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第二章 華甲二年の再会(後半)
目覚めの肉まん
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比良野は醒めた。
内視鏡を持ったまま床に倒れていた。
検査台の上には老女弓美子が寝ていた。
壁のアナログ時計を見た。
眠っていた時間も夢も一瞬だったのかと思った。
先生、先生、大丈夫ですか、とナースの声が聞こえた。
今、気分は悪くない。
なんでこんなことになったのだろう。
始める時体調は問題なかった。
持病もないし、感染症にもかかっていない。
腸から排気されるガスを直接吸い込んだのだろうか。
日常親しみ深いオナラとはいえ窒素とCO2が大部分である酸欠ガスだ。
そのまま吸い込めば一瞬で失神し死に至る。
内視鏡名人が死亡、鼻を老美女の肛門に突っ込んでオナラを吸ったため、なんて新聞見出しが頭に浮かんだ。
今、体調も気分も始める前よりずっといい。
横たわる弓美子を見てもさっきのように邪念が浮かぶことも無い。
ナースは比良野の眼や顔色を観察し、しきりに続行を勧めた。
体調、気分が良くても不可解な点があれば別の医師に交替する方がいい。
しかし人手のひっ迫している病院で急な交替は不可能だし、中止すると早朝から苦しさを伴う大腸洗浄をしてきた患者に申し訳ない。
やり直しではスケジュールが遥か先に飛んでしまう。
このとき比良野はあらゆることを一瞬で考慮し〝大丈夫だ、続行しても問題ない〟と決断した。
この決断は怪しい人々に付け込まれる危険があったが、彼は最初からやり直した。
何の問題も無く順調に検査を終えて彼女の大腸には気になる病変もなく、比良野は処置を終えてほっとした。
このあと弓美子は少し休んでから帰るために別室に移動した。
比良野の心に久し振りに若き日のOL弓美子の美しい姿が鮮明に浮かんだ。
心が揺らされ始めた。
……若い時、弓美子とは人生をすれ違った。
彼女を諦め頑張って医者になり成功したつもりだった。
それは実は虚しかったのではないか。
弓美子は生涯最高の女性だったかもしれないという考えが湧いてきた。
昔、弓美子が去る前に逡巡を見せたのに彼は動かず最高に美しい妻を得るチャンスを失っていた……
いや何を考えているんだ、四十年も前のことに振り回されているのはおかしい。
比良野は我に返り平常心を取り戻した、と思ったら再び揺り戻しが起きて彼は人生の長い期間を悔恨し始めた。
自分にとって最も大切なこと、自分にしか出来ないことは何かを勘違いしていたような。
転職は転進と思っていたが確信はなくなった。
院長なんて……心の揺り戻しは何度も起きて何が正しかったのか、自分はまともなのかわからなくなった。
比良野は老女の検査を終了して処置記録等の書類作成をした。
その直後、助手を務めた検査室ナースがいきなり服を脱ぎ始めていた。
頬が赤い。
弓美子の秘術が終わった時、おっぱいナースの性的興奮はまことに中途半端だった。
他に誰もいないと思うおっぱいナースは興奮を比良野によって解消したいのだろうか。
だが比良野はそのとき思い出した。
有嶺がハニートラップに気を付けろ、と言っていたことを。
「ここは更衣室じゃないよ」
と言ったらナースが眼を据えて比良野を見た。
おやっと思った。
若いときの弓美子の美貌に勝るとも劣らない。
検査前に弓美子を見た時のような妙な気分が再現してきた。
茫然として見ていると、ナースはベッドに仰向けに寝て誘うように比良野から眼を離さない。
すでに露出した胸は豊かで、その柔肌は強く性欲を刺激した。
普段華奢に見えるナースは裸になると豊満で男好きする体型だった。
胸の上には湯気の立つような大きな二つの肉饅があり、頂上にはおいしそうな梅干が出番を得た喜びに膨らみきっていた。
ナースは微笑みゆっくり横向きになり比良野に背中を見せた。
せりあがる尻の丸みに素晴らしい色気があり、比良野に向かって突き出され彼に献呈する意思を示していた。
ところがここに至っても比良野の下半身は反応しない。
比良野は自分でも信じられなかった。
気分もえらくすっきりしている……試しに言ってみた。
「布沢先生は好きかね」
とライバルの名を出した。
すると
「ぎゃっ!」
突然裸のナースが飛び上がった。
ベッドの中から蛇が出てきたのだ。
おっぱいナースは起き上がり驚愕のあと泣く様な表情をした。
そして恐ろしい表情になって口をとがらし悪態をついてぷんぷん怒り始めた。
比良野には何が起こっているのかさっぱり判らなかった。
慌ててナース服を着て出ていこうとしたが興奮しすぎて閉まっているドアに気づかず顔面を派手にぶちあてて大きな音を立てて跳ね返されて倒れた。
なおもポカンとしている比良野をおいておっぱいナースは八つ当たりしながら出て行った。
ベッドには小さく縮まった赤いショーツが残された。
蛇は前日おれがベッドに仕込んだおもちゃの蛇だった。
おっぱいナースの肉まんと梅干作戦に比良野が乗ってしまったならば、ビデオカメラに記録された二人の性行為が病院内で突然放映されるだけで比良野の大汚点となる。
選挙期間中なら結果は壊滅的になるだろう。
しかし比良野はこれには引っ掛らなかった。
弓美子による愛欲の秘術は先に比良野の精を十分吸い取って、彼を聖人君子状態にしてしまっていたからだ。
