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黒崎達が出て行った家の中は静かになった。3人が居ないだけでこんなに違いがあるのかと思った。大広間の中には数人居て、それぞれ話しているのに、そんなに話し声が大きくないから、寂しくなってきた。ユーリーは黒崎から留守を頼まれて、快く引き受けてくれていた。僕が居るから安心してくれという言葉と共に。
そのユーリーは落ち着いていて、南波さんにちょっかいをかけている。2杯目の紅茶を飲みながらマリーズカフェで買ってきたクッキーをつまみ、配信画面に一緒に出ている。視聴者の中にはユーリーのことを覚えていた人が居て、面白いドイツ人男性だったはずだとコメントをしてくれた。
ユーリーが肩を寄せ合うようにして椅子に座っている。そして、南波さんの髪の毛に触れたり頬に触れたりしている。その度に南波さんはくすぐったいと言って身をよじり、ユーリーとの間に空間を空けた。
「ユリウスさん。やめてよ。くすぐったいよ」
「可愛いから触っている。元気を出してくれ。圭一達は無事に向こうに着けるだろう。明日には帰って来るんだ。電話だって出来る。放送を続けてくれ」
「うん。こういう時にはやめた方が良いかなって思ったんだけど」
「隆さんがつけてくれというんだ。そうしてくれ。今日は僕が留守を守る。当主のピンチヒッターだ」
ユーリーが笑った。当主のピンチヒッターだというとおりのことになっている。お義父さんがいるが、もう当主の役割を譲っているから、隠居している身だ。ゆっくりしたいという。そこで、ユーリーがその役目を仰せつかった。いつも家の中でお義父さんと2人で過ごしているから、いつもと変わらない感じではある。しかし、大きな違いがある。黒崎達が居ないということだ。そこで、俺も何か出来ないかと思ったが、ユーリーに全てを任せることにした。今日の当主は彼になった。
イチャイチャと南波さんに触れているのはわざとだと思う。そうやって元気づけようとしているのが分かる。せっかく来てくれたのだから、キャンプをしてもらいたい。放送だって告知をしていたのだし、見てくれている人が居るのだから、中止するのは悪いと思う。せっかくだから続けてもらいたい。
今飲んでいる紅茶を飲み終わったら、月島さん達も誘って、庭の散策に出かけたい。目の前でユーリーが南波さんにちょっかいをかけているというのに、月島さんは平気な顔をしている。俺だったら嫉妬をして大変なことになっていると思う。親友という間柄に落ち着き、恋心がありながらもそれを押さえ込み、微笑みを忘れないのだろう。
月島さんのことを見ていると、紫乙さんと目が合った。そして、ルークがウォークインしているから、彼の姿が重なって見えた。微笑みを浮かべている。俺の考えていることが伝わったようで、しーーっと、指先を立てている。
「夏樹君。今はまだ何も言わないで……」
「ルーク。だって、すごいなと思ったんだ。俺なんて、嫉妬の嵐が収まらないよ。黒崎さんに親しい人が出来ただけですごいんだから……」
「凰李はユリウス君と一緒に居たいんだよ。その関係が壊れる方が嫌なんだ。南波君と幸せになっている姿を見て、満足できるんだと思う。まあ、そうなるとは限らないけど……」
「ルーク……。ユーリーと南波さんが付き合うって言っているの?」
「しーーー……」
またルークが人差し指を立てた。そこで、俺はこれ以上何も言わないことにして、ユーリー達のことを見守ることにした。南波さんがちょっかいをかけられながらも本気で嫌がっている素振りは見せずに、笑顔でスマホカメラに向かっている。表情がほぐれてきたから良かったと思った。
「南波君。コメントにこんなものがあるぞ。キスマークがあるかどうか、首を見せて下さいって……」
「わあーーー。昼間っから、なんて質問だよーー。ないよーー。それっぽい物があったとしても、蚊に刺された跡だからね!」
