734 / 938
22-1 思い描いた物
しおりを挟む
7月25日、月曜日。午前5時。
今日から5日間、アレクシスさんが来日する。そして、エミリアさんが2週間滞在する。そのため、午前8時半に到着する飛行機を追いかけて、空港まで迎えに行く。そのため、俺達は一時間早く起きて、行動している。朝ご飯もいつもよりも早く食べることになる。俺達も嬉しいが、二葉が喜んでおり、再会できるから良かったと思った。
フェリックスさんが一人で大丈夫かと心配したところ、向こうにはエミリアさんの妹のソフィアさんが残っているから、何かあったら対応してくれるそうだ。それに、ユーリーが言うには、親戚が多いから助けは求められるはずだと言っていた。
エミリアさん達が一緒に来日するのは、観光のためだ。お義父さんの家が建って100年経つのが来年であり、その前にお祝いに来てくれるというのが目的だと聞いている。8年間も一緒に暮らしていたから、懐かしい光景をもう一度目に焼き付けたいとのだと言っていた。
俺達はすっかり夏シーズンを迎えた。黒崎家の庭では先々週にスプリンクラーで水をまいたことで植物が生き返り、夏の暑さを耐え抜いている。明日も業者に来てもらって水をまくことになっている。全く雨が降らないからだ。その上でこの気温の高さで、畑のトマトの実が割れて、九条ネギはしなびしている。そして、ナスまで実が割れて、今月の収穫は調子が悪い。せっかく今日はエミリアさんが来日するというのに、美味しい野菜を食べてもらいたかった。
今、アンがお義父さんに誘われて、散歩に出かけた。俺はもう畑の水やりを終えた。毎朝暑いから、6時前には終わらせるようにしている。そこで朝ご飯の準備に取りかかるところだが、今朝はその準備がない。今日から数日間はお義父さんの家でご飯を食べるからだ。エミリアさん達の来日により、俺達も呼んでくれた。
今、黒崎がシャワーから出てきたところだ。これからお義父さんの家に行く。俺はユーリーにアイスコーヒーを飲ませて、背中の汗をふいてあげた。俺が水やりしている間、そばで朝の稽古をしてくれていたからだ。上半身裸でいる。
「ユーリー、すごい汗だね。帰ったらすぐにシャワーをあびないといけないよ」
「ああ、そうする。すぐに終わる。今朝はホットサンドだぞ。村木シェフの再現レシピだそうだ」
「キセイのシェフだね。本を出したなんてすごいね。“家で作れるをコンセプトに、キセイの人気メニューを収録、家庭料理をふんだんに掲載しました”」
そう言って、俺はユーリーが持って来て本を眺めた。表紙にはその村木シェフが載っている。俺がどうしても行きたいと思っているキセイという店のシェフだ。ユーリーの勤めている出版社から出た本だ。俺に見せに来てくれた。この本の中で取り扱っている料理はどれも美味しそうだ。この中でもホットサンドは村木シェフが家で作っているものであり、厨房のまかないとして出している物だそうで、食べてみたいと思った。そこで、今朝のお手伝いさん達が作ってくれるわけだ。
「ユーリー。すごい、汗が引いたね。アイスコーヒーを飲んだだけじゃん」
「僕は器用なんだ。ここぞというときに汗を引っ込められる」
「なんだかいやらしい話みたいだから、聞かないことにするよ」
「そんな話じゃない。僕はそういう話はしない」
「分からないよ。ほら、黒崎さんが笑っているよ」
俺達のそばに、服を着た黒崎がやって来た。ニヤニヤ笑っている。こういうときは必ずいやらしいことを考えているに決まっているから相手にしない。そして、ユーリーの方は誤解だと言っている。そこで、汗を引っ込められる話を聞いてみることにした。
「分かったよ。話を聞かせてよ」
「ああ。いい男がいたとして、そいつの前では汗を流したかったら流したままでいればいい。しかし、上楽先生のようなタイプの前ではサラサラの肌がいい。その違いによって汗を引っ込められるんだ」
「いやらしいとまでは言わないけど、なんだかカズ兄さんが言っていることに似ているよ。一緒に居るうちに似てきたんじゃないの?はいはい。もう行くよ。アンドリュー、こっちにおいで」
そろそろ俺達は向こうの家に移動しないといけない。アンはお義父さんと向こうに向かうとして、アンドリューは俺達と一緒に行く。もうすっかり大きくなって、庭の中を歩き回れる。しかし、迷子になってもいけないし、遠くに行くのが心配だから、庭の中では抱いている。そういうわけで、アンドリューは俺達が居る場所しか歩かない。おっとりした性格もしている。
「アンドリュー。こっちだよ。おいでよ」
「なかなか来ないな。キャットタワーがいいんだろう」
「しかたないなあ」
アンドリューはキャットタワーの一段目の箱の中でくつろいでいる。二段目三段目にいくのが難しかった子猫の頃、諦めて、一段目にいた。今だって子猫だが、随分と大きくなって、3段目ぐらいはいけそうだ。しかし、失敗が怖いのか、行こうとしない。そこで、一段目にいることが多い。
「アンドリュー。向こうの家に行くよ。ユリウスと会うんだろ」
「猫は身軽だなあ。君のところに走って行った」
ユーリーが言うとおり、アンドリューは身軽だ。さっと俺の胸に飛び込んできた。お義父さんの家に行くというのが雰囲気で分かっているようで、こうして俺の元に来てくれる。俺は可愛い可愛いと言って頭を撫でて、みんなで玄関を出た。
