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14時。
お昼ご飯を食べたところだ。食後のお茶を飲んでお菓子をつまみ、そろそろいい頃合いだということで、みんなで外に出てきた。今の時間が一番日がきついのだが、この時間を選んで出てきたのには理由がある。庭のナツツバキのある景色と黒崎の描いたスケッチが一致する時間だからだ。ちょうど日影が小さくなる時間であり、7歳の黒崎が描いた絵の世界が広がっている。
俺達はみんなで庭を探検するようにして、その目的地まで歩いていった。途中でアレクシスさんがいた部屋の基礎工事の部分があり、エミリアさんが懐かしそうにしていた。しかし、いくら訓練とは言え、幼い子を庭で一人暮らしさせたことには後悔があるそうで、罪悪感というものと戦っているそうだ。
「母さん。俺のことは心配ない。当時だって、俺には1人だけの部屋が与えらたと思って喜んでいたんだ。そういう記憶がある。ゲーム感覚でいたんだぞ。それに食事は母屋でみんなで取っていた。寂しくなかった」
アレクシスさんがエミリアさんの肩を抱いた。ユーリーもそうしている。間に挟まったエミリアさんは励まされて歩いている。当時はアレクシスさんのためだと思って決めたことでも、夫の意見を聞いてしまったことの後悔もあるそうで、心中複雑だという。そんな彼女に何と声を掛ければ良いのか。その答えをユーリーが知っていた。
「母さん。兄さんは壁に好きな子の写真を飾っていた。自分だけの城で好きなように壁を飾れたんだ。そこは兄さんにとっては秘密基地で、誰からも犯されることのない聖域だった。覚えているだろう?あの数の写真を」
「ええ。覚えているわ。アレクシスの持っている写真の多さに驚いたけれど、本人の自主性に任せると決めたから、咎めたりしていなかったわ」
「そうだろう。兄さんは自由が欲しかったんだ。僕もそうだったけど、僕は手の掛かる子だったから、庭の1人部屋は与えられなかった。もっとしっかりしていたら、僕にも部屋があったはずだ」
「そうね。ありがとう……」
エミリアさんが笑顔を見せた。すると、前を歩いていた黒崎が彼女の手を取った。見せたい景色があるのだという。そして、その場所に行ってみんなで笑った。ユーリーがよくぶら下がっている木があったからだ。
「圭一。ここがユーリーのお気に入りの木なの?」
「ああ、そうだ。ここで本を読んだり、筋肉トレーニングをしたりしている。空手の稽古では庭の中を走り回っている。おかげで防犯上、助かっている。勇ましい兄貴を見て育ったから、ユーリーもしっかりした男になったし、勇敢だ」
「まあ。ありがとう……」
そんなに褒められて良いのかしらと、エミリアさんが言った。しかし、それは本当の気持ちだと黒崎が言い返して、どうか元気を出してくれと言った。当時のことは一番良い選択だったはずだと。そこで、やっとエミリアさんがふうっと肩の力を抜いた。
すると、木陰から気持ちの良い風が吹いてきた。ナツツバキの匂いがした。風向きに寄るのだろう。ここにはたくさんの木があるが、不思議と匂いの違いが分かる。ここからナツツバキまでは歩いてすぐだ。ちょうど日が当たって葉っぱが輝いている景色がここから見える。
「圭一。懐かしいわ。ここからあの木が見えるのね」
「もっと懐かしくなる。行こう」
「ええ」
黒崎がエミリアさんの手を引いた。そして、スケッチブックの絵の場所にたどり着き、エミリアさんが声を上げた。同じ景色だからだそうだ。俺もそう思う。彼女の目には昔の光景が浮かび上がっているのだろう。ナツツバキの向こうには俺達の家があり、当時は純白さんが住んでいた。今でもそんな気がすると、エミリアさんが言った。
さらに黒崎がエミリアさんのことをナツツバキのそばに連れて行った。すると、さらに彼女が声を上げた。そこから見える家の角度が昔のままであり、とても懐かしい気分だそうだ。黒崎のスケッチブックの絵のときにはエミリアさん達はドイツに帰った後だったが、当時の景色はしばらくそのままで、それを黒崎が絵に残した。その後、エミリアさんが絵を見て懐かしんでいたそうだ。
「懐かしいわ」
「そうだろう。木の切り方を変えただけだ。当時そっくりそのままになるとは思わなかった」
「純白さんがいたら、どんな話をしたかしら……」
エミリアさんがナツツバキに触れた。白い花が満開で、いくつも花を付けている。ここから見える景色は俺にとっては日常だ。しかし、エミリアさんにとっては懐かしい友人を思い出す光景であり、大切にしなければと思った。純白さんが生きていれば。そう涙を流すエミリアさんのことを黒崎が慰めていた。
お昼ご飯を食べたところだ。食後のお茶を飲んでお菓子をつまみ、そろそろいい頃合いだということで、みんなで外に出てきた。今の時間が一番日がきついのだが、この時間を選んで出てきたのには理由がある。庭のナツツバキのある景色と黒崎の描いたスケッチが一致する時間だからだ。ちょうど日影が小さくなる時間であり、7歳の黒崎が描いた絵の世界が広がっている。
俺達はみんなで庭を探検するようにして、その目的地まで歩いていった。途中でアレクシスさんがいた部屋の基礎工事の部分があり、エミリアさんが懐かしそうにしていた。しかし、いくら訓練とは言え、幼い子を庭で一人暮らしさせたことには後悔があるそうで、罪悪感というものと戦っているそうだ。
「母さん。俺のことは心配ない。当時だって、俺には1人だけの部屋が与えらたと思って喜んでいたんだ。そういう記憶がある。ゲーム感覚でいたんだぞ。それに食事は母屋でみんなで取っていた。寂しくなかった」
アレクシスさんがエミリアさんの肩を抱いた。ユーリーもそうしている。間に挟まったエミリアさんは励まされて歩いている。当時はアレクシスさんのためだと思って決めたことでも、夫の意見を聞いてしまったことの後悔もあるそうで、心中複雑だという。そんな彼女に何と声を掛ければ良いのか。その答えをユーリーが知っていた。
「母さん。兄さんは壁に好きな子の写真を飾っていた。自分だけの城で好きなように壁を飾れたんだ。そこは兄さんにとっては秘密基地で、誰からも犯されることのない聖域だった。覚えているだろう?あの数の写真を」
「ええ。覚えているわ。アレクシスの持っている写真の多さに驚いたけれど、本人の自主性に任せると決めたから、咎めたりしていなかったわ」
「そうだろう。兄さんは自由が欲しかったんだ。僕もそうだったけど、僕は手の掛かる子だったから、庭の1人部屋は与えられなかった。もっとしっかりしていたら、僕にも部屋があったはずだ」
「そうね。ありがとう……」
エミリアさんが笑顔を見せた。すると、前を歩いていた黒崎が彼女の手を取った。見せたい景色があるのだという。そして、その場所に行ってみんなで笑った。ユーリーがよくぶら下がっている木があったからだ。
「圭一。ここがユーリーのお気に入りの木なの?」
「ああ、そうだ。ここで本を読んだり、筋肉トレーニングをしたりしている。空手の稽古では庭の中を走り回っている。おかげで防犯上、助かっている。勇ましい兄貴を見て育ったから、ユーリーもしっかりした男になったし、勇敢だ」
「まあ。ありがとう……」
そんなに褒められて良いのかしらと、エミリアさんが言った。しかし、それは本当の気持ちだと黒崎が言い返して、どうか元気を出してくれと言った。当時のことは一番良い選択だったはずだと。そこで、やっとエミリアさんがふうっと肩の力を抜いた。
すると、木陰から気持ちの良い風が吹いてきた。ナツツバキの匂いがした。風向きに寄るのだろう。ここにはたくさんの木があるが、不思議と匂いの違いが分かる。ここからナツツバキまでは歩いてすぐだ。ちょうど日が当たって葉っぱが輝いている景色がここから見える。
「圭一。懐かしいわ。ここからあの木が見えるのね」
「もっと懐かしくなる。行こう」
「ええ」
黒崎がエミリアさんの手を引いた。そして、スケッチブックの絵の場所にたどり着き、エミリアさんが声を上げた。同じ景色だからだそうだ。俺もそう思う。彼女の目には昔の光景が浮かび上がっているのだろう。ナツツバキの向こうには俺達の家があり、当時は純白さんが住んでいた。今でもそんな気がすると、エミリアさんが言った。
さらに黒崎がエミリアさんのことをナツツバキのそばに連れて行った。すると、さらに彼女が声を上げた。そこから見える家の角度が昔のままであり、とても懐かしい気分だそうだ。黒崎のスケッチブックの絵のときにはエミリアさん達はドイツに帰った後だったが、当時の景色はしばらくそのままで、それを黒崎が絵に残した。その後、エミリアさんが絵を見て懐かしんでいたそうだ。
「懐かしいわ」
「そうだろう。木の切り方を変えただけだ。当時そっくりそのままになるとは思わなかった」
「純白さんがいたら、どんな話をしたかしら……」
エミリアさんがナツツバキに触れた。白い花が満開で、いくつも花を付けている。ここから見える景色は俺にとっては日常だ。しかし、エミリアさんにとっては懐かしい友人を思い出す光景であり、大切にしなければと思った。純白さんが生きていれば。そう涙を流すエミリアさんのことを黒崎が慰めていた。
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