青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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23-34(夏樹視点)

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 20時。

 黒崎と電話で話したところだ。これから外に出て、水端さんと一貴さんの様子を見に行く。一緒に悠人が来てくれている。途中でスタッフさんに声を掛けて、外に出ると伝えておいた。

「ゆうとーー。ごめんね。食べている時に……」
「いいんだよ。俺も心配だったからさーーー」
「ヨーク達が遊ぶって思わなかったんだ。俺、何も聞かされていなかったんだ。カズ兄さんもそうだと思うけど……」
「ふむふむ。打ち明けるって言っておいてもらえたら、心の準備ができたというものだね。びっくりするやり方だったなーー」
「そうだよね。あのタイミングで藤沢が来ていなかったら、遊びが続いていたと思うと、心臓に悪いよ」
「藤沢が来るタイミングを知っていたんじゃ無いかな。だって、偶然が重なることが多いもん」
「そうだねえ。ブロナイザーに乗っている人達だからねえ」

 悠人の言うことももっともだ。ヨーク達は藤沢が来るタイミングを知っていたのかも知れない。そこで、一貴さんの反応を利用して、悪戯を仕掛けたわけだ。それは遊びという物なのだろう。俺達からすると、ドキドキして落ち着かない。

 出入り口のドアの前に来た。そこで、俺がドアを開いて外に出た。後には悠人が続いた。すると、出入り口の近くで水端さんが一貴さんと話している姿を見つけた。水端さんは笑顔でいる。何も問題がなさそうだ。そして、俺達に気がついた。

「あ、夏樹君。悠人君も」
「俺達も来ました。酔いはどうですか?」
「だいぶいいよ。でも、さっきもウォークインしてもらったんだ。酔いの状態がどうなるか確かめたくてね」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。ははは。なんて言ってしまったけど、けっこう酔いが来るんだね。ヨークさんの空気感を感じることが出来たよ。不思議なんだけど、僕であり、ヨークさんであり、一緒にいるって分かるんだ」
「初めてでそこまで分かるのはすごい」

 一貴さんが微笑んだ。これは分かる。一貴さんだ。そして、一貴さんの身体からヨークが抜け出してきて、俺達の隣に立った。水端さんは見えるだろうか。

「水端さん。ヨークがここに居ます。見えますか?」
「一瞬だけ見えたけど、今は煙が見えるよ。慣れたら分かるようになるのかな」
「ヨーク、どうなの?」
「今、見せる」
「あ……」

 ヨークの身体が青白く光った。そこで、水端さんが声を上げた。ヨークの姿が見られたそうだ。今も継続して見えているという。そこで、水端さんがヨークの前に立った。

「一貴社長もかっこいいですけど、ヨークさんも素敵ですね!」
「ありがとう」
「今日でこれっきりですか?僕はこれからも会いたいと思っているんですけど」

 水端さんが切なそうに言った。そして、今の時間は特別な時間であり、魔法に掛かっているのかも知れないと言った。それを聞いた俺も切なくなった。ヨーク達はここに仕事できている。自分の意志だけではどうしようも無いことがあるのだろう。だから、また水端さんに会えないかも知れないと思った。しかし、そうなると、打ち明けたのはどうしてだろうかということになる。さっき黒崎が言っていた。一貴さんの友達になってもらえる人なのではないかと。

 ヨークのことを見上げる水端さんに、ヨークが声を掛けた。これからも食事をしたいのだと。しかし、デートでは無いのだと。そこで、水端さんが微笑んだ。

「はい。それでもいいから会って下さい」
「一貴君の友達になってもらいたい」
「もちろん、喜んで。僕のことを避けていたのに、いいんですか?」
「恋愛できないと分かってもらえれば良い。すまなかった」
「切ないなあ。僕、失恋ばかりしています」
「君にはきっといい人が現われるよ」
「本当にフラれた気分だーーーー」

 水端さんが地面にしゃがみ込んだ。それを俺と悠人で介抱するようにして立ち上がらせて、店の中に戻ろうと声を掛けた。外は夜になっていても暑くて、喉が渇いたと言っている。

「さあ、行きましょう」
「そうだね。山岸先生も好きな人が居るっていうから、みんな相手が決まっているんだなあって思うと、切ないよ」

 その通りだと思った。その言葉に対して返事をしたかったが、一貴さんの中にヨークが入って、水端さんのエスコートを始めたから、言えなくなった。本当に紳士的だしかっこいいと思った。こうされると忘れられないだろう。そう思っていたら悠人も同じ事を思っていたようで、なんて悪戯なのかと呆れた声出していた。
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