856 / 938
24-13
しおりを挟む
12時半。
今から昼ご飯だ。大広間にみんなで集まって、席に着いた。美味しそうな匂いを漂わせているチキン南蛮を前にして、南波さんが声を上げた。昨日からバタバタしていて、朝ご飯は軽くつまむぐらいしか食べてきていなかったという。昨日の南波さんは出張に行っていて、帰ってきたばかりだ。それも、代理で行った出張だった。営業企画部内でミスが連発し、本来行くはずだった安藤さんがミスの対応をすることになり、南波さんが代わりにと選ばれたわけだ。大阪への一泊二日の出張だ。
それらについては黒崎から聞いてある。しかし、ユーリーには話していなかったし、南波さんも話していなかったらしく、ユーリーが眉をひそめた。どうして言ってくれなかったんだという反応だ。彼は今日は南波さんの隣に座っている。南波さんが座ってくれたからそうなった。そして、ユーリーの反対側には月島さんが居る。それがなんだか三角関係のように見えて、ざわざわした。
「南波君。どうして話してくれなかったんだ?」
「昨日は連絡する時間が無かったんだ。家に帰ったのが18時だったけど、シャワーを浴びたら疲れて寝てしまったんだ。今日は大丈夫だよ。ぐっすり寝たからだよ」
「そうなのか……」
「向こうでは会食に出て、美味しい物を食べられたよ。日本料理店だったんだ。でも、昨日は朝から何本の会議があって、人と話すこともあって、バタバタしてて。帰りの新幹線はスムーズに乗れて、あとは帰るだけになったんだけど、僕の席に別の人が座っていて、席が違いますよって言っても理解してくれなくて、車掌さんを呼んできて、説明してもらったんだけどね。なんと20分も掛かったんだ。それまで僕、途方に暮れるみたいにして立っていたんだ。このまま東京まで行くのかなって思ったんだよ」
「そういう時は僕に連絡してくれ。新幹線の中へは飛んでいけなくても、愚痴ぐらいなら聞ける」
「今度からそうするよ。ああーーー、美味しそうな匂いだなあ」
「召し上がれ」
「頂きます!」
お義父さんの声がけにより、みんなが箸を持った。そして、南波さんがチキン南蛮を箸にとって、食べ始めた。ソースはオーロラソースだ。ケチャップの酸味が利いている。それがチキンによく合い、食欲が増しそうだと思った。
「美味しいなあ!不思議なことなんだけど、金曜日は何か食べようと思ったら邪魔が入って、ちっとも食べられなかったんだ。昨夜は何も食べていないし。朝はロングジョーっていうパンを食べてきたよ。360キロカロリーの……」
「それだけしか食べなかったのか。僕の分のチキン南蛮も食べてくれ。ここにはたくさん料理がある。厚焼き玉子となすの煮浸しも美味しい。ずっとここに居ても良いんだぞ」
「ははは。そうだね。ここにいたら、ご飯に困らないね。みんなーー。キチン南蛮だよ」
南波さんは放送をしているから、スマホに向かって声をかけ始めた。彼のそばには短めの三脚が置いてあり、スマホがセットされている。さっきから俺も放送を見ている。すると、ユーリーの声が入っていたようで、視聴者からのコメントに、“みなみ君が口説かれている”という内容が書かれ始めた。実際にその通りだ。ユーリーは彼のことを口説いている。ずっとここにいてもいいんだぞなんて言って、自分のチキン南蛮を南波さんに差し出している。
そこで、俺は立ち上がった。おかわりがあるかどうかを聞くために。ユーリーは言いだしたら聞かないから、自分の分も食べてもらうだろう。多分、鶏肉のストックはあると思う。今から焼いてもらいたい。
そこで、俺は二葉の後ろを通りかかると、彼女が不安そうな顔になっていることに気がついた。紫乙さんも心配そうな顔をしている。一体どうしたのだろうか。
そこで、先にキッチンに行って、キチン南蛮のおかわりを頼んできた。そして、大広間に戻り、二葉達のそばに行った。まだ彼女は不安そうな顔のままだ。
今から昼ご飯だ。大広間にみんなで集まって、席に着いた。美味しそうな匂いを漂わせているチキン南蛮を前にして、南波さんが声を上げた。昨日からバタバタしていて、朝ご飯は軽くつまむぐらいしか食べてきていなかったという。昨日の南波さんは出張に行っていて、帰ってきたばかりだ。それも、代理で行った出張だった。営業企画部内でミスが連発し、本来行くはずだった安藤さんがミスの対応をすることになり、南波さんが代わりにと選ばれたわけだ。大阪への一泊二日の出張だ。
それらについては黒崎から聞いてある。しかし、ユーリーには話していなかったし、南波さんも話していなかったらしく、ユーリーが眉をひそめた。どうして言ってくれなかったんだという反応だ。彼は今日は南波さんの隣に座っている。南波さんが座ってくれたからそうなった。そして、ユーリーの反対側には月島さんが居る。それがなんだか三角関係のように見えて、ざわざわした。
「南波君。どうして話してくれなかったんだ?」
「昨日は連絡する時間が無かったんだ。家に帰ったのが18時だったけど、シャワーを浴びたら疲れて寝てしまったんだ。今日は大丈夫だよ。ぐっすり寝たからだよ」
「そうなのか……」
「向こうでは会食に出て、美味しい物を食べられたよ。日本料理店だったんだ。でも、昨日は朝から何本の会議があって、人と話すこともあって、バタバタしてて。帰りの新幹線はスムーズに乗れて、あとは帰るだけになったんだけど、僕の席に別の人が座っていて、席が違いますよって言っても理解してくれなくて、車掌さんを呼んできて、説明してもらったんだけどね。なんと20分も掛かったんだ。それまで僕、途方に暮れるみたいにして立っていたんだ。このまま東京まで行くのかなって思ったんだよ」
「そういう時は僕に連絡してくれ。新幹線の中へは飛んでいけなくても、愚痴ぐらいなら聞ける」
「今度からそうするよ。ああーーー、美味しそうな匂いだなあ」
「召し上がれ」
「頂きます!」
お義父さんの声がけにより、みんなが箸を持った。そして、南波さんがチキン南蛮を箸にとって、食べ始めた。ソースはオーロラソースだ。ケチャップの酸味が利いている。それがチキンによく合い、食欲が増しそうだと思った。
「美味しいなあ!不思議なことなんだけど、金曜日は何か食べようと思ったら邪魔が入って、ちっとも食べられなかったんだ。昨夜は何も食べていないし。朝はロングジョーっていうパンを食べてきたよ。360キロカロリーの……」
「それだけしか食べなかったのか。僕の分のチキン南蛮も食べてくれ。ここにはたくさん料理がある。厚焼き玉子となすの煮浸しも美味しい。ずっとここに居ても良いんだぞ」
「ははは。そうだね。ここにいたら、ご飯に困らないね。みんなーー。キチン南蛮だよ」
南波さんは放送をしているから、スマホに向かって声をかけ始めた。彼のそばには短めの三脚が置いてあり、スマホがセットされている。さっきから俺も放送を見ている。すると、ユーリーの声が入っていたようで、視聴者からのコメントに、“みなみ君が口説かれている”という内容が書かれ始めた。実際にその通りだ。ユーリーは彼のことを口説いている。ずっとここにいてもいいんだぞなんて言って、自分のチキン南蛮を南波さんに差し出している。
そこで、俺は立ち上がった。おかわりがあるかどうかを聞くために。ユーリーは言いだしたら聞かないから、自分の分も食べてもらうだろう。多分、鶏肉のストックはあると思う。今から焼いてもらいたい。
そこで、俺は二葉の後ろを通りかかると、彼女が不安そうな顔になっていることに気がついた。紫乙さんも心配そうな顔をしている。一体どうしたのだろうか。
そこで、先にキッチンに行って、キチン南蛮のおかわりを頼んできた。そして、大広間に戻り、二葉達のそばに行った。まだ彼女は不安そうな顔のままだ。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる