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一方で、エミリアさんの着ている物は、そのブランドでは無いと思った。きっと良い物に違いないと思う。いかにも涼しげであり、肩の凝らない感じだと思う。一貴さんはきちんと対応するだろうか。実は、お義父さんの方から一貴さんの性格のことは話してある。ワンピース姿の女性に反応することまでは話していない。話せば良いのにと思ったが、そこまで気は遣わせないというお義父さんの考えだった。
エミリアさんが画面の向こうの一貴さんに微笑みかけた。一貴さんも笑っている。しかし、やや引きつっているようだ。これでも本人は打ち解けようと努力をしている。だからこうしてビデオ通話までしている。エミリアさんもそれが分かってくれているようで、笑顔を崩さない。
「……初めまして。一貴君。エミリア・バーテルスです」
「……初めまして。黒崎一貴です。父から思い出話を聞きました。僕はこの通り会社に閉じ込められていますが、きちんと定時で帰りますので、夕食を共にしましょう」
「ええ、ユリウス君を抱っこさせてもらいました。とても小さいんですね。フェレットというと、もっと大きいかと思いました。とても可愛いわ」
「ええ!うちの子は小柄なんです!抱いて頂けましたか!」
「ええ、寝ているときだったんだけど、起きたから、今なら良いかなって思って。私のことに驚かずにいてくれて、またすぐに寝ましたよ」
「そうでしたか!ユリウスが……」
一貴さんが頰を赤くした。ユリウスが懐いたとなると話は別のようで、エミリアさんがワンピースを着ていても平気そうになった。親馬鹿というものか、エミリアさんがユリウスのことを可愛いという度に喜んでいる。エミリアさんが気を使ってくれたのかも知れない。
「今夜は日本食です。店で食べるのも良いかと思いましたが、思い出のある家で食べる方が初日は良いかと思いまして。夏樹君と決めたメニューです」
「ええ。隆さんから話を聞きました。一貴君がなにもかも決めてくれたそうですね。嬉しいです。私のお部屋に薔薇の花束がありました。あなたが選んでくれた物ですか?」
「はい!写真を拝見して、まるで薔薇のような方だと思いましたので。いや、父の方は、カトレアのような人だと言いましたが、僕にはそう見えました」
「嬉しいです」
「花があったの~。カズ兄さん、やるね~」
今回のエミリアさん達の滞在では、俺の他に一貴さんもプラン作成に関わっている。特に食事の内容だ。偏食気味とはいえ色んな物を食べる一貴さんだし、勉強にもなるからと、お義父さんがそう決めた。俺はそれを補佐する形だ。エミリアさんには気を遣わなくても良いという理由もあるそうだ。その証に、お義父さんがくつろいだ感じでお茶を飲んでいる。
「では、僕はこれで……」
「はい。また後でお会いしましょう。どうぞお気を付けて」
「はい!」
プツ。一貴さんがビデオ通話から退出した。さて、俺達も昼ご飯を食べようとランチボックスを手に取っていると、今度は俺の方のスマホに着信が入った。相手は伊吹だった。噂をすれば影ということなのか。もちろん、電話に出た。すると、今夜、うちに荷物が届くという話だった。出張先で買ってきたゆずドリンクを送ってくれるそうだ。2ケースもある。知り合いの出版社の社長さんの誘いで、あるキャンプ場に遊びに行ったそうだ。そこにはそこのキャンプ場が経営するコンビニがあり、特産品を置いていたという。
「夏樹。ぜひとも、バーテルスさん達に飲んでもらってくれ。そっちにはゆずの木があるが、俺の飲んできたゆずもまた格別だった。すっきりとした甘さのあるジュースだ」
「ありがとう。エミリアさんはゆずが好きなんだってさ。今夜の日本料理にもあっさり系でまとめてあるから、食後に飲んでもらっても良いね」
「エミリアさんに替わってくれ。弟が親しくなるなら、俺もそうしたい」
「だめだよ。お兄ちゃんのことは恥ずかしくて表に出せないんだから」
「……夏樹。俺が話してやろう」
「あ、アレクシスさん……」
伊吹との話が聞こえていたようで、アレクシスさんが俺のそばに立った。エミリアさんもいる。なんだか申し訳ない気分だ。そして、アレクシスさん微笑みながらスマホを手に取り、伊吹と話し始めた。それはドイツ語だった。伊吹は一瞬ひるんだようだが、なんとか応戦するようにしてドイツ語で返事を返し、少し経った後でエミリアさんに電話を替わった。その時は優しそうな日本語での語りかけであり、なんだかホッとした。
