンターという名前だったな」
引っ越しのアザレアは元あった会社を買い取る形で社長が就任した。その社長が島崎守といい、43歳だ。彼が社長に就任後に名前を変えて、業績が急上昇した。スタッフの良さがウリだ。段取りの上手いスタッフが揃っているという。そして、男女合わせて多くの数の社員を抱えている。引っ越しはなくてはならない業種だ。これからも発展していくだろう。
「風林君をヘッドハンティングしたい。“アザレアのスタッフは全員が社員。研修制度も回数も充実しており、お客様の満足のいくサービスを提供いたいます”。給料はいくらなのか聞いておこう」
そう思って俺は、風林のことを待った。今、スタッフに指示を出しているところだ。そして、その指示が終わり、外に出ようとしたところへ声を掛けた。
「風林君。すまないが、聞きたいことがある」
「はい!」
「給料はいくらだ?」
「あの……」
「他の奴からも聞かれたことあるんだろう。俺にも教えてくれ」
「それは漏らしてはいけないことになっています」
「そう言わずに。これか?それともこれか?」
俺はいくつか指の形を作った。年収を聞いている。風林は困ったという顔になった。しかし、不機嫌そうではない。柔らかく、俺の質問を受け止めてくれようとしているのが伝わってきた。
「お客様。その質問は……」
「俺は引っ越し業者じゃない。菓子メーカーだ。興味がある。君ならこれぐらいあるだろう」
「いえ……。いや、そうです」
「当たりか。単刀直入に言う。俺の勤務先は黒崎製菓だ。これだけ出す。どうだろうか。本気だ」
「え?」
「これだけ出す。興味を出してくれたか」
俺は指で数字を作った。その最終的な数字に風林が驚いた顔をした。それに加えて、賞与の回数と金額を伝えた。これで動いて貰いたい。俺の見る目は正しいと自負している。今までヘッドハンティングをしてきてある。転職者の採用面接にも何度も出ている。しかし、基本は密漁が良い。こうして出会えた人財を大切にしたい。
「仕事は営業と事務がある。君なら営業がいい」
「俺は現場で動く方が好きなんです」
「そうか。なら、営業でどうだ」
「地道にコツコツをするのが好きなんです。俺、オフィスワークは向いていないと思います。最初に入った会社がそうだったので」
「そうか。どこだ」
「岡田商事という会社です。大学卒業後に……。あ……」
「そこまで話してくれるのか。俺との相性が良い証拠だ。帰りまでに考えてくれ」
風林が漏らした話に喜びが生まれた。こうして会話の糸口を導き出し、話をさせるのが快感だ。いや、風林が気を悪くするだろうか。しかし、こうして俺は今までやってきた。黒崎ホールディングス時代はヘッドハンティングを多くやって来ている。俺に目の狂いはない。その自信がある。
「当日のスケジュールと、搬入、設置提案書か……」
クリアファイルに入った書類を手元に広げた。引っ越しのアザレアが作成した物だ。家具の配置図、食器の置き方、洗面所回りの物の設置案、テレビの設置案などだ。大変細かく作られている。兄さんと楠木との間での打ち合わせによって作られた物だ。しかし、兄さんは一時間ほどで打ち合わせが終わったと言っていた。ほとんど、楠木が前の家に置いてある家具と食器、小物類を見て回り、作成したそうだ。そして、提案書に同意して、今日の引っ越しになった。
「“お客様の時間を大切にします。丁寧でスピーディーな引っ越しなら当社にお任せ下さい。引っ越しのアザレアは全国ネットワーク展開中”。ここ3年で急成長した会社だ。元はオモト引っ越しセンターという名前だったな」
引っ越しのアザレアは元あった会社を買い取る形で社長が就任した。その社長が島崎守といい、43歳だ。彼が社長に就任後に名前を変えて、業績が急上昇した。スタッフの良さがウリだ。段取りの上手いスタッフが揃っているという。そして、男女合わせて多くの数の社員を抱えている。引っ越しはなくてはならない業種だ。これからも発展していくだろう。
「風林君をヘッドハンティングしたい。“アザレアのスタッフは全員が社員。研修制度も回数も充実しており、お客様の満足のいくサービスを提供いたいます”。給料はいくらなのか聞いておこう」
そう思って俺は、風林のことを待った。今、スタッフに指示を出しているところだ。そして、その指示が終わり、外に出ようとしたところへ声を掛けた。
「風林君。すまないが、聞きたいことがある」
「はい!」
「給料はいくらだ?」
「あの……」
「他の奴からも聞かれたことあるんだろう。俺にも教えてくれ」
「それは漏らしてはいけないことになっています」
「そう言わずに。これか?それともこれか?」
俺はいくつか指の形を作った。年収を聞いている。風林は困ったという顔になった。しかし、不機嫌そうではない。柔らかく、俺の質問を受け止めてくれようとしているのが伝わってきた。
「お客様。その質問は……」
「俺は引っ越し業者じゃない。菓子メーカーだ。興味がある。君ならこれぐらいあるだろう」
「いえ……。いや、そうです」
「当たりか。単刀直入に言う。俺の勤務先は黒崎製菓だ。これだけ出す。どうだろうか。本気だ」
「え?」
「これだけ出す。興味を出してくれたか」
俺は指で数字を作った。その最終的な数字に風林が驚いた顔をした。それに加えて、賞与の回数と金額を伝えた。これで動いて貰いたい。俺の見る目は正しいと自負している。今までヘッドハンティングをしてきてある。転職者の採用面接にも何度も出ている。しかし、基本は密漁が良い。こうして出会えた人財を大切にしたい。
「仕事は営業と事務がある。君なら営業がいい」
「俺は現場で動く方が好きなんです」
「そうか。なら、営業でどうだ」
「地道にコツコツをするのが好きなんです。俺、オフィスワークは向いていないと思います。最初に入った会社がそうだったので」
「そうか。どこだ」
「岡田商事という会社です。大学卒業後に……。あ……」
「そこまで話してくれるのか。俺との相性が良い証拠だ。帰りまでに考えてくれ」
風林が漏らした話に喜びが生まれた。こうして会話の糸口を導き出し、話をさせるのが快感だ。いや、風林が気を悪くするだろうか。しかし、こうして俺は今までやってきた。黒崎ホールディングス時代はヘッドハンティングを多くやって来ている。俺に目の狂いはない。その自信がある。
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