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すると、スタッフさんが奥からナプキンの追加と布巾を持ってきてくれた。俺はそれを受け取って、自分と一貴さんの間に置いた。これでいつでもこぼした物を拭き取れる。
「カズ兄さん。これでいつでもこぼしていいよ。でも、なくべくこぼさない方が良いよ」
「ああ、ありがとう。サラダは食べ終わったから、もう大丈夫だ。カナッペを食べる」
「落としそうだよ。俺も食べないと……」
一貴さんの世話を焼いていたから、ちっとも食べていなかった。次の料理が運ばれてこなくなるし、みんなと足並みを揃えるために、急いでサラダを食べた。そして、カナッペに移った。隣を見ると、4種類のカナッペを一貴さんがきちんと食べていた。しかし、上に乗った具材がぽろっとテーブルの上に落ちた。
「拭いてあげる」
「ありがとう。でも、君が食べられないじゃないか。自分で拭くよ。ああーーー、しまった」
「俺がするよ」
俺はカナッペを食べている手を止めて、ナプキンを手に取った。一貴さんが自分でテーブルの上に落ちたカナッペの具材を拭いたのは良かったが、こすりつけるようにして拭いたから、テーブルの上に広がってしまった。さっそく俺はそれを拭き取った。
「夏樹君。すまない」
「いいんだよ。カズ兄さん。カナッペを2個食べてよ。俺、コースの最後まで食べられないからさ」
「どれも美味しいぞ。食べると良い」
「パスタを食べたいからさ。ピザもね。ほら、チーズ、好きだろ。元気を出せよ」
どうも一貴さんが元気を落としている。今日の場は親睦を深める席なのに、俺に世話を焼かせているからだろう。しかし、水端さんはニコニコと笑っている。しかも、仲が良くて良いねと感じで俺達のことを見てくれている。
「水端さん。すみません。ちっとも話が出来ません」
「いいよ。一貴社長が食べ物をこぼすなんて思わなかった。普段の会食の席では完璧な食事のマナーなんだ。僕の方が肩がこっていたのに。普段の席から今みたいな感じでいてくれたらいいのに」
「そういうわけにもいかない。ああーーー、しまった。またこぼした」
また一貴さんがカナッペの具材をこぼしてしまった。どうしてもこういう料理が苦手なようだ。しかし、本人はわざとやっているのでは無い。次に運ばれてくるブイヤベースの時はどうなるだろうか。
「カズ兄さん。やっぱり椅子をテーブルにくっつけた方が良くない?」
「いいや。このままで食べてみる」
「そう。そろそろビールを飲んだら?喉が渇いただろ」
「ああ。飲む。ぐぐっと」
一貴さんが六槍さんの前からビールを取った。それを見て、水端さんが吹き出して笑った。嫌な笑いでは無くて、愛がこもった笑い方だった。彼はとてもいい人だと思った。
「すみません。兄はこんな人なんです」
「意外だったなあ。プラセルの社長と言えば厳しい人のイメージだったんだ。会食の席では緊張したんだよ。今日はカジュアルな感じの店だったからら意外だったんだ。きっと、若い子がいるからだと思ったんだ。いつもなら、こぼすことなんて出来ない感じの店で食べていてね。料亭もあった。今日は良い物が見られたよ」
「恥ずかしいです。家の中でもこうなんです。でも、大好きなざるそばを食べている時はつゆをこぼさないんです」
「へえーーー。垂れてきそうなのにね。そうか。ざるそばが好きなのか。そういえば、プラセルの社長は親しくなると、そばの店に誘ってくれると聞いている。僕はまだ誘われていない」
「そうなんですね。カズ兄さん。美味しいそばの店に案内しろよ」
「もちろんだ。タイミングが合わなくて誘えなかった。六槍君。水端君をそばの店に案内したい。スケジュールを出しておいてくれ」
「かしこまりました」
一貴さんから声を掛けられた六槍さんがニコッと微笑んだ。そして、さっそくスマホを手に取り、一貴さんの予定を出した。それは瞬時の技であり、さすがは仕事がデキる人だと思った。俺には出来ないことだ。水端さんもため息を漏らしていた。