エミリアさんが画面の向こうの一貴さんに微笑みかけた。一貴さんも笑っている。しかし、やや引きつっているようだ。これでも本人は打ち解けようと努力をしている。だからこうしてビデオ通話までしている。エミリアさんもそれが分かってくれているようで、笑顔を崩さない。
「……初めまして。一貴君。エミリア・バーテルスです」
「……初めまして。黒崎一貴です。父から思い出話を聞きました。僕はこの通り会社に閉じ込められていますが、きちんと定時で帰りますので、夕食を共にしましょう」
「ええ、ユリウス君を抱っこさせてもらいました。とても小さいんですね。フェレットというと、もっと大きいかと思いました。とても可愛いわ」
「ええ!うちの子は小柄なんです!抱いて頂けましたか!」
「ええ、寝ているときだったんだけど、起きたから、今なら良いかなって思って。私のことに驚かずにいてくれて、またすぐに寝ましたよ」
「そうでしたか!ユリウスが……」
一貴さんが頰を赤くした。ユリウスが懐いたとなると話は別のようで、エミリアさんがワンピースを着ていても平気そうになった。親馬鹿というものか、エミリアさんがユリウスのことを可愛いという度に喜んでいる。エミリアさんが気を使ってくれたのかも知れない。
「今夜は日本食です。店で食べるのも良いかと思いましたが、思い出のある家で食べる方が初日は良いかと思いまして。夏樹君と決めたメニューです」
「ええ。隆さんから話を聞きました。一貴君がなにもかも決めてくれたそうですね。嬉しいです。私のお部屋に薔薇の花束がありました。あなたが選んでくれた物ですか?」
「はい!写真を拝見して、まるで薔薇のような方だと思いましたので。いや、父の方は、カトレアのような人だと言いましたが、僕にはそう見えました」
「嬉しいです」
「花があったの~。カズ兄さん、やるね~」
今回のエミリアさん達の滞在では、俺の他に一貴さんもプラン作成に関わっている。特に食事の内容だ。偏食気味とはいえ色んな物を食べる一貴さんだし、勉強にもなるからと、お義父さんがそう決めた。俺はそれを補佐する形だ。エミリアさんには気を遣わなくても良いという理由もあるそうだ。その証に、お義父さんがくつろいだ感じでお茶を飲んでいる。
「では、僕はこれで……」
「はい。また後でお会いしましょう。どうぞお気を付けて」
「はい!」
プツ。一貴さんがビデオ通話から退出した。さて、俺達も昼ご飯を食べようとランチボックスを手に取っていると、今度は俺の方のスマホに着信が入った。相手は伊吹だった。噂をすれば影ということなのか。もちろん、電話に出た。すると、今夜、うちに荷物が届くという話だった。出張先で買ってきたゆずドリンクを送ってくれるそうだ。2ケースもある。知り合いの出版社の社長さんの誘いで、あるキャンプ場に遊びに行ったそうだ。そこにはそこのキャンプ場が経営するコンビニがあり、特産品を置いていたという。
「夏樹。ぜひとも、バーテルスさん達に飲んでもらってくれ。そっちにはゆずの木があるが、俺の飲んできたゆずもまた格別だった。すっきりとした甘さのあるジュースだ」
「ありがとう。エミリアさんはゆずが好きなんだってさ。今夜の日本料理にもあっさり系でまとめてあるから、食後に飲んでもらっても良いね」
「エミリアさんに替わってくれ。弟が親しくなるなら、俺もそうしたい」
「だめだよ。お兄ちゃんのことは恥ずかしくて表に出せないんだから」
「……夏樹。俺が話してやろう」
「あ、アレクシスさん……」
伊吹との話が聞こえていたようで、アレクシスさんが俺のそばに立った。エミリアさんもいる。なんだか申し訳ない気分だ。そして、アレクシスさん微笑みながらスマホを手に取り、伊吹と話し始めた。それはドイツ語だった。伊吹は一瞬ひるんだようだが、なんとか応戦するようにしてドイツ語で返事を返し、少し経った後でエミリアさんに電話を替わった。その時は優しそうな日本語での語りかけであり、なんだかホッとした。
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