夏椿の天使~あの日に出会った旋律

夏目奈緖

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 20時。

 夜景がきれいな湾沿いをドライブしている。いい雰囲気のレストランで晩ご飯を食べてきたところだ。思い切り大人デートと言えるものだった。昼間とは180度変わった。

 遅めのお昼ご飯の後は商業施設へ行き、ゲームセンターで遊んだ。こんなことは初めてで、ビックリしてしまった。あんな賑やかなスポットへ行く人ではないからだ。さすがに屋内にある絶叫系の乗り物には乗らなかったが、騒がしい場所でも楽しそうに回っていた。

 これも黒崎の大きな変化だ。クラシックコンサート、仕事と家の往復、女性との食事。友達との飲み会はあっても、ゲームセンターで歩き回ったことがないと言っている。

 後部座席には、クレーンゲームで獲った景品のぬいぐるみが置いてある。大きなクマが2匹、小さなネコだ。お菓子もたくさんある。これらは全て、黒崎が獲得したものだ。

「黒崎さん。ホントに初めてなんだよね?クレーンゲーム」
「ああ。うまく獲れたほうなのか?」
「うん。周りの子が騒いでいたじゃん。45Lの袋2つ分だよ。ぬいぐるみが占めているけどさ」
「そうか。お前の喜ぶ顔が見たかった」
「うん……」

 黒崎の肩をツンと突き飛ばした。これからどこへ行こうかと話しかけると、目的地は決めてあるという。車線変更をして、にぎやかな街の方へと進路を変えた。

「イルミネーションの街を散歩しよう」
「マジで?」
「好きだろう」
「うんっ」

 これは期待できそうだ。寄り添って眺めて甘いムードになるだろう。そう思って、胸がドキドキした。
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