【完結】王国中の穢れを集める「毒の器」の私を捨てた国王様へ。銀狼騎士団長の十年来の執着で「愛の器」になったので、二度と戻りません。

Marine

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# act35.妊娠えっち①

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 両親とは一緒に夕食を摂り、心ゆくまで語り合った。
 その間も、アレクセイが私の椅子を引いたり、「フルーツはもっと食べるといい」なんて器に取り分けたり、口の端についたソースを拭きとったりして、恥ずかしくて堪らなかった。
 昼間はこんなにべたべた接してくるのに、夜はどうして……?
 ふと、そんな疑問が頭をかすめて、私は首を振ってそれを追い払った。


 客間に両親を案内して休んでもらった後、私たちも夫婦の寝室に入った。
 彼がいつも抱きしめて寝てくれるのがとても幸せだったけど、実は夜中に、こっそりと抜け出すことが多かった。
 妊娠してから神経が過敏になってるのか、すぐに気づいてしまう。
 
 あんなに性欲が強くて、妊娠前は毎晩セックスしていたのに、子供ができた途端にピタッとしなくなってしまった。
 もう安定期に入ったから、無理しなければしていいとお医者様にも言われているのに。
 どうして、してくれないのだろう。
 やっぱりもう、私は彼の性欲の対象から外れてしまったのだろうか。
 私は、大きくなった自分のお腹を撫でた。

 最近は、全身が敏感になってきているのを感じる。
 特に胸が張っていて、先端を撫でると声が出るほどに感じてしまう。
 彼の温もりではなく、熱に触れたい。確かに私を欲してくれているという、安心がほしかった。
 
 ぐるぐると考えていると、今夜も寝ていたはずの彼が身じろぎした。
 私を抱きしめていた腕をほどき、そっとベッドから抜け出す。
 背中から彼の熱が離れて、急にシーツが冷たく感じられた。
 
 寂しい。「どこにいくの?」と声をかけたい。引き止めたい。
 でも、何も出来なくて、私は一人でベッドに取り残されてしまった。
 扉がかすかな音を立てて閉まった。
 

 私の手が彼のいた場所に触れた。まだ少しだけ残っている体温。
 このまま、いつものように完全に冷えるまで待っているだけなの?
 
 私はゆっくりと起き上がった。
 そっとドアを開けて廊下に出た。周りは薄暗くて、彼がどこに行ったのかなんて、まるで分からない。
 足音を忍ばせながら、注意深く歩いていると、続いているドアの一つから、仄かな明かりが漏れているのに気づいた。
 
 そこは私の私室だった。
 昼間はいつもその部屋で過ごしていて、私専用の大きなクローゼットが置いてある。
 
 彼は私の部屋で、何をしているのだろう……。
 心臓が歯車になってしまったみたいに、カタカタと音がする。
 耳を近づけると、中から小さな声が聞こえてきた。

「メル……メル……はあっ……」
「くそっ……早く戻らないと……」
「こんなんじゃ……イケない……メル……」

 荒い息の合間に、ぼそぼそと呟く声。
 いけないと思っているのに、止まらなかった。
 ドアを開けた私の目に飛び込んできたのは、開け放たれたクローゼットの前に膝立ちになっている夫の姿だった。
 彼は私の脱いだシュミーズに顔を深く埋め、荒い息を吐きながら……もう片方の手で、ガチガチに反り上がった自身のペニスを激しく扱いていた。

 熱で潤んだ彼の瞳が私を捉え……数秒遅れて現実を理解したように、顔面から血の気が引いていく。

「メ……ル」

 青ざめた唇から掠れた声が漏れた。
 彼は今にも死にそうな顔をしているのに、私の心は熱く満たされていた。
 私のシュミーズの匂いを嗅ぎながら自慰するなんて。彼を狂わせているのは、間違いなく私なのだと思い知らされてしまった。
 彼に近付いていくと、アレクセイは慌てて自分のものから手を離した。
 無様なところを見られたという羞恥と狼狽で、動けなくなっている。こんな彼を見るのは初めてだった。
 彼の手に触れようとした瞬間、びくっとその手が逃げた。
 それを追いかけて、彼の大きな指をぎゅっと握り込んだ。

「一人で……しないで」

 そう告げると、少し身を屈めて、もう片方の手で彼の後頭部を優しく撫でた。
 立派な騎士で……この国の第七王子なのに、少年みたいにその瞳は罪悪感で揺れている。
 こんなに私を渇望していたなんて。彼の独り言を思い出すと、愛おしさでいっぱいになってしまった。

「私……も、したかったの。アレクと」

 アレクセイは信じられないものでも見るように私を見た。

「だっ、だが……お腹が」
「ゆっくりすれば大丈夫なの。それとも、不格好だから、いや?」
「……そんなわけない」

 彼は目の前のお腹をそっと撫でた。

「尊くて……愛しくて……私の欲望が醜く思えて……」

 震える声からは愛情があふれ出しそうだった。私を見上げてくる瞳がとても優しくて、胸がきゅんと痺れてしまう。
 私はさらに身を屈めて、彼の頭頂部にちゅっとキスをした。

「妊娠して、急に聖女になるわけじゃないんだから。私はずっとあなたのつがいなの」

 私の言葉に、彼は弾かれたように立ち上がり、私を強く、けれどお腹を庇うように慎重に抱き寄せた。そして、上から降るように唇が合わさる
 ねっとりと深く舌が絡み合うと、彼の欲情がその熱から伝わってきた。
 唇が離れると、荒い息が漏れる。欲情に融けた瞳が私を正面から捉えていて――。
 
「怖いんだ、傷つけそうで……どうすれば、君を……愛せる? 教えてくれ、メル」
「は、はい」
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