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黒崎が俺のそばに来た。俺は九条ネギへの水やりを続けながら、彼に話しかけた。今夜の会食は何も心配が無いということと、具合が悪くなったら聖河さんがいるから何とかなるということもだ。きっと、黒崎が長谷部さんに頼んだのだと思う。ローザさん達と聖河さんも同席させてくれと。その方がメンバーが楽だからだ。緊張してしまうところを、話し上手なローザーさんがいることで相手と打ち解けられる。その役目をするのは聡太郎だと思うが、大勢の前になると彼一人では大変だ。そこで、ローザーさんの参加を頼んだのだろう。
「黒崎さん。俺、ちゃんと会食で話をするよ。これでも23歳なんだよ」
「天気の話だけすればいい」
「それをやめようよ~。あんた、俺がペラペラ喋るのがそんなに嫌なんだね。だったら、会食に出たら良いのに。今からでもカズ兄さんに頼んだら?」
「それじゃ意味が無い。俺がいないところでも立派にやれるところを確認しておきたい」
「あんたね。これでもこの家の法事にだって出たんだよ。あの陰気な雰囲気の中で立派にやれたんだ。心配ないよ」
「そうだな」
黒崎が笑った。すると、腕の中にいるアンドリューがニャアと鳴いた。下に下りたいのかも知れない。そして、俺がそう伝えると、黒崎が彼のことを地面に下ろした。すると、アンドリューが土の匂いを嗅ギ始めた。
「パパは過保護だよねえ。アンドリューもそう思うだろ?自由に外に出られないんだからさ」
「出していないわけじゃない。遠くに行かないだけだ」
「あんたが何か言っているんだろ」
アンドリューは玄関が見える出窓から外を見るのが好きで、そこが定位置になっている。そして、2番目に好きなのが、テラス窓からの眺めだ。時々外に出たがるから窓を開けると、洗濯物干し場まで行って、くつろいでいる。しかし、そこからは離れない。近所の猫だと思うが、見知らぬ猫が入ってきたのを見て怖がって遠くに行かないようになった。
アンドリューからすると、久しぶりの畑の匂いだろう。アンのように走り回ったら良いが、猫だからなのかそういうタイプではなく、静かにしている。しかし、家の中では活発だ。電動のねこじゃらしで遊んでいる。ロボットが動きまわって猫じゃらしを振るのだが、それがお気に入りで、よく遊んでいる。時々激しい遊びにも発展するから驚くことがある。
「アンドリュー、猫じゃらしでも持って来たら良かったね。たまには外で遊んでみたら?」
「アンドリューは大人しい。上品で良い」
「なんか嫌な言い方だねえ」
黒崎のことを軽く蹴ってやった。すると、それを見たアンが尻尾を振った。自分も遊びたいと言っているかのようだ。そして、濡れた土の上に立った。トリミングで短くしてあるから、足に土がついても後片付けが楽だ。庭の水場でさっと洗い流すだけでいい。アンは短い毛になって気持ちが良いのか、庭を走り回るようになった。そこで、俺は黒崎に、短くして良かっただろうと言ってやったことがある。すると、その答えはこんなものだった。俺もそう思っていたと。それは嘘だと思った。
「ユーリー!お疲れさま!」
「ああ……。体力が落ちているようだ。少し走っただけで心拍数が上がった」
ユーリーがジョギングをやめた。はあはあと息を吐いて、首から掛けたタオルで顔を拭いた。裸の上半身にはたくさん汗を掻いている。鍛えているからかっこいい身体をしていると思った。ユーリーのお風呂上がりに必ずと言っていいほど一貴さんが訪ねていき、鑑賞しているぐらいだ。その時のユーリーは変態がまた来たとだけ言い、見せ放題にしている。こういう人は嫌がると強硬な手を使うから、ある程度は許した方がいいのだという。
今朝のジョギングの前に聞いてある。昨夜の一貴さんのことを。ユーリーがお風呂に入るのがいつもより30分早くて、一貴さんが慌てていたことを。帰ってきたばかりで心の準備が出来ていないと言っていたそうだ。何の心の準備だろうか。そうツッコミを入れると、こう言ったそうだ。毎晩ドキドキしているのだと。それを聞いて、ユーリーは立ちくらみが起きたそうだ。この人は変態だと。
「カズ兄さんも見に来れば良いのに」
「風呂上がりに興味があるそうだ。ジョギング後の身体は好みじゃ無いらしい」
「どういう違いだろうね?」
