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俺の本音としては、出待ちの子に会いたいという気持ちがある。サインだってしたい。しかし、それもやっぱりIKUに禁止されているからできない。握手すら禁止されているときもあった。凶器を持って近づく人が居るからだ。TDDのデビューの時はその可能性があり、一時期はファンとの交流ができなかった。
そして、今はディスレクトサイドゼロがデビューし、久弥が表舞台から去り、久弥のファンが出待ちをするかと思ったが、そんなことはなかった。いつまでも待っているし、楽曲を聴くからねという温かいメッセージがSNSに寄せられて、久弥のことを待ってくれていて、久弥が感激して泣いていた。久弥のファンは凶暴と言われていたのはディアドロップ時代であり、今もそういう面があるが、当時よりも落ち着いている。
俺のファンは聡太郎が言ったとおり、大人しい子が多い印象だ。手紙を渡してくれっていうだなんて、なんて嬉しいのだろう。俺はまだその手紙を読むことが出来ない。渡された手紙は一つ一つ読んでいる。しかし、長谷部さんとしては、そんな俺に心配をしている。中には傷つける内容が書かれているかも知れないと思ってのことだ。しかし、それでも俺は手紙を読みたいから貰っている。
「俺も会いに行きたいな」
「君も裏口から出た方が良い。ここから出る前に帰って貰わないといけないっていうんだけど、帰るかなあ」
「だから会いに行った方が早いって言うんだね。あれ?黒崎さんが呼んでるって……」
すると、板東さんがマイクで俺に呼び出しをした。黒崎が俺に話があるそうだ。もしかして、お義父さんに何かあったのだろうか。今日はユーリーと出かけていたはずだ。そして、もう少しで晩ご飯の時間を迎えるところだ。
カタン。隣の部屋の扉を開けた。すると、機械類の匂いがした。俺達の居る部屋とは違う匂いだ。そこには板東さん達と長谷部さんと黒崎がいて、俺の方を見ていた。
「板東さん。黒崎さんが俺に用って……」
「夏樹君。もう収録は終わりだ。撮り直しもない」
「そうですか。良かったです。黒崎さん。どうしたの?」
「俺と親父に殺害予告がされた」
「え?」
その言葉に驚いた。去年冬の事件では犯人達が判決を受けた。今は執行猶予中の身で、大人しくしていると思っている。だから、違う人がやっていることだと思った。表に出る分だけ、色んなことを考える人が出てくる。俺の仕事の影響かも知れないと思っている。しかし、黒崎もお義父さんも俺には好きなことをやってもらいたいと言ってくれている。だから、俺はそれに甘えてこの道を進んでいる。だから、こういうことが起こることは想定済みであり、黒崎から報告を受けても、心の中は静かだった。
「明後日の金曜日の午前10時8分に、家と会社の両方に襲いに来るそうだ。犯行予告者の名前は高木啓介という。覚えのある名前か?」
「ううん。メールが届いたの?」
「ああ。これが本文だ」
黒崎が俺にスマホを見せてきた。その文面を見て、随分と心が荒れている人だと感じた。2人の殺害方法を詳しく書いていて、恨みつらみが伝わってきた。そして、高木啓介という最後の文字を見て、不思議な感覚が起きた。名前の字が浮かんで見えてきたからだ。そこで、俺は瞬きしした。
「あれ?目が変だなあ」
「大丈夫か?」
「目薬を差すよ」
俺はポケットから目薬を取り出して、目に差した。今日の俺はコンタクトレンズを入れている。マイクに当たるといけないと思い、眼鏡にしていない。だから、コンタクトレンズが乾いたのだと思った。しかし、目を潤しても、名前の部分が浮かんで見える。そして、因縁、恨みという文字が浮かんで見えた。
「あれ?因縁、恨みって何?書いていないよね?」
「どうしたんだ?」
「目が変なんだ。それに、頭も変だよ。30代男性、東京在住。会社員。そんな声が聞こえるんだ……」
その声は、中性的な男性の声だった。高くも低くもない。一瞬自分の声かと思ったが、最近の俺は低めの声を出しているから、そうではないと思った。そして、アンリと呼ばれた気がして、頭上を見上げた。しかし、天井しかない。
そして、今はディスレクトサイドゼロがデビューし、久弥が表舞台から去り、久弥のファンが出待ちをするかと思ったが、そんなことはなかった。いつまでも待っているし、楽曲を聴くからねという温かいメッセージがSNSに寄せられて、久弥のことを待ってくれていて、久弥が感激して泣いていた。久弥のファンは凶暴と言われていたのはディアドロップ時代であり、今もそういう面があるが、当時よりも落ち着いている。
俺のファンは聡太郎が言ったとおり、大人しい子が多い印象だ。手紙を渡してくれっていうだなんて、なんて嬉しいのだろう。俺はまだその手紙を読むことが出来ない。渡された手紙は一つ一つ読んでいる。しかし、長谷部さんとしては、そんな俺に心配をしている。中には傷つける内容が書かれているかも知れないと思ってのことだ。しかし、それでも俺は手紙を読みたいから貰っている。
「俺も会いに行きたいな」
「君も裏口から出た方が良い。ここから出る前に帰って貰わないといけないっていうんだけど、帰るかなあ」
「だから会いに行った方が早いって言うんだね。あれ?黒崎さんが呼んでるって……」
すると、板東さんがマイクで俺に呼び出しをした。黒崎が俺に話があるそうだ。もしかして、お義父さんに何かあったのだろうか。今日はユーリーと出かけていたはずだ。そして、もう少しで晩ご飯の時間を迎えるところだ。
カタン。隣の部屋の扉を開けた。すると、機械類の匂いがした。俺達の居る部屋とは違う匂いだ。そこには板東さん達と長谷部さんと黒崎がいて、俺の方を見ていた。
「板東さん。黒崎さんが俺に用って……」
「夏樹君。もう収録は終わりだ。撮り直しもない」
「そうですか。良かったです。黒崎さん。どうしたの?」
「俺と親父に殺害予告がされた」
「え?」
その言葉に驚いた。去年冬の事件では犯人達が判決を受けた。今は執行猶予中の身で、大人しくしていると思っている。だから、違う人がやっていることだと思った。表に出る分だけ、色んなことを考える人が出てくる。俺の仕事の影響かも知れないと思っている。しかし、黒崎もお義父さんも俺には好きなことをやってもらいたいと言ってくれている。だから、俺はそれに甘えてこの道を進んでいる。だから、こういうことが起こることは想定済みであり、黒崎から報告を受けても、心の中は静かだった。
「明後日の金曜日の午前10時8分に、家と会社の両方に襲いに来るそうだ。犯行予告者の名前は高木啓介という。覚えのある名前か?」
「ううん。メールが届いたの?」
「ああ。これが本文だ」
黒崎が俺にスマホを見せてきた。その文面を見て、随分と心が荒れている人だと感じた。2人の殺害方法を詳しく書いていて、恨みつらみが伝わってきた。そして、高木啓介という最後の文字を見て、不思議な感覚が起きた。名前の字が浮かんで見えてきたからだ。そこで、俺は瞬きしした。
「あれ?目が変だなあ」
「大丈夫か?」
「目薬を差すよ」
俺はポケットから目薬を取り出して、目に差した。今日の俺はコンタクトレンズを入れている。マイクに当たるといけないと思い、眼鏡にしていない。だから、コンタクトレンズが乾いたのだと思った。しかし、目を潤しても、名前の部分が浮かんで見える。そして、因縁、恨みという文字が浮かんで見えた。
「あれ?因縁、恨みって何?書いていないよね?」
「どうしたんだ?」
「目が変なんだ。それに、頭も変だよ。30代男性、東京在住。会社員。そんな声が聞こえるんだ……」
その声は、中性的な男性の声だった。高くも低くもない。一瞬自分の声かと思ったが、最近の俺は低めの声を出しているから、そうではないと思った。そして、アンリと呼ばれた気がして、頭上を見上げた。しかし、天井しかない。
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