805 / 938
23-12
しおりを挟む
17時半。
いつの間に眠っていたのだろう。目を覚ますと、伊吹のマンションの前に着いたのが分かった。ここは夢の続きではなく、現実世界だ。あの後、あの2人はどうなっただろうか。秀悟さんは結婚していないという記録が黒崎家に残っている。ということは、縁談は断られたということになる。お兄さんの次に当主になり、アンリさんが補佐をしたというから、ずっと一緒に居られたのだろう。
(ううん。そんなことはない気がする。一旦、星に帰ったのかも……)
ふと、そんなことが思い浮かんだ。しかし、星に帰ったといっても2、3日のことであり、すぐに秀悟さんの元に戻った気がしている。
「夏樹君。起きた?」
「起きたよ。夢まで見たんだ」
「今、聡太郎君が下りてくるわ」
「うん」
すると、マンションの玄関から聡太郎が出てきた。きれいめの格好をしている。車の窓越しでも分かるぐらいのオーラを放っていて、相変わらずすごいなと思って、ため息が出た。そして、車のドアが開かれて、聡太郎が乗り込んできた。それを長谷部さんが迎え入れて、俺が眠っていたのだと知らせた。しかし、俺はもう完全に起きている。
「起きているよ。ごめんね。気を遣わせて……。聡太郎君、声を出して良いよ」
「そっか。起きていたのか。疲れているんだろう」
「そんなことはないよ。長谷部さん、笑わないでよ~」
長谷部さんがクスクスと笑い始めた。こうなると理由を話さないといけなくなる。そこで、俺は、黒崎と喧嘩をしたのだと打ち明けた。しかも、怒っているのは俺だけであり、黒崎の方は普通にしているのだと付け加えた。それを聞いた聡太郎もクスクスと笑い出した。
「喧嘩の原因は?」
「浮気されたかもっていうこと。風林さんが電話を掛けてきて、黒崎さんが書斎に上がったんだ。その足取りがウキウキしている感じがしてさ~。浮気なの?って……」
「副社長は君のことが大好きなんだ。それはあり得ないよ。知っている?副社長のデスクのフォトフレームには君の写真ばかりだよ。それを、鼻の下を伸して見ていたんだ」
「でも、最近は違うのかも……」
「そんなことはないよ。仲直りまで遠そう?」
「ううん。さっき、電話で謝って、仲直りが完了したよ。でも、まだモヤモヤしていたから、少し寝たんだ」
そこで、俺は、夢の話をすることにした。離ればなれだなんて嫌だという感想もだ。すると、聡太郎が俺の頰をつねった。まるで黒崎のように。
「俺が代わりにつねってあげる。そんな夢を見たのなら、別れようとか、そんなことまで頭によぎったんだろう。だめだよ。早まったらいけない」
「だって、イラついたし、ショックだったんだ」
「もう少し詳しく話してみて」
「うん」
そこで、俺がどんな気持だったのかを詳しく話してみた。すると、だんだんとモヤモヤが落ち着いてきた。そして、また新しいイライラが出てきてしまった。黒崎は俺に秘密を作るなと言っているくせに、自分は作りまくりだということに対してだ。
「ああーーーー。イライラしてきたーーーーー」
「そういうこともあるんだね。君には聞かせたくない話なんだろう。いつか全部話してくれると思うよ。いつまでたっても今のままじゃ無いと思うからね。今だって、前よりも話してくれるようになっただろうう?」
「うん。そう言われるとそうだよ。家のことを教えてくれるようになって来た感じ。でも、和久さんのことは黙っていたんだ。世間は狭いねっていう話になったけど、教えてくれても良かったと思うんだ」
「副社長の判断だけじゃ無くて、相手があることだからね。風林さんだって、聞かれたくない話だったのかも知れないよ。相談に乗ったのは運命かもしれない。とても大事な決断をする時だったのかも知れない。人の縁だからね」
「そっか……」
「引っ越しの時に知り合ってずっと話しているなら、そういうことだと思う。だから君がモヤモヤするんだとは思う。それだけ仲良くなっているっていう証だってね。でも、副社長は君一筋だ」
「うん……。俺、離ればなれだなんて嫌だよ」
「そうだろう」
聡太郎がニコッと微笑んだ。そして、俺の背中を優しくさすってくれた。その力が優しくて、なんだか泣けてきた。久しぶりに大きなヤキモチを焼いてしまい、自分でも恥ずかしい戸惑っている。そんな気持も話すと、今度はもっと優しい力でトントンと背中を叩いてくれた。