一貴さんの好みには頷けない。こだわりが強くて、一歩も二歩も引いた状態じゃないと話すだけでお腹がいっぱいになりそうな人だ。しかし、とても優しいから大好きだ。ユーリーだってそう思っていると話していた。今夜は社長さんとしての一貴さんが見られるから楽しみだ。
「黒崎さん。俺、ちゃんと会食で話をするよ。これでも23歳なんだよ」
「天気の話だけすればいい」
「それをやめようよ~。あんた、俺がペラペラ喋るのがそんなに嫌なんだね。だったら、会食に出たら良いのに。今からでもカズ兄さんに頼んだら?」
「それじゃ意味が無い。俺がいないところでも立派にやれるところを確認しておきたい」
「あんたね。これでもこの家の法事にだって出たんだよ。あの陰気な雰囲気の中で立派にやれたんだ。心配ないよ」
「そうだな」
黒崎が笑った。すると、腕の中にいるアンドリューがニャアと鳴いた。下に下りたいのかも知れない。そして、俺がそう伝えると、黒崎が彼のことを地面に下ろした。すると、アンドリューが土の匂いを嗅ギ始めた。
「パパは過保護だよねえ。アンドリューもそう思うだろ?自由に外に出られないんだからさ」
「出していないわけじゃない。遠くに行かないだけだ」
「あんたが何か言っているんだろ」
アンドリューは玄関が見える出窓から外を見るのが好きで、そこが定位置になっている。そして、2番目に好きなのが、テラス窓からの眺めだ。時々外に出たがるから窓を開けると、洗濯物干し場まで行って、くつろいでいる。しかし、そこからは離れない。近所の猫だと思うが、見知らぬ猫が入ってきたのを見て怖がって遠くに行かないようになった。
アンドリューからすると、久しぶりの畑の匂いだろう。アンのように走り回ったら良いが、猫だからなのかそういうタイプではなく、静かにしている。しかし、家の中では活発だ。電動のねこじゃらしで遊んでいる。ロボットが動きまわって猫じゃらしを振るのだが、それがお気に入りで、よく遊んでいる。時々激しい遊びにも発展するから驚くことがある。
「アンドリュー、猫じゃらしでも持って来たら良かったね。たまには外で遊んでみたら?」
「アンドリューは大人しい。上品で良い」
「なんか嫌な言い方だねえ」
黒崎のことを軽く蹴ってやった。すると、それを見たアンが尻尾を振った。自分も遊びたいと言っているかのようだ。そして、濡れた土の上に立った。トリミングで短くしてあるから、足に土がついても後片付けが楽だ。庭の水場でさっと洗い流すだけでいい。アンは短い毛になって気持ちが良いのか、庭を走り回るようになった。そこで、俺は黒崎に、短くして良かっただろうと言ってやったことがある。すると、その答えはこんなものだった。俺もそう思っていたと。それは嘘だと思った。
「ユーリー!お疲れさま!」
「ああ……。体力が落ちているようだ。少し走っただけで心拍数が上がった」
ユーリーがジョギングをやめた。はあはあと息を吐いて、首から掛けたタオルで顔を拭いた。裸の上半身にはたくさん汗を掻いている。鍛えているからかっこいい身体をしていると思った。ユーリーのお風呂上がりに必ずと言っていいほど一貴さんが訪ねていき、鑑賞しているぐらいだ。その時のユーリーは変態がまた来たとだけ言い、見せ放題にしている。こういう人は嫌がると強硬な手を使うから、ある程度は許した方がいいのだという。
今朝のジョギングの前に聞いてある。昨夜の一貴さんのことを。ユーリーがお風呂に入るのがいつもより30分早くて、一貴さんが慌てていたことを。帰ってきたばかりで心の準備が出来ていないと言っていたそうだ。何の心の準備だろうか。そうツッコミを入れると、こう言ったそうだ。毎晩ドキドキしているのだと。それを聞いて、ユーリーは立ちくらみが起きたそうだ。この人は変態だと。
「カズ兄さんも見に来れば良いのに」
「風呂上がりに興味があるそうだ。ジョギング後の身体は好みじゃ無いらしい」
「どういう違いだろうね?」
一貴さんの好みには頷けない。こだわりが強くて、一歩も二歩も引いた状態じゃないと話すだけでお腹がいっぱいになりそうな人だ。しかし、とても優しいから大好きだ。ユーリーだってそう思っていると話していた。今夜は社長さんとしての一貴さんが見られるから楽しみだ。
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