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25-20(黒崎視点)
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19時半。
中山家にいる。俺も朝陽も歓迎されてリビングに通されて、料理を振る舞われている。惣菜もあると言っていたが、主に義母が作った料理だ。和食と中華が混ざっている。美味しくないかも知れないけれどと義母が言っていたが、さっそく酢豚を食べみると美味かった。夏樹の作る酢豚の味に似ているが少々違うようだ。そこで、隣に座っている夏樹に声を掛けた。
「夏樹。この酢豚が美味い。食べてみろ。お義母さんの作る料理はどれも美味い」
「ありがとう。お母さんも作りがいがあるよ」
「真似をしてくれ」
「なんだよ?俺の酢豚が不味いっていうのかよ?」
「そうじゃない。豚肉の柔らかさがいい」
「お母さん。いつもより高いお肉を買ってきたんだろ?そうじゃないと柔らかくないよね。黒崎さんってうるさいんだ。食費はそこそこに抑えて買わないと、天井知らずになるよ。黒崎さんの選ぶお肉って、普段使いって感じじゃなくてさ~。豆腐なんて、一丁400円のやつを買おうとしたんだよ?いや、美味しいと思うんだよ?」
「あら。一丁400円なんて、こっちのスーパーには売っていないわよ。都会はすごいのね」
「ううん。こっちと同じだよ。その豆腐、スーパーの特別販売でさ~。豆腐フェアってやつだったんだ。高菜フーズっていうメーカーだよ。黒崎さんさ~、そこのメーカーが好きでさ~。俺も好きなんだけど、そこの豆腐の一丁98円の豆腐を買うって事でお互いに話し合いに決着がついたんだ。まったくさ~」
夏樹が俺の愚痴を言い始めた。この分だと止まらないだろう。義母に電話を掛けて話すときも、必ず俺のことを話している。俺はそれを横で聞いていて、そんなに俺はうるさい男だったかと疑問に思っている。そして、義父がテーブルの上の料理を眺めて、俺達に、そして、朝陽にもっと食べるように言った。
「朝陽君。たくさん食べてくれ。君が肉じゃがが好きだというから、家内が張り切って作ったんだよ。こっちの春巻きは惣菜だ。でも、とても美味しいんだ。揚げ直しをしてあるから、パリパリしている」
「はい。ありがとうございます」
「そうか。肉じゃがを食べてくれるのか。寿司もある。食べてくれ」
「はい。どれも美味しいです」
朝陽が微笑みながら肉じゃがを食べた。そして、皿にマグロとイカの寿司を取った。好き嫌いはないと聞いている。味の好みも幅広い。酸っぱい物も辛い物も食べられる。そう思うと、朝陽は良い子だと思った。二葉にも好き嫌いがない。何でも食べる。これは倉口家でよく躾をされていたおかげだと思った。食べ物は残さないことと、親から言われていたのだと聞いている。
(倉口。今頃どうしているだろう。明日、また家に行くか……)
今日の倉口の涙が頭の中に浮かんだ。荷物整理の時に流していた涙は昔の自分に対する悔しさからだ。何もかも上手くいかなかったと言っていた。そして、ホテルで流した涙は妻だった人の不貞行為が明るみに出たショックと、朝陽が息子で無いかも知れないという悲しみからだった。
ホテルで俺達は1時間近く話をした。倉口の育ってきた家庭環境と都会での就職のつまづきと、母との出会いだ。同じ地元に親戚がいるということで話が合い、心を通わせることになったそうだ。朝陽のことは本当の息子だと思って育ててきたこと、今でもそうだと思っているということが語られた。朝陽はそれに対して丁寧に頷き、話を聞いていた。
すると、以心伝心ということなのか、朝陽が食べながら涙を流し始めた。それには当の本人が驚き、慌て始めた。そこで、俺はそばにあるティッシュを差し出した。
「朝陽。ティッシュをもらえ」
「う、うん……」
朝陽が流した涙は顎を伝って手元に落ち、それを見た万理がタオルを持ってくると言って立ち上がった。そして、夏樹が声を掛けた。大丈夫かと。それに対して朝陽は小さく頷き、新しい涙を流し始めた。伊吹と聡太郎がそばにあるティッシュを差し出してきた。今使っている物はなくなりかけだそうだ。
「すまない。朝陽。どうしたんだ。急に泣き出して……」
「ごめん……。急に来たんだ。俺、恥ずかしいよ……。ちょっと色々あったぐらいで……」
「朝陽……。お義母さん、すみません。お義父さんも……」
俺が両親に謝ると、2人が首を振った。そして、義父が、万理からタオルを受け取り、朝陽に差し出した。朝陽はそれを軽く頭を下げて受け取り、顔を覆った。泣いている顔など見せたくないのだろう。しかし、今は食事の場だ。中座するのは失礼だ。残された者が気まずくなる。
