聖なる雫の音楽少年~あの日のキミ

夏目奈緖

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4-1 早瀬の誕生日

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 12月10日、月曜日。午前4時。

 カレンダーを見ると、72候の欄には閉塞成冬・そらさむくふゆとなると書かれている。今日は早瀬の3日遅れの誕生日デートをする。あちこち出かけるから身体が温まりそうだ。

「空が閉ざされ真冬となる。……まだ夜明け前だよ」
「あと2時間もすれば夜明けだ。それまでゆっくりしよう」
「平地でも雪が降り始め、生き物も活動を控えて冬ごもりをします。……俺は眠たいもん」
「寝ていろ。俺は活動する」
「あああ……」

 ここは寝室のベッドの中だ。ゆっくり出来る朝だと言って、早瀬が笑っている。あくまでも彼の基準だ。エロさが全開になってしまった。朝の4時なのに。この人はいつ寝たのだろう?真夜中は書斎にいたはずだ。

「裕理さん。だめって」
「だめ……じゃない」

 覆いかぶさってきて強引にキスをされた。パジャマをまくり上げている手が温かい。いや、熱いぐらいだ。すでにスイッチが入っている。だったら天井の照明を入れてやろう。

「普通に起きてよー」
「電気を点けるのか。めずらしいなあ」
「もう、起きるんだってば。ギターの練習をしてくるから。今日は出かけるし」
「手を休めておけ。俺は休めないけどね」

 胸のあたりや腹回りに唇が辿っていった。軽く押さえつけているつもりか?身動きできなくなった。優しいのか意地悪なのか分からない。肌に触れている息づかいが足元へ降りていく。つい変な声をあげると笑らわれた。もっとしてもいいか?と言いながら。

「聞かなくてもするだろーー」
「嫌がってくれ。楽しい」
「いやだー、やだやだやだ!」
「悪い子にはこうしてやる。ほら……」
「もう……」

 気持ちが高ぶってきた。自分ではどうすることも出来ずに、大人しくされるがままになった。足をばたつかせれば押さえつけられる。身じろぎするとキスをされた。ごめんねという意味だ。

「手加減が出来ないからもしれない。誕生日だから、多めに見てくれないか?」
「今回だけ……ああ、もう、返事をしてないのに」

 足を抱えあげられた。そして、奥に感じた熱が強くなって足が震えた。その足をなだめるように撫でられて微笑まれた。可愛くて仕方がないという囁きつきだ。

「もうーーー……」
「もっと聞かせてくれ」
「もう……」

 今日の午後は、レインボーブリッジ遊歩道へ出かける。けっこう歩くと教えてくれたくせに、手加減をしてくれないのか。しかし、愛しているという囁き声に降参した。
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