聖なる雫の音楽少年~あの日のキミ

夏目奈緖

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18-3(悠人視点)

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 13時。

 玲子さんと二人で、眺めのいい店で過ごしている。大食いだと話してあったが、実際に目の当たりにして驚いていた。よく食べるから、料理の作り甲斐があったわねと言われた。そして、優しいお祖母ちゃんに育てて貰ったのねと、笑っていた。丸太椅子のことを話すと微笑んでいた。早瀬が優しいことを知ってほしかった。伝わったようだ。

「プラセルさんのモデル起用のことを聞いたわよ。お洋服を着ていたからって……」
「はい。それがきっかけです。社長さんは面白い人ですよ」
「そうなのね。私も好きよ」
「知っていたんですね?ビックリした……」

 千尋製菓の新体制のことで、何度か会ったことがあるそうだ。玲子さんは経営にはタッチしておらず、家族としてプライベートの食事をしたという。

 島川さんが早瀬の実母を恨んでいるとは、知らないだろう。玲子さんの妹だ。聞くだけで気分が悪いだろう。だから、慌てて話題を変えようとすると、バレてしまった。気にしないでと首を振られた。

 大人の世界では、隠したつもりでも、そういう事が聞こえてくるそうだ。人の口には戸が立てられないということだ。会う前から島川さんの噂を耳にしていたし、仕事としての付き合いなら割り切ると、玲子さんが言った。

「好きってことは……、楽しく食事が出来たんですね」
「ええ。正直に話すから驚いたわ。妹のことも」
「げえええっ。……ごめんなさい」
「大丈夫よ?」

 正直すぎるだろう。なんて性格の悪いことだ。大変なことだったのに。考えなしに発言した結果、傷つく人がいる。分かっているだろう。島川さんに対して、非難したい気持ちが沸き起こった。

 しかし、怜子さんからすると、好印象だったそうだ。裏で何を考えているのか分からないよりもいいそうだ。自分のはっきり言う噂が広がっていると判断して、口にしたはずだという。

「変な話をしたわね。スコーンはどうする?お代わりを頂けるけど……」
「お腹いっぱいになりました。裕理さんも一緒に食べたかったそうです。誘ってあげてください」
「ありがとう。あら?お知り合い?」
「え?あ……、お母さん……」

 出来れば会いたくないと思っていたことに気づいた。会社の人だろうか?知らない男女と一緒にいる。ここは二階にある店で、広場が窓の外に広がっている。通っている人が多いのは、そばにあるショッピングモールへ遊びに来た人が居るからだ。こういう場所で母を見かけるのは珍しい。
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