中山家にいる。俺も朝陽も歓迎されてリビングに通されて、料理を振る舞われている。惣菜もあると言っていたが、主に義母が作った料理だ。和食と中華が混ざっている。美味しくないかも知れないけれどと義母が言っていたが、さっそく酢豚を食べみると美味かった。夏樹の作る酢豚の味に似ているが少々違うようだ。そこで、隣に座っている夏樹に声を掛けた。
「夏樹。この酢豚が美味い。食べてみろ。お義母さんの作る料理はどれも美味い」
「ありがとう。お母さんも作りがいがあるよ」
「真似をしてくれ」
「なんだよ?俺の酢豚が不味いっていうのかよ?」
「そうじゃない。豚肉の柔らかさがいい」
「お母さん。いつもより高いお肉を買ってきたんだろ?そうじゃないと柔らかくないよね。黒崎さんってうるさいんだ。食費はそこそこに抑えて買わないと、天井知らずになるよ。黒崎さんの選ぶお肉って、普段使いって感じじゃなくてさ~。豆腐なんて、一丁400円のやつを買おうとしたんだよ?いや、美味しいと思うんだよ?」
「あら。一丁400円なんて、こっちのスーパーには売っていないわよ。都会はすごいのね」
「ううん。こっちと同じだよ。その豆腐、スーパーの特別販売でさ~。豆腐フェアってやつだったんだ。高菜フーズっていうメーカーだよ。黒崎さんさ~、そこのメーカーが好きでさ~。俺も好きなんだけど、そこの豆腐の一丁98円の豆腐を買うって事でお互いに話し合いに決着がついたんだ。まったくさ~」
夏樹が俺の愚痴を言い始めた。この分だと止まらないだろう。義母に電話を掛けて話すときも、必ず俺のことを話している。俺はそれを横で聞いていて、そんなに俺はうるさい男だったかと疑問に思っている。そして、義父がテーブルの上の料理を眺めて、俺達に、そして、朝陽にもっと食べるように言った。
「朝陽君。たくさん食べてくれ。君が肉じゃがが好きだというから、家内が張り切って作ったんだよ。こっちの春巻きは惣菜だ。でも、とても美味しいんだ。揚げ直しをしてあるから、パリパリしている」
「はい。ありがとうございます」
「そうか。肉じゃがを食べてくれるのか。寿司もある。食べてくれ」
「はい。どれも美味しいです」
朝陽が微笑みながら肉じゃがを食べた。そして、皿にマグロとイカの寿司を取った。好き嫌いはないと聞いている。味の好みも幅広い。酸っぱい物も辛い物も食べられる。そう思うと、朝陽は良い子だと思った。二葉にも好き嫌いがない。何でも食べる。これは倉口家でよく躾をされていたおかげだと思った。食べ物は残さないことと、親から言われていたのだと聞いている。
(倉口。今頃どうしているだろう。明日、また家に行くか……)
今日の倉口の涙が頭の中に浮かんだ。荷物整理の時に流していた涙は昔の自分に対する悔しさからだ。何もかも上手くいかなかったと言っていた。そして、ホテルで流した涙は妻だった人の不貞行為が明るみに出たショックと、朝陽が息子で無いかも知れないという悲しみからだった。
ホテルで俺達は1時間近く話をした。倉口の育ってきた家庭環境と都会での就職のつまづきと、母との出会いだ。同じ地元に親戚がいるということで話が合い、心を通わせることになったそうだ。朝陽のことは本当の息子だと思って育ててきたこと、今でもそうだと思っているということが語られた。朝陽はそれに対して丁寧に頷き、話を聞いていた。
すると、以心伝心ということなのか、朝陽が食べながら涙を流し始めた。それには当の本人が驚き、慌て始めた。そこで、俺はそばにあるティッシュを差し出した。
「朝陽。ティッシュをもらえ」
「う、うん……」
朝陽が流した涙は顎を伝って手元に落ち、それを見た万理がタオルを持ってくると言って立ち上がった。そして、夏樹が声を掛けた。大丈夫かと。それに対して朝陽は小さく頷き、新しい涙を流し始めた。伊吹と聡太郎がそばにあるティッシュを差し出してきた。今使っている物はなくなりかけだそうだ。
「すまない。朝陽。どうしたんだ。急に泣き出して……」
「ごめん……。急に来たんだ。俺、恥ずかしいよ……。ちょっと色々あったぐらいで……」
「朝陽……。お義母さん、すみません。お義父さんも……」
俺が両親に謝ると、2人が首を振った。そして、義父が、万理からタオルを受け取り、朝陽に差し出した。朝陽はそれを軽く頭を下げて受け取り、顔を覆った。泣いている顔など見せたくないのだろう。しかし、今は食事の場だ。中座するのは失礼だ。残された者が気まずくなる。
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