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図書室を出ると、遠藤さんが来てくれていた。散歩をしていたんだよと言いながら。俺の顔を見てホッとしていた。さらにトートバッグを見て笑っていた。
「そうか。本を借りてきたのか。ここは多いそうだね。50年前の雑誌があると聞いたぞ」
「エロ本みたいなやつだよ。ズッコケそうだった……」
「それを借りたのか?」
「まさかー。天体系だよ。……あ、お父さん」
お父さんが階段を上がって来た。どうぞ図書室を使ってくれと話していた。二人は20歳も年齢差がある友達同士だ。養子縁組のことを知っており、答えが出ないだろうと気遣われた。
俺としては話を聞かせてもらいたい。夏樹の時はどんな思いで話したのかを。遠藤さんと共通しているだろう。しかし、もう遅い時間だからと、玄関ホールへ促された。そこには、夏樹と黒崎さん、島川さんが待っていた。
家までは黒崎さんが送ってくれる。今日のことで詳しい話をするそうだが、夏樹が心配だから早く帰ってもらう。まだ顔が赤いのに、夏樹が待ってくれている。心配だからに決まっている。
「なつきー、寝ていろよ……」
「もうマシだもん。明日は大学を休むけど」
「ノートは任せておけよ。日下も手伝ってくれるし。森本も……」
大学では新しい友達ができた。しかし、夏樹がこの家の中のことを話せる相手は一握りだ。その中の一人に入っていることが嬉しい。俺も夏樹には家庭環境を打ち明けられた。島川さんへも。その彼が目の前に立った。
「また遊びに来るよ。こうやって本も借りたし……。島川さん……」
「悠人君、すまない」
「許す方向にしたのは、お父さんから謝られたからだよ。あんたよりずっと年下で、まだ20歳だけど、仕事で覚えたことがある。どんなことがあっても不義理は出来ないって。今の自分があるのは、周りの人のおかげだよ。一人で進んできた人はいないからね。それから……自分の欲望を肯定するな!……今はこの答えしか出ないよ。この先は変わるかもしれないけど」
これが本来伝えたかった内容だ。分かってもらえるかな?そのようだ。だったらこれ以上は言わなくてもいい。
どうして涙が出るのかな?新しい一歩を踏み出せたのに。そうやってみんなで話したのに、唇の傷が痛む。もう噛んでいないのに。すぐに心が晴れるわけではなく、それがいつになるのかも分からない。すると、夏樹からも謝られてしまった。
「悠人。俺からも謝る。ごめんなさい。軽い悪戯ぐらいに思った俺のせいだよ」
「謝るなよ。許すしかなくなるだろー」
夏樹のせいではない。俺たちのせいだ。早瀬の背中にすがりついた。今の顔を見せたくないからだ。
すると、玄関前に黒崎さんの車が停まった。それに乗り込み、黒崎家を後にしようとした。またここに来る約束だ。腕に抱え込んだ借りてきた本を島川さんに見せると、泣きそうな顔になっていたから、大丈夫だと答えてやった。そして、車が門を出た。
「お疲れ様」
「うん……」
早瀬にもたれ掛かった。ホッとする。すると、唇がじんじんするのを感じ始めた。それを隠すことなく正直に早瀨に言うと、良く効く消毒液を買ってきているという。ただしよく染みるのだと冗談を飛ばされて、笑うしか無かった。運転席の黒崎さんも笑い声を立てている。そして、早瀬から身体をさすってもらいながら、目を閉じた。
「そうか。本を借りてきたのか。ここは多いそうだね。50年前の雑誌があると聞いたぞ」
「エロ本みたいなやつだよ。ズッコケそうだった……」
「それを借りたのか?」
「まさかー。天体系だよ。……あ、お父さん」
お父さんが階段を上がって来た。どうぞ図書室を使ってくれと話していた。二人は20歳も年齢差がある友達同士だ。養子縁組のことを知っており、答えが出ないだろうと気遣われた。
俺としては話を聞かせてもらいたい。夏樹の時はどんな思いで話したのかを。遠藤さんと共通しているだろう。しかし、もう遅い時間だからと、玄関ホールへ促された。そこには、夏樹と黒崎さん、島川さんが待っていた。
家までは黒崎さんが送ってくれる。今日のことで詳しい話をするそうだが、夏樹が心配だから早く帰ってもらう。まだ顔が赤いのに、夏樹が待ってくれている。心配だからに決まっている。
「なつきー、寝ていろよ……」
「もうマシだもん。明日は大学を休むけど」
「ノートは任せておけよ。日下も手伝ってくれるし。森本も……」
大学では新しい友達ができた。しかし、夏樹がこの家の中のことを話せる相手は一握りだ。その中の一人に入っていることが嬉しい。俺も夏樹には家庭環境を打ち明けられた。島川さんへも。その彼が目の前に立った。
「また遊びに来るよ。こうやって本も借りたし……。島川さん……」
「悠人君、すまない」
「許す方向にしたのは、お父さんから謝られたからだよ。あんたよりずっと年下で、まだ20歳だけど、仕事で覚えたことがある。どんなことがあっても不義理は出来ないって。今の自分があるのは、周りの人のおかげだよ。一人で進んできた人はいないからね。それから……自分の欲望を肯定するな!……今はこの答えしか出ないよ。この先は変わるかもしれないけど」
これが本来伝えたかった内容だ。分かってもらえるかな?そのようだ。だったらこれ以上は言わなくてもいい。
どうして涙が出るのかな?新しい一歩を踏み出せたのに。そうやってみんなで話したのに、唇の傷が痛む。もう噛んでいないのに。すぐに心が晴れるわけではなく、それがいつになるのかも分からない。すると、夏樹からも謝られてしまった。
「悠人。俺からも謝る。ごめんなさい。軽い悪戯ぐらいに思った俺のせいだよ」
「謝るなよ。許すしかなくなるだろー」
夏樹のせいではない。俺たちのせいだ。早瀬の背中にすがりついた。今の顔を見せたくないからだ。
すると、玄関前に黒崎さんの車が停まった。それに乗り込み、黒崎家を後にしようとした。またここに来る約束だ。腕に抱え込んだ借りてきた本を島川さんに見せると、泣きそうな顔になっていたから、大丈夫だと答えてやった。そして、車が門を出た。
「お疲れ様」
「うん……」
早瀬にもたれ掛かった。ホッとする。すると、唇がじんじんするのを感じ始めた。それを隠すことなく正直に早瀨に言うと、良く効く消毒液を買ってきているという。ただしよく染みるのだと冗談を飛ばされて、笑うしか無かった。運転席の黒崎さんも笑い声を立てている。そして、早瀬から身体をさすってもらいながら、目を閉じた。
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