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伊吹は愛情深い人だ。聡太郎のことが好きすぎて行き過ぎた行動を取ってしまう。しかし、騒ぎにならない程度でとどめているから、計算してやっているのだと分かる。聡太郎につきまといをした男性が現われたときにはあらゆる手を使って追い払っていた。そんなにまでされる聡太郎のことが羨ましくなった。
「聡太郎君、いいなあ。お兄ちゃんから愛されてさ」
「君だって副社長から愛されているじゃ無いか。今日来る時も話したけど、会社のデスクには君の写真を飾っているんだ。それに、けっこう束縛が強いように思えるよ。愛されているよ」
「束縛ねえ。そんなでもなくなったよ。うっうっ」
黒崎の束縛が薄くなったような気がしている。昔は酷くて逃げ出したいぐらいだったが、黒崎の心配性に付き合ううちに慣れてきて、何も思わなくなっていた。そして、最近ではそれが無くなったぐらいに感じている。それは多分、お義父さんの家で過ごすことが増えたし、家族も増えたから、常に誰かがそばにいることで安心していることと、俺が音楽の仕事で忙しくなったから遠慮しているのだと思っていた。そこに、風林さんが現われた。俺よりも大事な人が出来たように感じている。
俺はこの際、そのことを打ち明けようと思った。聡太郎の家までまだ時間が掛かる。電話で話しても良いが、このタイミングで相談できた方が良いと思った。レコーディングではお互いに忙しくてゆっくり話す時間が無い。
「聡太郎君。あのさ。黒崎さんに俺よりも優先する人が現われた感覚なんだ」
「それはないよ。いつだって君のことが最優先だ。風林さんに何かあったんじゃないかな。マジで、俺が昔遭ったみたいな付きまといかもしれない。それだと、誰にも話してもらいたくないって言うと思うんだ。会社の人間関係の話なら、ヘッドハンティングを受けたらいい話だし」
「黒崎さんが何も話してくれないからこうなるんだよ~」
はあ。ため息をついた。すると、俺のスマホにラインが入った。店を出るときに黒崎にラインを送ったから、その返事だと思う。家に居るならすぐに返事が欲しかった。このように、ラインまで遅くなっている有様だ。既読を付けてすぐに返信できないときもあったが、それは仕方が無いと思っていた。今日だってそうだ。今日こそすぐに返信が欲しかった。そこで、ラインを開いた。そこには、今から帰るよという俺からのメッセージに対して、気を付けて帰ってこいという返信だった。電話をすれば良かっただろうか。
「あーーあ。15分遅れで返信が返ってきたよ~。今までからすると遅いなあ」
「電話を掛ければ良かったのに」
「会食に集中しろって言われたから、掛けられないんだ。俺に対する過保護をやめるっていう練習をしているところでもあるんだよ」
「それは無理なんじゃない?副社長が君から目を離せるなんて思えないよ。さあ、電話をしてごらんよ。君の方から電話をしたら喜ぶよ」
「でも、後で叱られると思うんだ」
「もう車の中なんだし、僕が言ったからだって言っても良いから、電話を掛けてみて」
「そう?そうだねえ。掛けてみようか……」
聡太郎が強く勧めてくれるから、俺は黒崎に電話を掛けることにした。もう晩ご飯も終わり、書斎にこもっている時間だと思う。それとも、ユーリーの話に付き合っているだろうか。以前はお酒の相手をしていたが、彼が禁酒していることから、お茶を飲みながらの話になっている。
プルルルル。電話を掛けた。すると、思ったよりも早く電話に出てくれた。声は落ち着いていた。そこで、いつもの日常がここにあるのだと強く感じて、ホッとした。
「……夏樹。どうしたんだ?車の中か?」
「電話で話したくなったんだ。聡太郎君が電話しろっていうからさ。あ……」
スマホを聡太郎にとられてしまった。そして、彼が話し出した。そして、夏樹君のことを泣かしたら奪い取りますよと言ったから驚いて、スマホを取り返した。
「聡太郎君。何を言うんだよ~」
「だって、そうでも言わないと分からないだろう。危機が訪れているんだって……」
「そんな危機は無いよ~。俺、黒崎さんのことが好きだもん。もしもし。黒崎さん。聡太郎君が俺が拗ねているから遊んでいるんだ。予定時間通りに帰れそうだからね。どっちの家に居るの?俺達の家だね。分かったよ。そっちの家に帰るからね」
プツ。電話を終えた。電話の向こうの黒崎は少し笑っていた。そして、そっちの家という表現を出したことに、なんだか胸が熱くなった。お義父さんの家と俺達の家。以前はきっちりと線を引くようにして暮らしていたところがあるのに、今ではごちゃ混ぜになっている。それが俺には嬉しくて、いっそのことこっちで暮らさないかと言ってくれたお義父さんの気持ちが嬉しくなった。
「はあ。向こうの家で暮らそうかな……」
「元気が出たじゃないか。はいはい。俺の家に着いたよ。伊吹が外に出ている。会っていく?」
「挨拶だけするよ」
聡太郎が住むマンションの前に車が停まった。そこには伊吹が立っていた。聡太郎のことを迎えるためにだ。そこで俺は遅くなってしまうからと思いつつ、車から降りて伊吹に挨拶した。すると、熱烈な歓迎を受けて頰にキスをされて抱きつかれて、まるでセクハラ親父のようになった伊吹のことを何とかなだめて、車に乗り込んだのだった。