怪しい連中同士の獲物の奪い合いだった。
内視鏡を持ったまま床に倒れていた。
検査台の上には老女弓美子が寝ていた。
壁のアナログ時計を見た。
眠っていた時間も夢も一瞬だったのかと思った。
先生、先生、大丈夫ですか、とナースの声が聞こえた。
今、気分は悪くない。
なんでこんなことになったのだろう。
始める時体調は問題なかった。
持病もないし、感染症にもかかっていない。
腸から排気されるガスを直接吸い込んだのだろうか。
日常親しみ深いオナラとはいえ窒素とCO2が大部分である酸欠ガスだ。
そのまま吸い込めば一瞬で失神し死に至る。
内視鏡名人が死亡、鼻を老美女の肛門に突っ込んでオナラを吸ったため、なんて新聞見出しが頭に浮かんだ。
今、体調も気分も始める前よりずっといい。
横たわる弓美子を見てもさっきのように邪念が浮かぶことも無い。
ナースは比良野の眼や顔色を観察し、しきりに続行を勧めた。
体調、気分が良くても不可解な点があれば別の医師に交替する方がいい。
しかし人手のひっ迫している病院で急な交替は不可能だし、中止すると早朝から苦しさを伴う大腸洗浄をしてきた患者に申し訳ない。
やり直しではスケジュールが遥か先に飛んでしまう。
このとき比良野はあらゆることを一瞬で考慮し〝大丈夫だ、続行しても問題ない〟と決断した。
この決断は怪しい人々に付け込まれる危険があったが、彼は最初からやり直した。
何の問題も無く順調に検査を終えて彼女の大腸には気になる病変もなく、比良野は処置を終えてほっとした。
このあと弓美子は少し休んでから帰るために別室に移動した。
比良野の心に久し振りに若き日のOL弓美子の美しい姿が鮮明に浮かんだ。
心が揺らされ始めた。
……若い時、弓美子とは人生をすれ違った。
彼女を諦め頑張って医者になり成功したつもりだった。
それは実は虚しかったのではないか。
弓美子は生涯最高の女性だったかもしれないという考えが湧いてきた。
昔、弓美子が去る前に逡巡を見せたのに彼は動かず最高に美しい妻を得るチャンスを失っていた……
いや何を考えているんだ、四十年も前のことに振り回されているのはおかしい。
比良野は我に返り平常心を取り戻した、と思ったら再び揺り戻しが起きて彼は人生の長い期間を悔恨し始めた。
自分にとって最も大切なこと、自分にしか出来ないことは何かを勘違いしていたような。
転職は転進と思っていたが確信はなくなった。
院長なんて……心の揺り戻しは何度も起きて何が正しかったのか、自分はまともなのかわからなくなった。
比良野は老女の検査を終了して処置記録等の書類作成をした。
その直後、助手を務めた検査室ナースがいきなり服を脱ぎ始めていた。
頬が赤い。
弓美子の秘術が終わった時、おっぱいナースの性的興奮はまことに中途半端だった。
他に誰もいないと思うおっぱいナースは興奮を比良野によって解消したいのだろうか。
だが比良野はそのとき思い出した。
有嶺がハニートラップに気を付けろ、と言っていたことを。
「ここは更衣室じゃないよ」
と言ったらナースが眼を据えて比良野を見た。
おやっと思った。
若いときの弓美子の美貌に勝るとも劣らない。
検査前に弓美子を見た時のような妙な気分が再現してきた。
茫然として見ていると、ナースはベッドに仰向けに寝て誘うように比良野から眼を離さない。
すでに露出した胸は豊かで、その柔肌は強く性欲を刺激した。
普段華奢に見えるナースは裸になると豊満で男好きする体型だった。
胸の上には湯気の立つような大きな二つの肉饅があり、頂上にはおいしそうな梅干が出番を得た喜びに膨らみきっていた。
ナースは微笑みゆっくり横向きになり比良野に背中を見せた。
せりあがる尻の丸みに素晴らしい色気があり、比良野に向かって突き出され彼に献呈する意思を示していた。
ところがここに至っても比良野の下半身は反応しない。
比良野は自分でも信じられなかった。
気分もえらくすっきりしている……試しに言ってみた。
「布沢先生は好きかね」
とライバルの名を出した。
すると
「ぎゃっ!」
突然裸のナースが飛び上がった。
ベッドの中から蛇が出てきたのだ。
おっぱいナースは起き上がり驚愕のあと泣く様な表情をした。
そして恐ろしい表情になって口をとがらし悪態をついてぷんぷん怒り始めた。
比良野には何が起こっているのかさっぱり判らなかった。
慌ててナース服を着て出ていこうとしたが興奮しすぎて閉まっているドアに気づかず顔面を派手にぶちあてて大きな音を立てて跳ね返されて倒れた。
なおもポカンとしている比良野をおいておっぱいナースは八つ当たりしながら出て行った。
ベッドには小さく縮まった赤いショーツが残された。
蛇は前日おれがベッドに仕込んだおもちゃの蛇だった。
おっぱいナースの肉まんと梅干作戦に比良野が乗ってしまったならば、ビデオカメラに記録された二人の性行為が病院内で突然放映されるだけで比良野の大汚点となる。
選挙期間中なら結果は壊滅的になるだろう。
しかし比良野はこれには引っ掛らなかった。
弓美子による愛欲の秘術は先に比良野の精を十分吸い取って、彼を聖人君子状態にしてしまっていたからだ。
怪しい連中同士の獲物の奪い合いだった。
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