今日から5日間、アレクシスさんが来日する。そして、エミリアさんが2週間滞在する。そのため、午前8時半に到着する飛行機を追いかけて、空港まで迎えに行く。そのため、俺達は一時間早く起きて、行動している。朝ご飯もいつもよりも早く食べることになる。俺達も嬉しいが、二葉が喜んでおり、再会できるから良かったと思った。
フェリックスさんが一人で大丈夫かと心配したところ、向こうにはエミリアさんの妹のソフィアさんが残っているから、何かあったら対応してくれるそうだ。それに、ユーリーが言うには、親戚が多いから助けは求められるはずだと言っていた。
エミリアさん達が一緒に来日するのは、観光のためだ。お義父さんの家が建って100年経つのが来年であり、その前にお祝いに来てくれるというのが目的だと聞いている。8年間も一緒に暮らしていたから、懐かしい光景をもう一度目に焼き付けたいとのだと言っていた。
俺達はすっかり夏シーズンを迎えた。黒崎家の庭では先々週にスプリンクラーで水をまいたことで植物が生き返り、夏の暑さを耐え抜いている。明日も業者に来てもらって水をまくことになっている。全く雨が降らないからだ。その上でこの気温の高さで、畑のトマトの実が割れて、九条ネギはしなびしている。そして、ナスまで実が割れて、今月の収穫は調子が悪い。せっかく今日はエミリアさんが来日するというのに、美味しい野菜を食べてもらいたかった。
今、アンがお義父さんに誘われて、散歩に出かけた。俺はもう畑の水やりを終えた。毎朝暑いから、6時前には終わらせるようにしている。そこで朝ご飯の準備に取りかかるところだが、今朝はその準備がない。今日から数日間はお義父さんの家でご飯を食べるからだ。エミリアさん達の来日により、俺達も呼んでくれた。
今、黒崎がシャワーから出てきたところだ。これからお義父さんの家に行く。俺はユーリーにアイスコーヒーを飲ませて、背中の汗をふいてあげた。俺が水やりしている間、そばで朝の稽古をしてくれていたからだ。上半身裸でいる。
「ユーリー、すごい汗だね。帰ったらすぐにシャワーをあびないといけないよ」
「ああ、そうする。すぐに終わる。今朝はホットサンドだぞ。村木シェフの再現レシピだそうだ」
「キセイのシェフだね。本を出したなんてすごいね。“家で作れるをコンセプトに、キセイの人気メニューを収録、家庭料理をふんだんに掲載しました”」
そう言って、俺はユーリーが持って来て本を眺めた。表紙にはその村木シェフが載っている。俺がどうしても行きたいと思っているキセイという店のシェフだ。ユーリーの勤めている出版社から出た本だ。俺に見せに来てくれた。この本の中で取り扱っている料理はどれも美味しそうだ。この中でもホットサンドは村木シェフが家で作っているものであり、厨房のまかないとして出している物だそうで、食べてみたいと思った。そこで、今朝のお手伝いさん達が作ってくれるわけだ。
「ユーリー。すごい、汗が引いたね。アイスコーヒーを飲んだだけじゃん」
「僕は器用なんだ。ここぞというときに汗を引っ込められる」
「なんだかいやらしい話みたいだから、聞かないことにするよ」
「そんな話じゃない。僕はそういう話はしない」
「分からないよ。ほら、黒崎さんが笑っているよ」
俺達のそばに、服を着た黒崎がやって来た。ニヤニヤ笑っている。こういうときは必ずいやらしいことを考えているに決まっているから相手にしない。そして、ユーリーの方は誤解だと言っている。そこで、汗を引っ込められる話を聞いてみることにした。
「分かったよ。話を聞かせてよ」
「ああ。いい男がいたとして、そいつの前では汗を流したかったら流したままでいればいい。しかし、上楽先生のようなタイプの前ではサラサラの肌がいい。その違いによって汗を引っ込められるんだ」
「いやらしいとまでは言わないけど、なんだかカズ兄さんが言っていることに似ているよ。一緒に居るうちに似てきたんじゃないの?はいはい。もう行くよ。アンドリュー、こっちにおいで」
そろそろ俺達は向こうの家に移動しないといけない。アンはお義父さんと向こうに向かうとして、アンドリューは俺達と一緒に行く。もうすっかり大きくなって、庭の中を歩き回れる。しかし、迷子になってもいけないし、遠くに行くのが心配だから、庭の中では抱いている。そういうわけで、アンドリューは俺達が居る場所しか歩かない。おっとりした性格もしている。
「アンドリュー。こっちだよ。おいでよ」
「なかなか来ないな。キャットタワーがいいんだろう」
「しかたないなあ」
アンドリューはキャットタワーの一段目の箱の中でくつろいでいる。二段目三段目にいくのが難しかった子猫の頃、諦めて、一段目にいた。今だって子猫だが、随分と大きくなって、3段目ぐらいはいけそうだ。しかし、失敗が怖いのか、行こうとしない。そこで、一段目にいることが多い。
「アンドリュー。向こうの家に行くよ。ユリウスと会うんだろ」
「猫は身軽だなあ。君のところに走って行った」
ユーリーが言うとおり、アンドリューは身軽だ。さっと俺の胸に飛び込んできた。お義父さんの家に行くというのが雰囲気で分かっているようで、こうして俺の元に来てくれる。俺は可愛い可愛いと言って頭を撫でて、みんなで玄関を出た。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる