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22時。
車が見慣れた住宅街の坂を上がっていった。もうすぐで家に着く。黒崎がお義父さんの家に居るのならそっちの家に戻るが、今日は俺達の家に居るから、門の前で降ろしてもらうことにした。さっきから長谷部さんからは励まされている。大丈夫だと何度も言われた。
「夏樹君。大丈夫よ。いつも通りになるから……」
「そうだといいんだけど。俺がこだわっているからダメなんだよ~」
「はいはい。言えない話があると気になるわよねえ。その気持はすごくよく分かるわ。目の前で秘密を作られて、楽しそうに階段を上がられたら、そんな反応になるわよ。でも、今日のことで吹き飛んだんじゃなかったの?」
「カズ兄さん達のことで吹き飛んだけど、またモヤモヤが蘇ったんだ。まるで悠人だよ。ネガティブの呪いが復活したって、いつも言っているじゃん」
「悠人君はネガティブなんじゃなくて、慎重なのよ。あなたもそうよ。でも、血気盛んなところがあるだけ前に進もうとする力が強いから、周りとぶつからないようにしなさいね。圭一さんはよくコントロールしてくれていると思うわよ」
「飯野さんも言っていたよね。俺、黒崎さんからコントロールされているけど、良い方向に進むためにされているんだって……」
「その通りよ。あなたは愛されているから心配せずに家に帰りなさい。はいはい。着いたわよ」
車が家の門の前で停車した。リビングの灯りがここから見える。普段なら黒崎がこの時間に会食から帰ってきて俺が迎えるのだが、今日は反対だ。玄関に出ていてやろうかとさっきの電話で言われたが、暑いし悪いから断った。それはネガティブな話では無くて、黒崎のことを思ってのことだ。アンもアンドリューも外に出ることになってしまうかも知れない。
カチャ。車のドアを開いた。すごくドキドキしている。どんな顔をして黒崎に会ったらいいだろうかという気持だ。もう俺の中の怒りは消えかけていて、くすぶってはいる状態だ。しかし、また喧嘩をしたくない。
「じゃあ、山田さん、ありがとうございました。長谷部さん。おやすみなさい」
「はいはい。おやすみなさい。玄関を入るところまで見届けるわよ」
「ありがとう」
車は停車したままだ。そして、俺は門を開いて中に入った。この時間でもまだ外は蒸し暑くて、早くシャワーを浴びたいと思った。しかし、その前に黒崎と話をするだろうと思うと気が重い。そして、玄関のドアを開いて中に入った。振り返ると、車が発進した。俺は自然と手を振った。
カチャカチャカチャ!
すると、リビングからアンが走って来た。足の爪の音が響いている。てっきり書斎に居るかと思ったのに、下に居たのか。ということは、黒崎もいることになる。
「アン、ただいま!リビングに居たんだね。黒崎さんは?」
「ここにいる」
「あ……」
靴を脱ぎながら見上げると、部屋着に着替えている黒崎がリビングから出てきた。微笑みを浮かべている。これなら俺は素直にごめんなさいと言えそうだ。
「黒崎さん。ごめんね!俺、風林さんにヤキモチを妬いてさ……」
「すまなかった」
「あ……」
黒崎が手を伸してきて、俺の頭を撫でた。そして、頰をつねった。結構痛い。
「なんだよ。黒崎さん。痛いじゃん……」
「ばかやろう。妬く奴があるか。風林の相談は、男からのつきまといの件だ。なかなかしつこい奴だ。俺が無理矢理聞き出したような物だ。何かの縁だと思って、解決の協力をしたかった」
「そうだったんだねーーーーー」
その話を聞いてホッとした。いや、風林さんからすると、ホッとされるなんてとんでもない話だと思うが、それなら俺に言えなかった気持が分かる。恥ずかしいという気持があったのだろう。黒崎が今話してくれたということは、風林さんに許可をもらったのだろうか。
「風林さんに許可をもらったの?俺に話しても良いって……」
「ああ。30分前に聞いておいた。お前の機嫌が悪くて、どうしても話さないといけないと泣きついてやった」
「なんだよ~。もう……。あんたが相談に乗るなんて、よっぽどの相手だね」
「ああ。俺が話をしても良いが、風林は自分で解決したがっている。相手は前に勤めていた会社の社長だ。俺にとっては全く知らない相手じゃ無い」
「そうなんだね」
「中に入れ。アンドリューも起きている」
「うん」
俺の気持ちは軽くなった。そして、靴を脱ぎながらアンの身体を撫でて相手をした後、リビングに入った。すると、アンドリューがソファーの上に座っていて、俺を見て、ニャアと鳴いた。リビングのテーブルの上には黒崎のパソコンが置いてあり、仕事をしていたのだと分かり、妬いてごめんねと思った。
車が見慣れた住宅街の坂を上がっていった。もうすぐで家に着く。黒崎がお義父さんの家に居るのならそっちの家に戻るが、今日は俺達の家に居るから、門の前で降ろしてもらうことにした。さっきから長谷部さんからは励まされている。大丈夫だと何度も言われた。
「夏樹君。大丈夫よ。いつも通りになるから……」
「そうだといいんだけど。俺がこだわっているからダメなんだよ~」
「はいはい。言えない話があると気になるわよねえ。その気持はすごくよく分かるわ。目の前で秘密を作られて、楽しそうに階段を上がられたら、そんな反応になるわよ。でも、今日のことで吹き飛んだんじゃなかったの?」
「カズ兄さん達のことで吹き飛んだけど、またモヤモヤが蘇ったんだ。まるで悠人だよ。ネガティブの呪いが復活したって、いつも言っているじゃん」
「悠人君はネガティブなんじゃなくて、慎重なのよ。あなたもそうよ。でも、血気盛んなところがあるだけ前に進もうとする力が強いから、周りとぶつからないようにしなさいね。圭一さんはよくコントロールしてくれていると思うわよ」
「飯野さんも言っていたよね。俺、黒崎さんからコントロールされているけど、良い方向に進むためにされているんだって……」
「その通りよ。あなたは愛されているから心配せずに家に帰りなさい。はいはい。着いたわよ」
車が家の門の前で停車した。リビングの灯りがここから見える。普段なら黒崎がこの時間に会食から帰ってきて俺が迎えるのだが、今日は反対だ。玄関に出ていてやろうかとさっきの電話で言われたが、暑いし悪いから断った。それはネガティブな話では無くて、黒崎のことを思ってのことだ。アンもアンドリューも外に出ることになってしまうかも知れない。
カチャ。車のドアを開いた。すごくドキドキしている。どんな顔をして黒崎に会ったらいいだろうかという気持だ。もう俺の中の怒りは消えかけていて、くすぶってはいる状態だ。しかし、また喧嘩をしたくない。
「じゃあ、山田さん、ありがとうございました。長谷部さん。おやすみなさい」
「はいはい。おやすみなさい。玄関を入るところまで見届けるわよ」
「ありがとう」
車は停車したままだ。そして、俺は門を開いて中に入った。この時間でもまだ外は蒸し暑くて、早くシャワーを浴びたいと思った。しかし、その前に黒崎と話をするだろうと思うと気が重い。そして、玄関のドアを開いて中に入った。振り返ると、車が発進した。俺は自然と手を振った。
カチャカチャカチャ!
すると、リビングからアンが走って来た。足の爪の音が響いている。てっきり書斎に居るかと思ったのに、下に居たのか。ということは、黒崎もいることになる。
「アン、ただいま!リビングに居たんだね。黒崎さんは?」
「ここにいる」
「あ……」
靴を脱ぎながら見上げると、部屋着に着替えている黒崎がリビングから出てきた。微笑みを浮かべている。これなら俺は素直にごめんなさいと言えそうだ。
「黒崎さん。ごめんね!俺、風林さんにヤキモチを妬いてさ……」
「すまなかった」
「あ……」
黒崎が手を伸してきて、俺の頭を撫でた。そして、頰をつねった。結構痛い。
「なんだよ。黒崎さん。痛いじゃん……」
「ばかやろう。妬く奴があるか。風林の相談は、男からのつきまといの件だ。なかなかしつこい奴だ。俺が無理矢理聞き出したような物だ。何かの縁だと思って、解決の協力をしたかった」
「そうだったんだねーーーーー」
その話を聞いてホッとした。いや、風林さんからすると、ホッとされるなんてとんでもない話だと思うが、それなら俺に言えなかった気持が分かる。恥ずかしいという気持があったのだろう。黒崎が今話してくれたということは、風林さんに許可をもらったのだろうか。
「風林さんに許可をもらったの?俺に話しても良いって……」
「ああ。30分前に聞いておいた。お前の機嫌が悪くて、どうしても話さないといけないと泣きついてやった」
「なんだよ~。もう……。あんたが相談に乗るなんて、よっぽどの相手だね」
「ああ。俺が話をしても良いが、風林は自分で解決したがっている。相手は前に勤めていた会社の社長だ。俺にとっては全く知らない相手じゃ無い」
「そうなんだね」
「中に入れ。アンドリューも起きている」
「うん」
俺の気持ちは軽くなった。そして、靴を脱ぎながらアンの身体を撫でて相手をした後、リビングに入った。すると、アンドリューがソファーの上に座っていて、俺を見て、ニャアと鳴いた。リビングのテーブルの上には黒崎のパソコンが置いてあり、仕事をしていたのだと分かり、妬いてごめんねと思った。
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