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そんなことを考えていると、料理が運ばれてきた。水端さんが席に戻り、それを合図にみんなが料理に手を付けた。カラスミと生ハムのイタリアンサラダとカナッペだ。カナッペは数種類ある。俺はサラダから食べ始めた。ドレッシングがとても美味しい。さらさらしている。そこで、垂れてこないように気を付けて食べていると、ふと、隣にいる一貴さんのことが気になった。このドレッシングを垂らさずに食べられるだろうか。
「カズ兄さん。ドレッシング、さらさらしているから垂れてくるよ。気を付けて食べようね」
「ああ。さっそく垂れそうになって、回避した」
「やっぱり?もっとテーブルにくっついて座ったら?」
「それじゃかっこ悪い」
「ズボンに垂らすよりいいだろ。はいはい。椅子を動かすよ」
さっそく俺は立ち上がり、一貴さんの背後に立った。そして、椅子を押して、もっとテーブルにくっついて座らせた。そして、一貴さんが椅子を元に戻した。
「どうして戻すんだよ?」
「食べづらい。やっぱりかっこ悪い」
「なんだよ。うちの中じゃ言うことを聞くのに、外では聞かないのかよ~」
「ああ。すまない。気を付けて食べるから、椅子はこのままがいい」
「そう?それなら仕方ないね。あ、垂れているよ」
椅子を元の位置に戻したところで、一貴さんがドレッシングをテーブルの上に垂らしてしまった。テーブルクロスは汚れてしまうのを前提で掛けられているだろうが、大きく汚すのはいけないだろう。そこで、スタッフさんに声を掛けて、ナプキンの追加と布巾を頼んだ。
「すみません。お願いします」
「すぐにお持ちします」
スタッフさんが奥に行った。そこで、その間に俺は今あるナプキンでテーブルを拭いた。この分だと何枚も必要だろう。この後で運ばれてくるカルパッチョや白身魚のフリットの豆板醤ソースも落とすだろうし、ブイヤベースもこぼすだろう。そして、ビールグラスも倒すに違いない。
普段の会食の席では失敗することがほとんどないというが、俺がいるから家の中のように感じてしまっているのかも知れない。さっそくドレッシングの失敗があり、先が思いやられる。そこで、ビールグラスを手元では無い場所に置き直した。
「カズ兄さん。グラスはこっちに置いたよ。ここなら手が当たらないから倒さずに済むと思うんだ」
「ありがとう。あ、倒しそうだ」
「ああーーー、こっちに置いてもダメか~。こっちならどう?あ、六槍さん」
「こっちに置いて良いよ。僕も気を付けておくから」
ビールグラスの置き場所に困っていると、六槍さんが目の前に置いてくれることになった。これなら倒さずに済む。六槍さんはそそっかしくないから大丈夫だ。そういうわけで、一貴さんはビールが飲みたくなったら彼の前から取ることになる。
この図式が決まって、まずは一件落着だと思っていたら、向かいの席から水端さんと枝川さんが驚いた顔をして見つめていた。俺が世話をしていることが珍しいのではなくて、一貴さんがこんなに手の掛かる人だと思わなかったそうだ。特に、ビールグラスを六槍さんの目の前に置くことまでしたことに驚いている。
「うちの兄がすみません。恥ずかしいです。ね、カズ兄さん。そうだろ?」
「ああ。僕はそそっかしいタイプで……」
「いいんですよ。一貴社長の新しい一面を見られて嬉しいです。何でも完璧にこなす人なのにと思って、驚きました」
水端さんが微笑んだ。普段の会食の席では完璧だということは、ヨークがいたのかも知れない。それとも、ヨークが一貴さんの代わりに会食に出ていたのかも知れないと思った。その彼に聞いてみたいが、うちの事情を話すのも信じてもらえるかどうかという問題があり、口に出来なかった。