いつの間に眠っていたのだろう。目を覚ますと、伊吹のマンションの前に着いたのが分かった。ここは夢の続きではなく、現実世界だ。あの後、あの2人はどうなっただろうか。秀悟さんは結婚していないという記録が黒崎家に残っている。ということは、縁談は断られたということになる。お兄さんの次に当主になり、アンリさんが補佐をしたというから、ずっと一緒に居られたのだろう。
(ううん。そんなことはない気がする。一旦、星に帰ったのかも……)
ふと、そんなことが思い浮かんだ。しかし、星に帰ったといっても2、3日のことであり、すぐに秀悟さんの元に戻った気がしている。
「夏樹君。起きた?」
「起きたよ。夢まで見たんだ」
「今、聡太郎君が下りてくるわ」
「うん」
すると、マンションの玄関から聡太郎が出てきた。きれいめの格好をしている。車の窓越しでも分かるぐらいのオーラを放っていて、相変わらずすごいなと思って、ため息が出た。そして、車のドアが開かれて、聡太郎が乗り込んできた。それを長谷部さんが迎え入れて、俺が眠っていたのだと知らせた。しかし、俺はもう完全に起きている。
「起きているよ。ごめんね。気を遣わせて……。聡太郎君、声を出して良いよ」
「そっか。起きていたのか。疲れているんだろう」
「そんなことはないよ。長谷部さん、笑わないでよ~」
長谷部さんがクスクスと笑い始めた。こうなると理由を話さないといけなくなる。そこで、俺は、黒崎と喧嘩をしたのだと打ち明けた。しかも、怒っているのは俺だけであり、黒崎の方は普通にしているのだと付け加えた。それを聞いた聡太郎もクスクスと笑い出した。
「喧嘩の原因は?」
「浮気されたかもっていうこと。風林さんが電話を掛けてきて、黒崎さんが書斎に上がったんだ。その足取りがウキウキしている感じがしてさ~。浮気なの?って……」
「副社長は君のことが大好きなんだ。それはあり得ないよ。知っている?副社長のデスクのフォトフレームには君の写真ばかりだよ。それを、鼻の下を伸して見ていたんだ」
「でも、最近は違うのかも……」
「そんなことはないよ。仲直りまで遠そう?」
「ううん。さっき、電話で謝って、仲直りが完了したよ。でも、まだモヤモヤしていたから、少し寝たんだ」
そこで、俺は、夢の話をすることにした。離ればなれだなんて嫌だという感想もだ。すると、聡太郎が俺の頰をつねった。まるで黒崎のように。
「俺が代わりにつねってあげる。そんな夢を見たのなら、別れようとか、そんなことまで頭によぎったんだろう。だめだよ。早まったらいけない」
「だって、イラついたし、ショックだったんだ」
「もう少し詳しく話してみて」
「うん」
そこで、俺がどんな気持だったのかを詳しく話してみた。すると、だんだんとモヤモヤが落ち着いてきた。そして、また新しいイライラが出てきてしまった。黒崎は俺に秘密を作るなと言っているくせに、自分は作りまくりだということに対してだ。
「ああーーーー。イライラしてきたーーーーー」
「そういうこともあるんだね。君には聞かせたくない話なんだろう。いつか全部話してくれると思うよ。いつまでたっても今のままじゃ無いと思うからね。今だって、前よりも話してくれるようになっただろうう?」
「うん。そう言われるとそうだよ。家のことを教えてくれるようになって来た感じ。でも、和久さんのことは黙っていたんだ。世間は狭いねっていう話になったけど、教えてくれても良かったと思うんだ」
「副社長の判断だけじゃ無くて、相手があることだからね。風林さんだって、聞かれたくない話だったのかも知れないよ。相談に乗ったのは運命かもしれない。とても大事な決断をする時だったのかも知れない。人の縁だからね」
「そっか……」
「引っ越しの時に知り合ってずっと話しているなら、そういうことだと思う。だから君がモヤモヤするんだとは思う。それだけ仲良くなっているっていう証だってね。でも、副社長は君一筋だ」
「うん……。俺、離ればなれだなんて嫌だよ」
「そうだろう」
聡太郎がニコッと微笑んだ。そして、俺の背中を優しくさすってくれた。その力が優しくて、なんだか泣けてきた。久しぶりに大きなヤキモチを焼いてしまい、自分でも恥ずかしい戸惑っている。そんな気持も話すと、今度はもっと優しい力でトントンと背中を叩いてくれた。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる