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お義父さんの家の中に入った。留守番をしていたアンが玄関ホールで待っていた。車の音を聞いて、俺達が帰ってきたのを知っているから、スタンバイしていたようだ。そして、アレクシスさんを見て尻尾を激しく振り始めた。
「アン!久しぶりだな!」
「クーーーン」
「そうか。そうか。俺のことを覚えていたのか。この人は母さんだ。エミリアって言うんだ」
「こんにちは。アントワネット」
アレクシスさんの膝の上に抱かれていたアンがエミリアさんのことを見上げた。すると、また尻尾を激しく振り始めた。動物好きだと伝わるようだ。今日はお客さんがいて嬉しそうにしている。黒崎が甘やかすから気分屋のところがあるが、お客さんにはそういう素振りを見せないから助かっている。
「アン、今日は何のオモチャで遊んでいたんだよ?」
「お前のスリッパだ」
「あれ、そうなの?」
階段のそばにクリーム色の物体が転がっていた。ここから見ると何か分からない。そこで、視力の良い黒崎が教えてくれた。俺がキッチンで履いているスリッパだと。しばらくここで履いていなかったから存在を忘れていた。しかし、アンは見つけたということだ。留守番が退屈だったということでもある。
「しかたないねえ。今日は留守番をしていて偉かったから、あげるよ」
「アン、良かったな」
黒崎がアンに声を掛けた。すると、山崎さんと佐山さんが出てきて、アレクシスさん達のスーツケースを取った。部屋に運ぶのだという。しかし、それをエミリアさんが遠慮した。そこで、お義父さんが笑った。
「エミリア。君はお客様だ。どうかくつろいでもらいたい」
「ありがとう。どうもすみません。重いでしょうけど……」
カラカラ。山崎さん達がスーツケースを持って行った。部屋は2階にある。昔住んでいた東側の部屋になるそうだ。そこにはユーリーと暮らしたエミリアさんの部屋がある。俺は一度入らせてもらったことがある。真っ白い壁にはクレヨンの跡が付いていた。ユーリーの悪戯のせいだ。キッチンと洗濯機とバスルーム、小さなリビングも付いていた。全体的に可愛い感じの部屋だった。
俺は後でその部屋に遊びに行かせてもらおうと思った。アレクシスさんの部屋の隣になるから、ちょうどいい。ワインとおつまみを持って行くときに寄りたい。そう思ってそう声を掛けると、エミリアさんが笑顔で頷いた。
「エミリアさん。アンドリューとユリウスを紹介させて下さい」
「まあ、嬉しい。この家はペット禁止だったのに、いつの間にか大勢いるのね。玄関のそばには鳥の餌場があったし、通りかかった猫もいたわね」
「はい。うちには色々います」
さあ、アンドリュー達の紹介だ。みんなでリビングに移動した。すると、キャットタワーの一段目で毛づくろいをしているアンドリューがいた。そばのゲージではユリウスが眠っている。アンドリューは俺達のことに気づいてこっちを見たが、ユリウスの方は熟睡していて起きない。いつもなら一貴さんと一緒に出勤するが、今日は会議が多くて社長室を不在にするから、家で留守番だ。
「アンドリュー。ユリウス。エミリアさんとアレクシスさんだよ」
「こんにちは」
俺がアンドリューのことを抱いて連れてくると、エミリアさんが彼のことを抱いた。俺達は何度も電話で話しているし、ビデオ通話もしてあるが、実際に会うと緊張感があり、うまくエスコート出来ているか心配になった。今回のアレクシスさん達のおもてなしには、俺が関わっている。黒崎家の末っ子としてエスコートが出来るか試験を受けている気分だ。
「お義父さん。俺、ちゃんと出来ているかな?」
「出来ているとも。エミリア、アレクシス。夏樹が今日のエスコート役を買って出たんだ。でも、そんなに気負うことはない。私達は家族だ」
お義父さんが笑った。みんな同じだ。エミリアさんからすると懐かしい家に帰ってきた気分だろう。アレクシスさんはこの間来ていたとはいえ、エミリアさんと一緒なら感慨深いはずだ。ユーリーもここにいる。そして、そのユーリーがユリウスのことを抱き上げた。
「母さん。彼がユリウスという。僕と同じ名前だ」
「ふふふ。よく寝るユリウスね。あなたと反対じゃないの。あなたは小さい頃から寝なくて苦労をかけて……」
「母さん。その話はツラいよ。この通り、ユリウスは一日4時間時しか起きていないんだ。僕が観察して確かめた」
「ちゃんと仕事はしているの?」
「しているよ。今日は休みを取ったんだ」
ユーリーが駄々っ子のようになった。アレクシスさんがからかっている。どうせまた南波君のことを追いかけて気がそぞろなのだろうと。それに対してユーリーが言い返し、笑いが起きた。アレクシスさんと喧嘩にならないのはさすがは大人だと思った。
「アン!久しぶりだな!」
「クーーーン」
「そうか。そうか。俺のことを覚えていたのか。この人は母さんだ。エミリアって言うんだ」
「こんにちは。アントワネット」
アレクシスさんの膝の上に抱かれていたアンがエミリアさんのことを見上げた。すると、また尻尾を激しく振り始めた。動物好きだと伝わるようだ。今日はお客さんがいて嬉しそうにしている。黒崎が甘やかすから気分屋のところがあるが、お客さんにはそういう素振りを見せないから助かっている。
「アン、今日は何のオモチャで遊んでいたんだよ?」
「お前のスリッパだ」
「あれ、そうなの?」
階段のそばにクリーム色の物体が転がっていた。ここから見ると何か分からない。そこで、視力の良い黒崎が教えてくれた。俺がキッチンで履いているスリッパだと。しばらくここで履いていなかったから存在を忘れていた。しかし、アンは見つけたということだ。留守番が退屈だったということでもある。
「しかたないねえ。今日は留守番をしていて偉かったから、あげるよ」
「アン、良かったな」
黒崎がアンに声を掛けた。すると、山崎さんと佐山さんが出てきて、アレクシスさん達のスーツケースを取った。部屋に運ぶのだという。しかし、それをエミリアさんが遠慮した。そこで、お義父さんが笑った。
「エミリア。君はお客様だ。どうかくつろいでもらいたい」
「ありがとう。どうもすみません。重いでしょうけど……」
カラカラ。山崎さん達がスーツケースを持って行った。部屋は2階にある。昔住んでいた東側の部屋になるそうだ。そこにはユーリーと暮らしたエミリアさんの部屋がある。俺は一度入らせてもらったことがある。真っ白い壁にはクレヨンの跡が付いていた。ユーリーの悪戯のせいだ。キッチンと洗濯機とバスルーム、小さなリビングも付いていた。全体的に可愛い感じの部屋だった。
俺は後でその部屋に遊びに行かせてもらおうと思った。アレクシスさんの部屋の隣になるから、ちょうどいい。ワインとおつまみを持って行くときに寄りたい。そう思ってそう声を掛けると、エミリアさんが笑顔で頷いた。
「エミリアさん。アンドリューとユリウスを紹介させて下さい」
「まあ、嬉しい。この家はペット禁止だったのに、いつの間にか大勢いるのね。玄関のそばには鳥の餌場があったし、通りかかった猫もいたわね」
「はい。うちには色々います」
さあ、アンドリュー達の紹介だ。みんなでリビングに移動した。すると、キャットタワーの一段目で毛づくろいをしているアンドリューがいた。そばのゲージではユリウスが眠っている。アンドリューは俺達のことに気づいてこっちを見たが、ユリウスの方は熟睡していて起きない。いつもなら一貴さんと一緒に出勤するが、今日は会議が多くて社長室を不在にするから、家で留守番だ。
「アンドリュー。ユリウス。エミリアさんとアレクシスさんだよ」
「こんにちは」
俺がアンドリューのことを抱いて連れてくると、エミリアさんが彼のことを抱いた。俺達は何度も電話で話しているし、ビデオ通話もしてあるが、実際に会うと緊張感があり、うまくエスコート出来ているか心配になった。今回のアレクシスさん達のおもてなしには、俺が関わっている。黒崎家の末っ子としてエスコートが出来るか試験を受けている気分だ。
「お義父さん。俺、ちゃんと出来ているかな?」
「出来ているとも。エミリア、アレクシス。夏樹が今日のエスコート役を買って出たんだ。でも、そんなに気負うことはない。私達は家族だ」
お義父さんが笑った。みんな同じだ。エミリアさんからすると懐かしい家に帰ってきた気分だろう。アレクシスさんはこの間来ていたとはいえ、エミリアさんと一緒なら感慨深いはずだ。ユーリーもここにいる。そして、そのユーリーがユリウスのことを抱き上げた。
「母さん。彼がユリウスという。僕と同じ名前だ」
「ふふふ。よく寝るユリウスね。あなたと反対じゃないの。あなたは小さい頃から寝なくて苦労をかけて……」
「母さん。その話はツラいよ。この通り、ユリウスは一日4時間時しか起きていないんだ。僕が観察して確かめた」
「ちゃんと仕事はしているの?」
「しているよ。今日は休みを取ったんだ」
ユーリーが駄々っ子のようになった。アレクシスさんがからかっている。どうせまた南波君のことを追いかけて気がそぞろなのだろうと。それに対してユーリーが言い返し、笑いが起きた。アレクシスさんと喧嘩にならないのはさすがは大人だと思った。
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