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17時半。
今夜の料理の支度が済んだ。早瀬たちが帰ってくるまで、玄関先の飾りつけを手伝っている。佐久弥が蔵之介さんから抱えあげられて、門のてっぺんに電球を巻き付けている。人使いの荒い男だ。あちこちと蔵之介さんを移動させている。
「クラー、ちゃんと支えろー」
「支えている。お前が動くからだ」
「俺のことが嫌いなのかーー?」
「好きだ」
「じゃあ支えろ……」
やれやれと眺めつつ、俺は植え込みに白いモールをかぶせた。
玄関先には大きなウサギの置物がある。140㎝の高さだそうだ。どこで買ったのだろう?ずいぶん前から疑問だった。夏樹が出入りするのは、スーパーと園芸ショップしかない。
「園芸ショップで見つけたのー?」
「ううん。黒崎さんのお兄さんから貰ったんだよ。アパレル関係の人でさー。プラセルコーポレーション。悠人が着ていた服のメーカーだよ」
「へえ。グッズも売っているの?海外なんだ?ふむふむ」
その企業の代表が、千尋製菓に引き抜かれようとしていた。あっけなく断られたと聞いている。早瀬のお父さんが代表になるだろう。早瀬がそう話していた。
すると、夏樹がビックリした顔をした。噂をすれば影だと言っている。視線の先には男の人が立っていた。そして、夏樹が“一貴さん”と名前を呼んだ。
一番近くにいた佐久弥が地面に降りて会釈をした。男の人も同じように返していた。夏樹が門のそばへ行くと、紙袋を軽く持ち上げた。プレゼントかな?
「久しぶりだね~。どうしたの?」
「これを渡してほしくて来た。すぐに引き返す」
「お義父さん、家に居るよ?うちでよかったら、上がってよ~」
「これからパーティーに出席する。世話になった礼だ。こっちは夏樹君にだよ」
「ありがとう。これが話してくれたやつ?嬉しいよ。そうだ、紹介するね。ゆうとー。黒崎さんの4番目のお兄さんだよ」
手招きされて近くに行った。ここは先に名乗るべきだ。仕事でも教え込まれたことだ。
「はじめまして。久田悠人と申します」
「はじめまして。島川一貴と申します。夏樹君から聞いているよ。僕はプラセルコーポレーションの代表です。MIDSHIPを着てくれていたそうだね?」
「はい!高校時代に。今はバタバタしてて、ショップに行けなくて」
「時間が出来た時には、ぜひお願いします。活躍を拝見した。実物はイメージが違うようだね。向日葵のようなイメージだ」
「はい!ありがとうございます」
島川さんが一歩前に出てきた。憧れの人を前にして肩が凝ってしまった。ギクシャクして、うまく握手ができない。島川さんが緊張させたか?と言って笑っている。
(爽やかな人だなーー)
すると、佐久弥が笑いながら話し始めた。仕事関係が交流があったそうだ。久しぶりだと言っている。一緒に話していると、島川さんから名刺を渡された。服をプレゼントするから着てくれとまで声をかけられてしまった。どう答えればいいものか。
「現場から離れて長くなった。お客様に対面することがない。つい嬉しくて」
「ありがとうございます。申し訳ないので。お店に遊びに行きます」
「そうか。夏樹君、キミの方からも……あれ?どこへ行ったのかな?」
「あれー?なつきー?あああ……」
どうしよう?夏樹が溝に片足を突っ込んでいる。すぐに立ち上り、恥ずかしそうに笑った。
「もうー、あぶないよ」
「うへへ。黒崎さんには内緒にしてよ」
「ゆうとー、君も離れた方がいいぞ」
「わわわ……っ」
佐久弥から強引に腕を引かれて、ウサギの置物へたどり着いた。どうしてここまで遠くに来たのか?文句を口にすると、アイコンタクトを受けた。普通に話せと唇が動いた。
「なんだよ、もうーっ。大丈夫だって」
「ぎゃははは。距離が近いぞー。危なかったなー」
「君の方がよっぽど危険だよ。……なに?」
「よーし。スルーが出来た」
門の方を見ると、夏樹が島川さんへ手を振っていた。姿が見えなくなったから、帰ったのか。一体どうしたのか?