「カズ兄さん。これでいつでもこぼしていいよ。でも、なくべくこぼさない方が良いよ」
「ああ、ありがとう。サラダは食べ終わったから、もう大丈夫だ。カナッペを食べる」
「落としそうだよ。俺も食べないと……」
一貴さんの世話を焼いていたから、ちっとも食べていなかった。次の料理が運ばれてこなくなるし、みんなと足並みを揃えるために、急いでサラダを食べた。そして、カナッペに移った。隣を見ると、4種類のカナッペを一貴さんがきちんと食べていた。しかし、上に乗った具材がぽろっとテーブルの上に落ちた。
「拭いてあげる」
「ありがとう。でも、君が食べられないじゃないか。自分で拭くよ。ああーーー、しまった」
「俺がするよ」
俺はカナッペを食べている手を止めて、ナプキンを手に取った。一貴さんが自分でテーブルの上に落ちたカナッペの具材を拭いたのは良かったが、こすりつけるようにして拭いたから、テーブルの上に広がってしまった。さっそく俺はそれを拭き取った。
「夏樹君。すまない」
「いいんだよ。カズ兄さん。カナッペを2個食べてよ。俺、コースの最後まで食べられないからさ」
「どれも美味しいぞ。食べると良い」
「パスタを食べたいからさ。ピザもね。ほら、チーズ、好きだろ。元気を出せよ」
どうも一貴さんが元気を落としている。今日の場は親睦を深める席なのに、俺に世話を焼かせているからだろう。しかし、水端さんはニコニコと笑っている。しかも、仲が良くて良いねと感じで俺達のことを見てくれている。
「水端さん。すみません。ちっとも話が出来ません」
「いいよ。一貴社長が食べ物をこぼすなんて思わなかった。普段の会食の席では完璧な食事のマナーなんだ。僕の方が肩がこっていたのに。普段の席から今みたいな感じでいてくれたらいいのに」
「そういうわけにもいかない。ああーーー、しまった。またこぼした」
また一貴さんがカナッペの具材をこぼしてしまった。どうしてもこういう料理が苦手なようだ。しかし、本人はわざとやっているのでは無い。次に運ばれてくるブイヤベースの時はどうなるだろうか。
「カズ兄さん。やっぱり椅子をテーブルにくっつけた方が良くない?」
「いいや。このままで食べてみる」
「そう。そろそろビールを飲んだら?喉が渇いただろ」
「ああ。飲む。ぐぐっと」
一貴さんが六槍さんの前からビールを取った。それを見て、水端さんが吹き出して笑った。嫌な笑いでは無くて、愛がこもった笑い方だった。彼はとてもいい人だと思った。
「すみません。兄はこんな人なんです」
「意外だったなあ。プラセルの社長と言えば厳しい人のイメージだったんだ。会食の席では緊張したんだよ。今日はカジュアルな感じの店だったからら意外だったんだ。きっと、若い子がいるからだと思ったんだ。いつもなら、こぼすことなんて出来ない感じの店で食べていてね。料亭もあった。今日は良い物が見られたよ」
「恥ずかしいです。家の中でもこうなんです。でも、大好きなざるそばを食べている時はつゆをこぼさないんです」
「へえーーー。垂れてきそうなのにね。そうか。ざるそばが好きなのか。そういえば、プラセルの社長は親しくなると、そばの店に誘ってくれると聞いている。僕はまだ誘われていない」
「そうなんですね。カズ兄さん。美味しいそばの店に案内しろよ」
「もちろんだ。タイミングが合わなくて誘えなかった。六槍君。水端君をそばの店に案内したい。スケジュールを出しておいてくれ」
「かしこまりました」
一貴さんから声を掛けられた六槍さんがニコッと微笑んだ。そして、さっそくスマホを手に取り、一貴さんの予定を出した。それは瞬時の技であり、さすがは仕事がデキる人だと思った。俺には出来ないことだ。水端さんもため息を漏らしていた。
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