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# act35.妊娠えっち①
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両親とは一緒に夕食を摂り、心ゆくまで語り合った。
その間も、アレクセイが私の椅子を引いたり、「フルーツはもっと食べるといい」なんて器に取り分けたり、口の端についたソースを拭きとったりして、恥ずかしくて堪らなかった。
昼間はこんなにべたべた接してくるのに、夜はどうして……?
ふと、そんな疑問が頭をかすめて、私は首を振ってそれを追い払った。
客間に両親を案内して休んでもらった後、私たちも夫婦の寝室に入った。
彼がいつも抱きしめて寝てくれるのがとても幸せだったけど、実は夜中に、こっそりと抜け出すことが多かった。
妊娠してから神経が過敏になってるのか、すぐに気づいてしまう。
あんなに性欲が強くて、妊娠前は毎晩セックスしていたのに、子供ができた途端にピタッとしなくなってしまった。
もう安定期に入ったから、無理しなければしていいとお医者様にも言われているのに。
どうして、してくれないのだろう。
やっぱりもう、私は彼の性欲の対象から外れてしまったのだろうか。
私は、大きくなった自分のお腹を撫でた。
最近は、全身が敏感になってきているのを感じる。
特に胸が張っていて、先端を撫でると声が出るほどに感じてしまう。
彼の温もりではなく、熱に触れたい。確かに私を欲してくれているという、安心がほしかった。
ぐるぐると考えていると、今夜も寝ていたはずの彼が身じろぎした。
私を抱きしめていた腕をほどき、そっとベッドから抜け出す。
背中から彼の熱が離れて、急にシーツが冷たく感じられた。
寂しい。「どこにいくの?」と声をかけたい。引き止めたい。
でも、何も出来なくて、私は一人でベッドに取り残されてしまった。
扉がかすかな音を立てて閉まった。
私の手が彼のいた場所に触れた。まだ少しだけ残っている体温。
このまま、いつものように完全に冷えるまで待っているだけなの?
私はゆっくりと起き上がった。
そっとドアを開けて廊下に出た。周りは薄暗くて、彼がどこに行ったのかなんて、まるで分からない。
足音を忍ばせながら、注意深く歩いていると、続いているドアの一つから、仄かな明かりが漏れているのに気づいた。
そこは私の私室だった。
昼間はいつもその部屋で過ごしていて、私専用の大きなクローゼットが置いてある。
彼は私の部屋で、何をしているのだろう……。
心臓が歯車になってしまったみたいに、カタカタと音がする。
耳を近づけると、中から小さな声が聞こえてきた。
「メル……メル……はあっ……」
「くそっ……早く戻らないと……」
「こんなんじゃ……イケない……メル……」
荒い息の合間に、ぼそぼそと呟く声。
いけないと思っているのに、止まらなかった。
ドアを開けた私の目に飛び込んできたのは、開け放たれたクローゼットの前に膝立ちになっている夫の姿だった。
彼は私の脱いだシュミーズに顔を深く埋め、荒い息を吐きながら……もう片方の手で、ガチガチに反り上がった自身のペニスを激しく扱いていた。
熱で潤んだ彼の瞳が私を捉え……数秒遅れて現実を理解したように、顔面から血の気が引いていく。
「メ……ル」
青ざめた唇から掠れた声が漏れた。
彼は今にも死にそうな顔をしているのに、私の心は熱く満たされていた。
私のシュミーズの匂いを嗅ぎながら自慰するなんて。彼を狂わせているのは、間違いなく私なのだと思い知らされてしまった。
彼に近付いていくと、アレクセイは慌てて自分のものから手を離した。
無様なところを見られたという羞恥と狼狽で、動けなくなっている。こんな彼を見るのは初めてだった。
彼の手に触れようとした瞬間、びくっとその手が逃げた。
それを追いかけて、彼の大きな指をぎゅっと握り込んだ。
「一人で……しないで」
そう告げると、少し身を屈めて、もう片方の手で彼の後頭部を優しく撫でた。
立派な騎士で……この国の第七王子なのに、少年みたいにその瞳は罪悪感で揺れている。
こんなに私を渇望していたなんて。彼の独り言を思い出すと、愛おしさでいっぱいになってしまった。
「私……も、したかったの。アレクと」
アレクセイは信じられないものでも見るように私を見た。
「だっ、だが……お腹が」
「ゆっくりすれば大丈夫なの。それとも、不格好だから、いや?」
「……そんなわけない」
彼は目の前のお腹をそっと撫でた。
「尊くて……愛しくて……私の欲望が醜く思えて……」
震える声からは愛情があふれ出しそうだった。私を見上げてくる瞳がとても優しくて、胸がきゅんと痺れてしまう。
私はさらに身を屈めて、彼の頭頂部にちゅっとキスをした。
「妊娠して、急に聖女になるわけじゃないんだから。私はずっとあなたの番なの」
私の言葉に、彼は弾かれたように立ち上がり、私を強く、けれどお腹を庇うように慎重に抱き寄せた。そして、上から降るように唇が合わさる
ねっとりと深く舌が絡み合うと、彼の欲情がその熱から伝わってきた。
唇が離れると、荒い息が漏れる。欲情に融けた瞳が私を正面から捉えていて――。
「怖いんだ、傷つけそうで……どうすれば、君を……愛せる? 教えてくれ、メル」
「は、はい」
その間も、アレクセイが私の椅子を引いたり、「フルーツはもっと食べるといい」なんて器に取り分けたり、口の端についたソースを拭きとったりして、恥ずかしくて堪らなかった。
昼間はこんなにべたべた接してくるのに、夜はどうして……?
ふと、そんな疑問が頭をかすめて、私は首を振ってそれを追い払った。
客間に両親を案内して休んでもらった後、私たちも夫婦の寝室に入った。
彼がいつも抱きしめて寝てくれるのがとても幸せだったけど、実は夜中に、こっそりと抜け出すことが多かった。
妊娠してから神経が過敏になってるのか、すぐに気づいてしまう。
あんなに性欲が強くて、妊娠前は毎晩セックスしていたのに、子供ができた途端にピタッとしなくなってしまった。
もう安定期に入ったから、無理しなければしていいとお医者様にも言われているのに。
どうして、してくれないのだろう。
やっぱりもう、私は彼の性欲の対象から外れてしまったのだろうか。
私は、大きくなった自分のお腹を撫でた。
最近は、全身が敏感になってきているのを感じる。
特に胸が張っていて、先端を撫でると声が出るほどに感じてしまう。
彼の温もりではなく、熱に触れたい。確かに私を欲してくれているという、安心がほしかった。
ぐるぐると考えていると、今夜も寝ていたはずの彼が身じろぎした。
私を抱きしめていた腕をほどき、そっとベッドから抜け出す。
背中から彼の熱が離れて、急にシーツが冷たく感じられた。
寂しい。「どこにいくの?」と声をかけたい。引き止めたい。
でも、何も出来なくて、私は一人でベッドに取り残されてしまった。
扉がかすかな音を立てて閉まった。
私の手が彼のいた場所に触れた。まだ少しだけ残っている体温。
このまま、いつものように完全に冷えるまで待っているだけなの?
私はゆっくりと起き上がった。
そっとドアを開けて廊下に出た。周りは薄暗くて、彼がどこに行ったのかなんて、まるで分からない。
足音を忍ばせながら、注意深く歩いていると、続いているドアの一つから、仄かな明かりが漏れているのに気づいた。
そこは私の私室だった。
昼間はいつもその部屋で過ごしていて、私専用の大きなクローゼットが置いてある。
彼は私の部屋で、何をしているのだろう……。
心臓が歯車になってしまったみたいに、カタカタと音がする。
耳を近づけると、中から小さな声が聞こえてきた。
「メル……メル……はあっ……」
「くそっ……早く戻らないと……」
「こんなんじゃ……イケない……メル……」
荒い息の合間に、ぼそぼそと呟く声。
いけないと思っているのに、止まらなかった。
ドアを開けた私の目に飛び込んできたのは、開け放たれたクローゼットの前に膝立ちになっている夫の姿だった。
彼は私の脱いだシュミーズに顔を深く埋め、荒い息を吐きながら……もう片方の手で、ガチガチに反り上がった自身のペニスを激しく扱いていた。
熱で潤んだ彼の瞳が私を捉え……数秒遅れて現実を理解したように、顔面から血の気が引いていく。
「メ……ル」
青ざめた唇から掠れた声が漏れた。
彼は今にも死にそうな顔をしているのに、私の心は熱く満たされていた。
私のシュミーズの匂いを嗅ぎながら自慰するなんて。彼を狂わせているのは、間違いなく私なのだと思い知らされてしまった。
彼に近付いていくと、アレクセイは慌てて自分のものから手を離した。
無様なところを見られたという羞恥と狼狽で、動けなくなっている。こんな彼を見るのは初めてだった。
彼の手に触れようとした瞬間、びくっとその手が逃げた。
それを追いかけて、彼の大きな指をぎゅっと握り込んだ。
「一人で……しないで」
そう告げると、少し身を屈めて、もう片方の手で彼の後頭部を優しく撫でた。
立派な騎士で……この国の第七王子なのに、少年みたいにその瞳は罪悪感で揺れている。
こんなに私を渇望していたなんて。彼の独り言を思い出すと、愛おしさでいっぱいになってしまった。
「私……も、したかったの。アレクと」
アレクセイは信じられないものでも見るように私を見た。
「だっ、だが……お腹が」
「ゆっくりすれば大丈夫なの。それとも、不格好だから、いや?」
「……そんなわけない」
彼は目の前のお腹をそっと撫でた。
「尊くて……愛しくて……私の欲望が醜く思えて……」
震える声からは愛情があふれ出しそうだった。私を見上げてくる瞳がとても優しくて、胸がきゅんと痺れてしまう。
私はさらに身を屈めて、彼の頭頂部にちゅっとキスをした。
「妊娠して、急に聖女になるわけじゃないんだから。私はずっとあなたの番なの」
私の言葉に、彼は弾かれたように立ち上がり、私を強く、けれどお腹を庇うように慎重に抱き寄せた。そして、上から降るように唇が合わさる
ねっとりと深く舌が絡み合うと、彼の欲情がその熱から伝わってきた。
唇が離れると、荒い息が漏れる。欲情に融けた瞳が私を正面から捉えていて――。
「怖いんだ、傷つけそうで……どうすれば、君を……愛せる? 教えてくれ、メル」
「は、はい」
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