「話している時、妙に距離が近かった。ショップに行くなら、裕理か俺と一緒に行け」
「もちろん裕理さんと行くよ。なんで?」
「あのな。夏樹には黙っていろよ?あの業界じゃ噂がある。気に入った子には握手するそうだ。その後は即時に誘って、しつこくするそうだ。パートナーがいることが分かれば問題ないそうだ。わざわざ言うことでもないからな」
「誰かが妬んで、広めているんじゃないのー?」
「それはある。アプローチが強いそうだ。サラッと流せ」
「分かった。違うと思うけど。なんで佐久弥とショップへ行くんだよ?」
「安全性が高いからだ。……おーい、作業が終わったぞー」
「うん。もう入ろうっか~」
ここで話を切り上げた。そろそろ冷えきたねと言いながら、みんなで玄関に入った。
今夜の料理の支度が済んだ。早瀬たちが帰ってくるまで、玄関先の飾りつけを手伝っている。佐久弥が蔵之介さんから抱えあげられて、門のてっぺんに電球を巻き付けている。人使いの荒い男だ。あちこちと蔵之介さんを移動させている。
「クラー、ちゃんと支えろー」
「支えている。お前が動くからだ」
「俺のことが嫌いなのかーー?」
「好きだ」
「じゃあ支えろ……」
やれやれと眺めつつ、俺は植え込みに白いモールをかぶせた。
玄関先には大きなウサギの置物がある。140㎝の高さだそうだ。どこで買ったのだろう?ずいぶん前から疑問だった。夏樹が出入りするのは、スーパーと園芸ショップしかない。
「園芸ショップで見つけたのー?」
「ううん。黒崎さんのお兄さんから貰ったんだよ。アパレル関係の人でさー。プラセルコーポレーション。悠人が着ていた服のメーカーだよ」
「へえ。グッズも売っているの?海外なんだ?ふむふむ」
その企業の代表が、千尋製菓に引き抜かれようとしていた。あっけなく断られたと聞いている。早瀬のお父さんが代表になるだろう。早瀬がそう話していた。
すると、夏樹がビックリした顔をした。噂をすれば影だと言っている。視線の先には男の人が立っていた。そして、夏樹が“一貴さん”と名前を呼んだ。
一番近くにいた佐久弥が地面に降りて会釈をした。男の人も同じように返していた。夏樹が門のそばへ行くと、紙袋を軽く持ち上げた。プレゼントかな?
「久しぶりだね~。どうしたの?」
「これを渡してほしくて来た。すぐに引き返す」
「お義父さん、家に居るよ?うちでよかったら、上がってよ~」
「これからパーティーに出席する。世話になった礼だ。こっちは夏樹君にだよ」
「ありがとう。これが話してくれたやつ?嬉しいよ。そうだ、紹介するね。ゆうとー。黒崎さんの4番目のお兄さんだよ」
手招きされて近くに行った。ここは先に名乗るべきだ。仕事でも教え込まれたことだ。
「はじめまして。久田悠人と申します」
「はじめまして。島川一貴と申します。夏樹君から聞いているよ。僕はプラセルコーポレーションの代表です。MIDSHIPを着てくれていたそうだね?」
「はい!高校時代に。今はバタバタしてて、ショップに行けなくて」
「時間が出来た時には、ぜひお願いします。活躍を拝見した。実物はイメージが違うようだね。向日葵のようなイメージだ」
「はい!ありがとうございます」
島川さんが一歩前に出てきた。憧れの人を前にして肩が凝ってしまった。ギクシャクして、うまく握手ができない。島川さんが緊張させたか?と言って笑っている。
(爽やかな人だなーー)
すると、佐久弥が笑いながら話し始めた。仕事関係が交流があったそうだ。久しぶりだと言っている。一緒に話していると、島川さんから名刺を渡された。服をプレゼントするから着てくれとまで声をかけられてしまった。どう答えればいいものか。
「現場から離れて長くなった。お客様に対面することがない。つい嬉しくて」
「ありがとうございます。申し訳ないので。お店に遊びに行きます」
「そうか。夏樹君、キミの方からも……あれ?どこへ行ったのかな?」
「あれー?なつきー?あああ……」
どうしよう?夏樹が溝に片足を突っ込んでいる。すぐに立ち上り、恥ずかしそうに笑った。
「もうー、あぶないよ」
「うへへ。黒崎さんには内緒にしてよ」
「ゆうとー、君も離れた方がいいぞ」
「わわわ……っ」
佐久弥から強引に腕を引かれて、ウサギの置物へたどり着いた。どうしてここまで遠くに来たのか?文句を口にすると、アイコンタクトを受けた。普通に話せと唇が動いた。
「なんだよ、もうーっ。大丈夫だって」
「ぎゃははは。距離が近いぞー。危なかったなー」
「君の方がよっぽど危険だよ。……なに?」
「よーし。スルーが出来た」
門の方を見ると、夏樹が島川さんへ手を振っていた。姿が見えなくなったから、帰ったのか。一体どうしたのか?
「話している時、妙に距離が近かった。ショップに行くなら、裕理か俺と一緒に行け」
「もちろん裕理さんと行くよ。なんで?」
「あのな。夏樹には黙っていろよ?あの業界じゃ噂がある。気に入った子には握手するそうだ。その後は即時に誘って、しつこくするそうだ。パートナーがいることが分かれば問題ないそうだ。わざわざ言うことでもないからな」
「誰かが妬んで、広めているんじゃないのー?」
「それはある。アプローチが強いそうだ。サラッと流せ」
「分かった。違うと思うけど。なんで佐久弥とショップへ行くんだよ?」
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「うん。もう入ろうっか~」
ここで話を切り上げた。そろそろ冷えきたねと言いながら、みんなで玄関に入った。
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