「聡太郎君、いいなあ。お兄ちゃんから愛されてさ」
「君だって副社長から愛されているじゃ無いか。今日来る時も話したけど、会社のデスクには君の写真を飾っているんだ。それに、けっこう束縛が強いように思えるよ。愛されているよ」
「束縛ねえ。そんなでもなくなったよ。うっうっ」
黒崎の束縛が薄くなったような気がしている。昔は酷くて逃げ出したいぐらいだったが、黒崎の心配性に付き合ううちに慣れてきて、何も思わなくなっていた。そして、最近ではそれが無くなったぐらいに感じている。それは多分、お義父さんの家で過ごすことが増えたし、家族も増えたから、常に誰かがそばにいることで安心していることと、俺が音楽の仕事で忙しくなったから遠慮しているのだと思っていた。そこに、風林さんが現われた。俺よりも大事な人が出来たように感じている。
俺はこの際、そのことを打ち明けようと思った。聡太郎の家までまだ時間が掛かる。電話で話しても良いが、このタイミングで相談できた方が良いと思った。レコーディングではお互いに忙しくてゆっくり話す時間が無い。
「聡太郎君。あのさ。黒崎さんに俺よりも優先する人が現われた感覚なんだ」
「それはないよ。いつだって君のことが最優先だ。風林さんに何かあったんじゃないかな。マジで、俺が昔遭ったみたいな付きまといかもしれない。それだと、誰にも話してもらいたくないって言うと思うんだ。会社の人間関係の話なら、ヘッドハンティングを受けたらいい話だし」
「黒崎さんが何も話してくれないからこうなるんだよ~」
はあ。ため息をついた。すると、俺のスマホにラインが入った。店を出るときに黒崎にラインを送ったから、その返事だと思う。家に居るならすぐに返事が欲しかった。このように、ラインまで遅くなっている有様だ。既読を付けてすぐに返信できないときもあったが、それは仕方が無いと思っていた。今日だってそうだ。今日こそすぐに返信が欲しかった。そこで、ラインを開いた。そこには、今から帰るよという俺からのメッセージに対して、気を付けて帰ってこいという返信だった。電話をすれば良かっただろうか。
「あーーあ。15分遅れで返信が返ってきたよ~。今までからすると遅いなあ」
「電話を掛ければ良かったのに」
「会食に集中しろって言われたから、掛けられないんだ。俺に対する過保護をやめるっていう練習をしているところでもあるんだよ」
「それは無理なんじゃない?副社長が君から目を離せるなんて思えないよ。さあ、電話をしてごらんよ。君の方から電話をしたら喜ぶよ」
「でも、後で叱られると思うんだ」
「もう車の中なんだし、僕が言ったからだって言っても良いから、電話を掛けてみて」
「そう?そうだねえ。掛けてみようか……」
聡太郎が強く勧めてくれるから、俺は黒崎に電話を掛けることにした。もう晩ご飯も終わり、書斎にこもっている時間だと思う。それとも、ユーリーの話に付き合っているだろうか。以前はお酒の相手をしていたが、彼が禁酒していることから、お茶を飲みながらの話になっている。
プルルルル。電話を掛けた。すると、思ったよりも早く電話に出てくれた。声は落ち着いていた。そこで、いつもの日常がここにあるのだと強く感じて、ホッとした。
「……夏樹。どうしたんだ?車の中か?」
「電話で話したくなったんだ。聡太郎君が電話しろっていうからさ。あ……」
スマホを聡太郎にとられてしまった。そして、彼が話し出した。そして、夏樹君のことを泣かしたら奪い取りますよと言ったから驚いて、スマホを取り返した。
「聡太郎君。何を言うんだよ~」
「だって、そうでも言わないと分からないだろう。危機が訪れているんだって……」
「そんな危機は無いよ~。俺、黒崎さんのことが好きだもん。もしもし。黒崎さん。聡太郎君が俺が拗ねているから遊んでいるんだ。予定時間通りに帰れそうだからね。どっちの家に居るの?俺達の家だね。分かったよ。そっちの家に帰るからね」
プツ。電話を終えた。電話の向こうの黒崎は少し笑っていた。そして、そっちの家という表現を出したことに、なんだか胸が熱くなった。お義父さんの家と俺達の家。以前はきっちりと線を引くようにして暮らしていたところがあるのに、今ではごちゃ混ぜになっている。それが俺には嬉しくて、いっそのことこっちで暮らさないかと言ってくれたお義父さんの気持ちが嬉しくなった。
「はあ。向こうの家で暮らそうかな……」
「元気が出たじゃないか。はいはい。俺の家に着いたよ。伊吹が外に出ている。会っていく?」
「挨拶だけするよ」
聡太郎が住むマンションの前に車が停まった。そこには伊吹が立っていた。聡太郎のことを迎えるためにだ。そこで俺は遅くなってしまうからと思いつつ、車から降りて伊吹に挨拶した。すると、熱烈な歓迎を受けて頰にキスをされて抱きつかれて、まるでセクハラ親父のようになった伊吹のことを何とかなだめて、車に乗り込んだのだった。
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