そこで、一貴さんのことを見つめた。やっぱりヨークはいなかった。ウーリもいない。つまりは、一貴さんだけしかいない。だから失敗しているのかも知れない。そこで、ヨークを呼びたくなったが、これは俺達が乗り越える問題だと思い直し、呼ばないことにした。
「カズ兄さん。ドレッシング、さらさらしているから垂れてくるよ。気を付けて食べようね」
「ああ。さっそく垂れそうになって、回避した」
「やっぱり?もっとテーブルにくっついて座ったら?」
「それじゃかっこ悪い」
「ズボンに垂らすよりいいだろ。はいはい。椅子を動かすよ」
さっそく俺は立ち上がり、一貴さんの背後に立った。そして、椅子を押して、もっとテーブルにくっついて座らせた。そして、一貴さんが椅子を元に戻した。
「どうして戻すんだよ?」
「食べづらい。やっぱりかっこ悪い」
「なんだよ。うちの中じゃ言うことを聞くのに、外では聞かないのかよ~」
「ああ。すまない。気を付けて食べるから、椅子はこのままがいい」
「そう?それなら仕方ないね。あ、垂れているよ」
椅子を元の位置に戻したところで、一貴さんがドレッシングをテーブルの上に垂らしてしまった。テーブルクロスは汚れてしまうのを前提で掛けられているだろうが、大きく汚すのはいけないだろう。そこで、スタッフさんに声を掛けて、ナプキンの追加と布巾を頼んだ。
「すみません。お願いします」
「すぐにお持ちします」
スタッフさんが奥に行った。そこで、その間に俺は今あるナプキンでテーブルを拭いた。この分だと何枚も必要だろう。この後で運ばれてくるカルパッチョや白身魚のフリットの豆板醤ソースも落とすだろうし、ブイヤベースもこぼすだろう。そして、ビールグラスも倒すに違いない。
普段の会食の席では失敗することがほとんどないというが、俺がいるから家の中のように感じてしまっているのかも知れない。さっそくドレッシングの失敗があり、先が思いやられる。そこで、ビールグラスを手元では無い場所に置き直した。
「カズ兄さん。グラスはこっちに置いたよ。ここなら手が当たらないから倒さずに済むと思うんだ」
「ありがとう。あ、倒しそうだ」
「ああーーー、こっちに置いてもダメか~。こっちならどう?あ、六槍さん」
「こっちに置いて良いよ。僕も気を付けておくから」
ビールグラスの置き場所に困っていると、六槍さんが目の前に置いてくれることになった。これなら倒さずに済む。六槍さんはそそっかしくないから大丈夫だ。そういうわけで、一貴さんはビールが飲みたくなったら彼の前から取ることになる。
この図式が決まって、まずは一件落着だと思っていたら、向かいの席から水端さんと枝川さんが驚いた顔をして見つめていた。俺が世話をしていることが珍しいのではなくて、一貴さんがこんなに手の掛かる人だと思わなかったそうだ。特に、ビールグラスを六槍さんの目の前に置くことまでしたことに驚いている。
「うちの兄がすみません。恥ずかしいです。ね、カズ兄さん。そうだろ?」
「ああ。僕はそそっかしいタイプで……」
「いいんですよ。一貴社長の新しい一面を見られて嬉しいです。何でも完璧にこなす人なのにと思って、驚きました」
水端さんが微笑んだ。普段の会食の席では完璧だということは、ヨークがいたのかも知れない。それとも、ヨークが一貴さんの代わりに会食に出ていたのかも知れないと思った。その彼に聞いてみたいが、うちの事情を話すのも信じてもらえるかどうかという問題があり、口に出来なかった。
そこで、一貴さんのことを見つめた。やっぱりヨークはいなかった。ウーリもいない。つまりは、一貴さんだけしかいない。だから失敗しているのかも知れない。そこで、ヨークを呼びたくなったが、これは俺達が乗り越える問題だと思い直し、呼ばないことにした。
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