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24-24(黒崎視点)
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18時半。
タクシーで志乃の実家へと向かっているところだ。志乃の父親と祖母がようやく落ち着いたと、二葉へ志乃がラインを送ってきたそうだ。それはそうだろう。心中穏やかでは無いはずだ。志乃は何もしていないのに警察を呼ばれて悪者にされたと聞けば、心はかき乱されるだろう。それが実の母親からされたとなれば尚更だ。
「お兄ちゃん。もうすぐで着くよ」
「そうだな。土産はこれでよかったのか?」
「おじさんもおばあさんも好きなやつなんだ。売っていて良かったよ」
志乃の元に訪ねていくのには土産がいると二葉が言って、一旦タクシーを停めてコンビニで買い物をして来た。地元の土産物を店で売っていた。それはパンだった。それが志乃の父親達が好物らしい。本当なら家族総出で志乃を迎え入れて温かい食事をしている頃だ。それなのに、こういうことが起こって残念に思う。
そこで、志乃は1人では無いのだと思った。父親と祖母が味方に付いている。北岡家の従姉妹もそうだろう。俺達が来なくてもいいのではないかと思った。事を荒立てることにならないか。そんなことを考えて、いや、必要だったと思い直した。それは二葉のことがあるからだ。
二葉は志乃のことを想い慕っている。1人でここに来させたなら、何か騒動を起こしそうであるし、巻き込まれる恐れもあった。それを防ぐためにここに来た。黒崎家として何か手伝えることはないだろうかと考えてのことでもある。
二葉は危うい性格をしている。傷つきやすく、落ち込むときは底なしに落ち込む。志乃の些細な態度の変化を気にして、自分のことを遠ざけているのでは無いかと言い出すときもある。執着という物だろうか。束縛という名前も付くだろう。俺にとても良く似ている。欲しいものは欲しいと願うところがだ。
倉口家で育った二葉は我慢をして来た。人の心が欲しいとなれば、叶わないことだと諦めてきた。しかし、黒崎家で暮らすようになり、父から何でも正直であれと教育を受けて、本来の性格が浮き上がってきたようだ。父が何でも欲しいものを買い与えたくて、あれやこれやと二葉に聞く。欲しいものは無いのかと。そして、二葉はこう答える。本当に欲しいものは手が届かないんだ。人の心だからと。それは母の事もあると思う。そして、父は他に欲しいものは無いのかと聞き、またあれやこれやと贈り物をしている。思い切り甘やかすために。
俺はそれを悪いことだとは思っていない。本来、二葉は父の元で暮らすはずだったと思うからだ。しかし、どんな大人になっていたかと思うと、冷や汗が出そうだ。俺と同じく、欲しいものを手に入れたくて黒崎家の名前まで使っていたことだろう。
二葉が我慢できる性格に育ったのは倉口家のおかげだ。それは否定しない。しかし、血というのは争えないことを知った。二葉が志乃しか要らないと言い出したからだ。
「二葉。今日会いに行くのは、お前の気持ちを伝えるためじゃないぞ。見舞いだ。それから、勇気づけるためだ。親友の自分が来たんだと伝えるためだ」
「志乃を放っておけないよ。スイスでも苦労しているみたいなんだ。俺のパートナーってことにしたら、働きやすくなるんじゃ無いのかな?おじいちゃんが、そうしてもいいって……。何人か向こうで知っている人が居るし、日本の大学にも紹介できる人がいるって言っていたんだ」
「こら。志乃さんの人生だぞ。……着いたか」
いつの間にか目的地が近づいていた。白い外壁の家の前でタクシーが停まった。俺達は車から降りた。運転手がスーツケースを運び出して受け取ったタイミングで家の玄関が開き、志乃が出てきた。長い髪の毛を後ろでまとめたヘアスタイルは見慣れた物だ。何も変わらない。
「志乃!俺、来たよ!」
「二葉……。ごめんね……」
親友の2人が手と手を取り合った。片方に恋心がなければ良いと思うのは酷だろうか。恋心を否定したくないが、ない方が良いと思った。二葉が傷つくのを見たくない。
「お兄さん。こんばんは。どうもすみません」
「こちらこそ、急に押しかけてすまない。中に入っても良いだろうか」
「もちろんです」
ガーーーー。
タクシーが走り去った。俺達はまずは志乃の実家に入ることにした。志乃が無事にスイスへ発つために協力する。そう伝えて玄関を入った。中には中山の義父がいて、久しぶりだねと言って、俺達を迎えた。
タクシーで志乃の実家へと向かっているところだ。志乃の父親と祖母がようやく落ち着いたと、二葉へ志乃がラインを送ってきたそうだ。それはそうだろう。心中穏やかでは無いはずだ。志乃は何もしていないのに警察を呼ばれて悪者にされたと聞けば、心はかき乱されるだろう。それが実の母親からされたとなれば尚更だ。
「お兄ちゃん。もうすぐで着くよ」
「そうだな。土産はこれでよかったのか?」
「おじさんもおばあさんも好きなやつなんだ。売っていて良かったよ」
志乃の元に訪ねていくのには土産がいると二葉が言って、一旦タクシーを停めてコンビニで買い物をして来た。地元の土産物を店で売っていた。それはパンだった。それが志乃の父親達が好物らしい。本当なら家族総出で志乃を迎え入れて温かい食事をしている頃だ。それなのに、こういうことが起こって残念に思う。
そこで、志乃は1人では無いのだと思った。父親と祖母が味方に付いている。北岡家の従姉妹もそうだろう。俺達が来なくてもいいのではないかと思った。事を荒立てることにならないか。そんなことを考えて、いや、必要だったと思い直した。それは二葉のことがあるからだ。
二葉は志乃のことを想い慕っている。1人でここに来させたなら、何か騒動を起こしそうであるし、巻き込まれる恐れもあった。それを防ぐためにここに来た。黒崎家として何か手伝えることはないだろうかと考えてのことでもある。
二葉は危うい性格をしている。傷つきやすく、落ち込むときは底なしに落ち込む。志乃の些細な態度の変化を気にして、自分のことを遠ざけているのでは無いかと言い出すときもある。執着という物だろうか。束縛という名前も付くだろう。俺にとても良く似ている。欲しいものは欲しいと願うところがだ。
倉口家で育った二葉は我慢をして来た。人の心が欲しいとなれば、叶わないことだと諦めてきた。しかし、黒崎家で暮らすようになり、父から何でも正直であれと教育を受けて、本来の性格が浮き上がってきたようだ。父が何でも欲しいものを買い与えたくて、あれやこれやと二葉に聞く。欲しいものは無いのかと。そして、二葉はこう答える。本当に欲しいものは手が届かないんだ。人の心だからと。それは母の事もあると思う。そして、父は他に欲しいものは無いのかと聞き、またあれやこれやと贈り物をしている。思い切り甘やかすために。
俺はそれを悪いことだとは思っていない。本来、二葉は父の元で暮らすはずだったと思うからだ。しかし、どんな大人になっていたかと思うと、冷や汗が出そうだ。俺と同じく、欲しいものを手に入れたくて黒崎家の名前まで使っていたことだろう。
二葉が我慢できる性格に育ったのは倉口家のおかげだ。それは否定しない。しかし、血というのは争えないことを知った。二葉が志乃しか要らないと言い出したからだ。
「二葉。今日会いに行くのは、お前の気持ちを伝えるためじゃないぞ。見舞いだ。それから、勇気づけるためだ。親友の自分が来たんだと伝えるためだ」
「志乃を放っておけないよ。スイスでも苦労しているみたいなんだ。俺のパートナーってことにしたら、働きやすくなるんじゃ無いのかな?おじいちゃんが、そうしてもいいって……。何人か向こうで知っている人が居るし、日本の大学にも紹介できる人がいるって言っていたんだ」
「こら。志乃さんの人生だぞ。……着いたか」
いつの間にか目的地が近づいていた。白い外壁の家の前でタクシーが停まった。俺達は車から降りた。運転手がスーツケースを運び出して受け取ったタイミングで家の玄関が開き、志乃が出てきた。長い髪の毛を後ろでまとめたヘアスタイルは見慣れた物だ。何も変わらない。
「志乃!俺、来たよ!」
「二葉……。ごめんね……」
親友の2人が手と手を取り合った。片方に恋心がなければ良いと思うのは酷だろうか。恋心を否定したくないが、ない方が良いと思った。二葉が傷つくのを見たくない。
「お兄さん。こんばんは。どうもすみません」
「こちらこそ、急に押しかけてすまない。中に入っても良いだろうか」
「もちろんです」
ガーーーー。
タクシーが走り去った。俺達はまずは志乃の実家に入ることにした。志乃が無事にスイスへ発つために協力する。そう伝えて玄関を入った。中には中山の義父がいて、久しぶりだねと言って、俺達を迎えた。
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