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母の言うことは怒る様な内容では無い。そうだろうなと納得できる話だ。どうして母は前置きをしたのだろうか。俺の思いを読み取ったなら、気分は平穏な方だと分かっているはずだ。俺はこれでも会社を動かしている一人だ。誰かがずるいとか目立っていて悔しいなどと思っていても、容易く心を動かされない。
「圭一。怒らないの?」
「怒らない。ずるいと聞いたぐらいでは何も思わない」
「そうなの……。だったらこれはどう?息子達を利用したいという気持ちと、罪悪感」
「それもどうも思わない。今日のあんたはおかしいぞ。普段ははっきり言うはずだろう」
「今日の貴方を怒らせたくないの。もうすぐで、うちの事務所からあなたに、リリナちゃんとの対談オファ―がメールで届くはずなんだけど、雑誌には載らない条件で、私も同席させてもらうことになっているの。その承諾がほしいの」
「どうして事務所の社長までついてくるんだ?」
「モデル時代の私の写真が事務所に出ているの。私もテレビに出るかも知れなくて、そうなると、私のことも宣伝してもらいたいのよ。でも、対談のことは隆さんが用意してくれた仕事だから、私が同席できるわけも無いけど、でも、貴方にお願いしたいの。私も同席させて」
「返事はすぐに出来ない。考えておく。それで、菅野さんの話の続きだ。彼女は危険か?」
俺が聞きたいのはそこだ。久弥や聡太郎にとっての敵になるというなら、一切近づけないつもりで居る。そして、彼女が強引に公表に踏み切った場合、メディアには取り上げないでもらうようにする。これにはIKUの力も働く。十分可能だと思っている。だから、菅野さんは公表するメリットが無くなる。おまけに、コンサートの仕事も無くなるかも知れない。その危険を冒すことになる。しかし、そこまでするにはそれ相当の理由が必要だ。その必要も無いのに力を振るいたくない。彼女には彼女の生活があり、俺達が邪魔をするものではない。
そこで、母からの返事を待った。母はため息をついている。危ないということなのか。俺は結果を知る前に、自分でも信じられない思いに気づいた。霊視などということを信じている自分がいるからだ。しかし、それは本当にあることだと思い始めている。そして、実際に母の話を聞いている自分がいる。これは危ないと感じた。しかし、好奇心という物が1割と、9割は母の経営者としての手腕を見たくて返事を待っている気分だ。
「どうなんだ?」
「息子達に怪我を負わす考えは無いわ。そういう点では危険では無い。でも、気持ちの上では彼らの心を踏みにじってでも注目を集めたいと思っているわ。何度も言うけど、最近出てきたヴァイオリニストの子に負けたくないという気持ちがあるの。それは強い敵対心よ。菅野さんって、強く願ったら願いが叶うと思っているのよ。本人の努力があるんだけど、小さな頃から、わりと色んな事が叶えられたそうよ。だから、今回のことも自分が上だと見せつけられるはずと思っているわ。それには息子達の気持ちなんて考えないそうよ。天が味方しているから、彼らのことは後回しで、自分が幸せになれば彼らも幸せになるはずだという考えよ。だから、心の面では危険があるわ。息子達をなじってもいいなんて言っているんだから」
「分かった。経営者としてはどうなんだ?そういう人を事務所に入れたいと思うのか?」
「入れるわよ。私のところに来たらトラブルなんて許さないから、何も起こらないわ。また事務所を移るときもよ」
「そうか」
母の言い切り方が気持ちよかった。父は母のこういう面が好きだったのだろうと察した。自信に満ちあふれ、断言し、揺らぐ物がない。本当にそうだと思えるほどの力強さだった。しかし、現実としてそれを守られるには、相当の努力が必要だろう。揉める要因を持った人を事務所に入れても良いとまでいうには、菅野さんに光る物があるということか。
「圭一。怒らないの?」
「怒らない。ずるいと聞いたぐらいでは何も思わない」
「そうなの……。だったらこれはどう?息子達を利用したいという気持ちと、罪悪感」
「それもどうも思わない。今日のあんたはおかしいぞ。普段ははっきり言うはずだろう」
「今日の貴方を怒らせたくないの。もうすぐで、うちの事務所からあなたに、リリナちゃんとの対談オファ―がメールで届くはずなんだけど、雑誌には載らない条件で、私も同席させてもらうことになっているの。その承諾がほしいの」
「どうして事務所の社長までついてくるんだ?」
「モデル時代の私の写真が事務所に出ているの。私もテレビに出るかも知れなくて、そうなると、私のことも宣伝してもらいたいのよ。でも、対談のことは隆さんが用意してくれた仕事だから、私が同席できるわけも無いけど、でも、貴方にお願いしたいの。私も同席させて」
「返事はすぐに出来ない。考えておく。それで、菅野さんの話の続きだ。彼女は危険か?」
俺が聞きたいのはそこだ。久弥や聡太郎にとっての敵になるというなら、一切近づけないつもりで居る。そして、彼女が強引に公表に踏み切った場合、メディアには取り上げないでもらうようにする。これにはIKUの力も働く。十分可能だと思っている。だから、菅野さんは公表するメリットが無くなる。おまけに、コンサートの仕事も無くなるかも知れない。その危険を冒すことになる。しかし、そこまでするにはそれ相当の理由が必要だ。その必要も無いのに力を振るいたくない。彼女には彼女の生活があり、俺達が邪魔をするものではない。
そこで、母からの返事を待った。母はため息をついている。危ないということなのか。俺は結果を知る前に、自分でも信じられない思いに気づいた。霊視などということを信じている自分がいるからだ。しかし、それは本当にあることだと思い始めている。そして、実際に母の話を聞いている自分がいる。これは危ないと感じた。しかし、好奇心という物が1割と、9割は母の経営者としての手腕を見たくて返事を待っている気分だ。
「どうなんだ?」
「息子達に怪我を負わす考えは無いわ。そういう点では危険では無い。でも、気持ちの上では彼らの心を踏みにじってでも注目を集めたいと思っているわ。何度も言うけど、最近出てきたヴァイオリニストの子に負けたくないという気持ちがあるの。それは強い敵対心よ。菅野さんって、強く願ったら願いが叶うと思っているのよ。本人の努力があるんだけど、小さな頃から、わりと色んな事が叶えられたそうよ。だから、今回のことも自分が上だと見せつけられるはずと思っているわ。それには息子達の気持ちなんて考えないそうよ。天が味方しているから、彼らのことは後回しで、自分が幸せになれば彼らも幸せになるはずだという考えよ。だから、心の面では危険があるわ。息子達をなじってもいいなんて言っているんだから」
「分かった。経営者としてはどうなんだ?そういう人を事務所に入れたいと思うのか?」
「入れるわよ。私のところに来たらトラブルなんて許さないから、何も起こらないわ。また事務所を移るときもよ」
「そうか」
母の言い切り方が気持ちよかった。父は母のこういう面が好きだったのだろうと察した。自信に満ちあふれ、断言し、揺らぐ物がない。本当にそうだと思えるほどの力強さだった。しかし、現実としてそれを守られるには、相当の努力が必要だろう。揉める要因を持った人を事務所に入れても良いとまでいうには、菅野さんに光る物があるということか。
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