南波さんがコメントに対して、顔を赤くしてツッコミを入れた。それを見守っているユーリーの表情が優しい。お客さんのおもてなしということもあるし、本当に南波さんのことが好きなのだと分かった。そして、彼らを見ている月島さんの目も優しくて、胸が痛くなったのだった。
そのユーリーは落ち着いていて、南波さんにちょっかいをかけている。2杯目の紅茶を飲みながらマリーズカフェで買ってきたクッキーをつまみ、配信画面に一緒に出ている。視聴者の中にはユーリーのことを覚えていた人が居て、面白いドイツ人男性だったはずだとコメントをしてくれた。
ユーリーが肩を寄せ合うようにして椅子に座っている。そして、南波さんの髪の毛に触れたり頬に触れたりしている。その度に南波さんはくすぐったいと言って身をよじり、ユーリーとの間に空間を空けた。
「ユリウスさん。やめてよ。くすぐったいよ」
「可愛いから触っている。元気を出してくれ。圭一達は無事に向こうに着けるだろう。明日には帰って来るんだ。電話だって出来る。放送を続けてくれ」
「うん。こういう時にはやめた方が良いかなって思ったんだけど」
「隆さんがつけてくれというんだ。そうしてくれ。今日は僕が留守を守る。当主のピンチヒッターだ」
ユーリーが笑った。当主のピンチヒッターだというとおりのことになっている。お義父さんがいるが、もう当主の役割を譲っているから、隠居している身だ。ゆっくりしたいという。そこで、ユーリーがその役目を仰せつかった。いつも家の中でお義父さんと2人で過ごしているから、いつもと変わらない感じではある。しかし、大きな違いがある。黒崎達が居ないということだ。そこで、俺も何か出来ないかと思ったが、ユーリーに全てを任せることにした。今日の当主は彼になった。
イチャイチャと南波さんに触れているのはわざとだと思う。そうやって元気づけようとしているのが分かる。せっかく来てくれたのだから、キャンプをしてもらいたい。放送だって告知をしていたのだし、見てくれている人が居るのだから、中止するのは悪いと思う。せっかくだから続けてもらいたい。
今飲んでいる紅茶を飲み終わったら、月島さん達も誘って、庭の散策に出かけたい。目の前でユーリーが南波さんにちょっかいをかけているというのに、月島さんは平気な顔をしている。俺だったら嫉妬をして大変なことになっていると思う。親友という間柄に落ち着き、恋心がありながらもそれを押さえ込み、微笑みを忘れないのだろう。
月島さんのことを見ていると、紫乙さんと目が合った。そして、ルークがウォークインしているから、彼の姿が重なって見えた。微笑みを浮かべている。俺の考えていることが伝わったようで、しーーっと、指先を立てている。
「夏樹君。今はまだ何も言わないで……」
「ルーク。だって、すごいなと思ったんだ。俺なんて、嫉妬の嵐が収まらないよ。黒崎さんに親しい人が出来ただけですごいんだから……」
「凰李はユリウス君と一緒に居たいんだよ。その関係が壊れる方が嫌なんだ。南波君と幸せになっている姿を見て、満足できるんだと思う。まあ、そうなるとは限らないけど……」
「ルーク……。ユーリーと南波さんが付き合うって言っているの?」
「しーーー……」
またルークが人差し指を立てた。そこで、俺はこれ以上何も言わないことにして、ユーリー達のことを見守ることにした。南波さんがちょっかいをかけられながらも本気で嫌がっている素振りは見せずに、笑顔でスマホカメラに向かっている。表情がほぐれてきたから良かったと思った。
「南波君。コメントにこんなものがあるぞ。キスマークがあるかどうか、首を見せて下さいって……」
「わあーーー。昼間っから、なんて質問だよーー。ないよーー。それっぽい物があったとしても、蚊に刺された跡だからね!」
南波さんがコメントに対して、顔を赤くしてツッコミを入れた。それを見守っているユーリーの表情が優しい。お客さんのおもてなしということもあるし、本当に南波さんのことが好きなのだと分かった。そして、彼らを見ている月島さんの目も優しくて、胸が痛くなったのだった。
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