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控え室はすぐ近くにあった。中に入ると、テーブルと椅子が何脚もあって、誰かが訪ねてきて話をしていたのだと分かった。手島先生の予定としてはさっき話していたとおり、一時間ほどここで休憩した後で食事に出て、午後からの予定をこなすということだった。それには理事長先生とのお茶の時間もあるという。
手島先生から勧められて、俺とユーリーは先生の向かいの椅子に座った。上楽先生も隣に座った。すると、手島先生がタロットカードを取り出して、テーブルの上で混ぜ始めた。
「さあ、いきましょう。バーテルスさんは恋の悩みだということですね。どんなお相手かどうかはカードに出ます。この恋が成就するかもです。今は悩んでいるとしかお聞きしないことにします」
「はい。お願いします」
ユーリーが笑顔で頷き、興味深そうにカードを見始めた。裏を向いているから絵柄は見えないが、シャッフルされているカードにドキドキしているようだ。まさかここで占いを受けるとは思わなかった。俺もドキドキしている。素直にそう言いたいが、今は黒崎家の遣いという立場だから、控えめな反応をすることにしている。
手島先生がカードをまとめて一つにして、ユーリーに渡した。これを三つの山に分けて、また一つにして欲しいという。
「バーテルスさん。三つの山の順番は任せます。どの山が上になっても良いです」
「はい。分かりました。では、こうします」
「ありがとうございます。では、カードを展開します……。ヘキサグラムという並べ方で占います。そこに、僕の独自の占い方をプラスします。お相手とあなたの気持ちがカードに現われます。アドバイスもカードに出ます」
シャシャシャ。手島先生がカードを並べ始めた。俺は少しだけだがタロットカードの絵柄を覚えている。ローザーさんが占ってくれたことがあるからだ。その時はルノルマンカードだったが、タロットカードもあった。普通の向きと逆の向きで意味が変わり、とても良い意味もあれば怖い意味もあるカードだったと覚えている。
すると、手島先生がカードを並べ終えたと言った。そして、それらの絵を見て、ほとんどが普通の向きのカードだと分かった。そこで、ホッとした。逆の向きで無くて良かったと思ったからだ。
「では、カードの意味を読み解きます。お相手は今とても神経質な気持ちになっています。バーテルスさんとのことを後悔しています。出会わなければ良かったと思っています。こちらの、泣いている女性の絵柄のカードがそれを意味しています。これは大きな喪失感です。きっちりした性格をしていて、大変真面目だ。女教皇というカードがそれを意味しています。それに対してあなたは強引であり、お相手のことを引っ張ろうとしています。自分の言うことを聞けというカードが出ています」
「ははは。僕、言うことを聞けなんて言っていません」
「いや、そのカードが2枚も出ていますよ。お相手の方のタイプは合っていますか?」
「はい。合っていると思います」
「へえーーー。普通の向きのカードでも怖い意味があるんだね」
俺はユーリーの反応を見た。優しい態度で南波さんに接していると思うのにと思った。しかし、手島先生はそうではないと言った。そして、2人の間に何か事件が起きただろうと言い出したから、俺の方からかいつまんで、破談になった話をした。
「なるほど。お相手は相当なショックを受けていますよ。しかし、バーテルスさんのことを好きだからそうなると出ています。好意を持っていない相手には何も思わないですからね。最終結果としては、恋人というカードが出ています。これは恋愛成就と思われるかも知れませんが、移ろいやすい心という意味もあります。恋愛成就には、家庭を表すカードが出るといい。しかしながら、僕としては、恋愛成就に繋がると判断します」
「やったーーーー」
ユーリーが微笑みながらつぶやいた。それは上品な笑顔だった。本当はガッツポーズをしたいぐらいだろうが、抑えめにしているのだろう。そして、手島先生がさらに伝えて言葉に驚き始めた。ユーリーには心強い味方がいて、それがカードに出ているのだと。しかし、それは、この悩みに対するアドバイスでもあり、その人に相談すると良いと出ているという。
「こちらの魔術師というカードです。こちらは人物像も表しています。魔術師に似ている男性はいませんか?」
「一貴さんだ……。いや、月島君か……。ああ、月島君だ……。実は、こういう人なんです」
「なるほど。あなたに寄り添っている人です。色んなアイデアを持っていますから、こじれた関係を修復するのにはいいアイデアを出してくれることでしょう。もう1枚、カードを引きます。その人とあなたとの関係です。……あれ?告白されたんですか?」
「ええ。僕のことを好きだと言ってくれています」
「そういう方がいるのに、あなたはこの恋を突き進めようとしている。この魔術師のような方も悪くありませんよ。あなたのことを理解している人ということで出ているカードですからね。しかしながら、今悩んでいる方がよいのであれば、もう少し、柔らかく対応してはいかがですか。あなたの優しいところを見せるとか……」
「へえーー。色んなカードが出ているんだねえ」
手島先生の話に頷く思いがした。先生の鑑定によると、ユーリーは強引すぎるのだということだった。南波さんにはユーリーへの気持ちが残っているから迷っていること、それには魔術師のような男性がアドバイスすること、最終結果には恋人というカードが出たものの、二人のアンバランスな関係が影響して長続きしないかも知れないから、じっくりと信頼関係を作ることがよいということだった。
手島先生から勧められて、俺とユーリーは先生の向かいの椅子に座った。上楽先生も隣に座った。すると、手島先生がタロットカードを取り出して、テーブルの上で混ぜ始めた。
「さあ、いきましょう。バーテルスさんは恋の悩みだということですね。どんなお相手かどうかはカードに出ます。この恋が成就するかもです。今は悩んでいるとしかお聞きしないことにします」
「はい。お願いします」
ユーリーが笑顔で頷き、興味深そうにカードを見始めた。裏を向いているから絵柄は見えないが、シャッフルされているカードにドキドキしているようだ。まさかここで占いを受けるとは思わなかった。俺もドキドキしている。素直にそう言いたいが、今は黒崎家の遣いという立場だから、控えめな反応をすることにしている。
手島先生がカードをまとめて一つにして、ユーリーに渡した。これを三つの山に分けて、また一つにして欲しいという。
「バーテルスさん。三つの山の順番は任せます。どの山が上になっても良いです」
「はい。分かりました。では、こうします」
「ありがとうございます。では、カードを展開します……。ヘキサグラムという並べ方で占います。そこに、僕の独自の占い方をプラスします。お相手とあなたの気持ちがカードに現われます。アドバイスもカードに出ます」
シャシャシャ。手島先生がカードを並べ始めた。俺は少しだけだがタロットカードの絵柄を覚えている。ローザーさんが占ってくれたことがあるからだ。その時はルノルマンカードだったが、タロットカードもあった。普通の向きと逆の向きで意味が変わり、とても良い意味もあれば怖い意味もあるカードだったと覚えている。
すると、手島先生がカードを並べ終えたと言った。そして、それらの絵を見て、ほとんどが普通の向きのカードだと分かった。そこで、ホッとした。逆の向きで無くて良かったと思ったからだ。
「では、カードの意味を読み解きます。お相手は今とても神経質な気持ちになっています。バーテルスさんとのことを後悔しています。出会わなければ良かったと思っています。こちらの、泣いている女性の絵柄のカードがそれを意味しています。これは大きな喪失感です。きっちりした性格をしていて、大変真面目だ。女教皇というカードがそれを意味しています。それに対してあなたは強引であり、お相手のことを引っ張ろうとしています。自分の言うことを聞けというカードが出ています」
「ははは。僕、言うことを聞けなんて言っていません」
「いや、そのカードが2枚も出ていますよ。お相手の方のタイプは合っていますか?」
「はい。合っていると思います」
「へえーーー。普通の向きのカードでも怖い意味があるんだね」
俺はユーリーの反応を見た。優しい態度で南波さんに接していると思うのにと思った。しかし、手島先生はそうではないと言った。そして、2人の間に何か事件が起きただろうと言い出したから、俺の方からかいつまんで、破談になった話をした。
「なるほど。お相手は相当なショックを受けていますよ。しかし、バーテルスさんのことを好きだからそうなると出ています。好意を持っていない相手には何も思わないですからね。最終結果としては、恋人というカードが出ています。これは恋愛成就と思われるかも知れませんが、移ろいやすい心という意味もあります。恋愛成就には、家庭を表すカードが出るといい。しかしながら、僕としては、恋愛成就に繋がると判断します」
「やったーーーー」
ユーリーが微笑みながらつぶやいた。それは上品な笑顔だった。本当はガッツポーズをしたいぐらいだろうが、抑えめにしているのだろう。そして、手島先生がさらに伝えて言葉に驚き始めた。ユーリーには心強い味方がいて、それがカードに出ているのだと。しかし、それは、この悩みに対するアドバイスでもあり、その人に相談すると良いと出ているという。
「こちらの魔術師というカードです。こちらは人物像も表しています。魔術師に似ている男性はいませんか?」
「一貴さんだ……。いや、月島君か……。ああ、月島君だ……。実は、こういう人なんです」
「なるほど。あなたに寄り添っている人です。色んなアイデアを持っていますから、こじれた関係を修復するのにはいいアイデアを出してくれることでしょう。もう1枚、カードを引きます。その人とあなたとの関係です。……あれ?告白されたんですか?」
「ええ。僕のことを好きだと言ってくれています」
「そういう方がいるのに、あなたはこの恋を突き進めようとしている。この魔術師のような方も悪くありませんよ。あなたのことを理解している人ということで出ているカードですからね。しかしながら、今悩んでいる方がよいのであれば、もう少し、柔らかく対応してはいかがですか。あなたの優しいところを見せるとか……」
「へえーー。色んなカードが出ているんだねえ」
手島先生の話に頷く思いがした。先生の鑑定によると、ユーリーは強引すぎるのだということだった。南波さんにはユーリーへの気持ちが残っているから迷っていること、それには魔術師のような男性がアドバイスすること、最終結果には恋人というカードが出たものの、二人のアンバランスな関係が影響して長続きしないかも知れないから、じっくりと信頼関係を作ることがよいということだった。
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