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4話 幼馴染 その2
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私の罪……それは1年以上前に遡る。私はルークに恋をしていた……正直な話、この人の婚約者になりたいと思っていたほどに。
でも、今までは頻繁に会えていたルークだけれど、この1年はほぼ会うことができなくなってしまっていた。単純に、彼の公爵令息としての仕事が忙しくなったりというのが大きいんだと思う。
それに、特に婚約者などといった特別な関係ではなかったから……。
「ごめんなさい、ルーク……悪いのは私かもしれないわ……」
「ど、どうしたんだ急に……?」
私は当時のことを思い出し、後悔してしまう……。ルークと会えなくなってからしばらくして、妹のラーナの婚約が決まった。3か月前のことかしら? ウイング王太子殿下が相手だったから、今現在でも公にはされていないけれど……近々されるみたい。
私は焦りを覚えてしまった……才色兼備、性格も良い妹に婚約者が決まり……しかも、素晴らしい相手。姉である私の立場がないと……。妹を含め、誰もそんなことは気にしていなかったみたいだけれど、私は一人で何かと戦っていた。
「私が妹に対抗するように……婚約を求めてしまったのが、全ての罪なの……」
私はお父様が出してくれた、伯爵令息セドル・ブロークンとの婚約を承諾する結果になった。流石に子爵であるお父様では、公爵家との縁談を結ぶのは難しかったから……。
まさか、その結果が婚約破棄になるなんて、思いもしなかったけれど……。やだ、考えたら涙が出て来たわ……。
「違う……ウェルナが悪いわけじゃない!」
「る、ルーク……!?」
私の自虐的な言葉を否定するかのように、彼は私を抱きしめていた。予想外の出来事に私は慌てふためいてしまう……顔を赤くしながら。
「君の焦りも、僕には気持ちとしては分かるよ。貴族としての責務を全うしようとした結果なんだろう……。でも、それで君が悪いことになるなんておかしいじゃないか? 悪いのは婚約破棄を身勝手にしたセドルだろう?」
「た、確かにそうかもしれないけれど……それは……」
セドルは婚約破棄をする時に、私にこう言っていた。「自分の方が位が高いので何もできない」と……。確かに、子爵家で出来ることは限られているわ……。特に伯爵以上との差は激しいとも聞くし……。
「君が婚約をしたと聞いた時、無理やりにでも割って入るべきだったかもしれない……」
「えっ? ルーク……?」
ルークは我を忘れているのか、とても恥ずかしいことを言っている気がする……。でも、彼の瞳は真剣そのものだった。
「ウェルナ……僕と結婚してほしい……! 一生、大切にすると約束するから!」
一瞬、何を言われたのかわからなかったけれど……その後に、私の中を確かな事実が駆け巡って行った瞬間だった……。
でも、今までは頻繁に会えていたルークだけれど、この1年はほぼ会うことができなくなってしまっていた。単純に、彼の公爵令息としての仕事が忙しくなったりというのが大きいんだと思う。
それに、特に婚約者などといった特別な関係ではなかったから……。
「ごめんなさい、ルーク……悪いのは私かもしれないわ……」
「ど、どうしたんだ急に……?」
私は当時のことを思い出し、後悔してしまう……。ルークと会えなくなってからしばらくして、妹のラーナの婚約が決まった。3か月前のことかしら? ウイング王太子殿下が相手だったから、今現在でも公にはされていないけれど……近々されるみたい。
私は焦りを覚えてしまった……才色兼備、性格も良い妹に婚約者が決まり……しかも、素晴らしい相手。姉である私の立場がないと……。妹を含め、誰もそんなことは気にしていなかったみたいだけれど、私は一人で何かと戦っていた。
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まさか、その結果が婚約破棄になるなんて、思いもしなかったけれど……。やだ、考えたら涙が出て来たわ……。
「違う……ウェルナが悪いわけじゃない!」
「る、ルーク……!?」
私の自虐的な言葉を否定するかのように、彼は私を抱きしめていた。予想外の出来事に私は慌てふためいてしまう……顔を赤くしながら。
「君の焦りも、僕には気持ちとしては分かるよ。貴族としての責務を全うしようとした結果なんだろう……。でも、それで君が悪いことになるなんておかしいじゃないか? 悪いのは婚約破棄を身勝手にしたセドルだろう?」
「た、確かにそうかもしれないけれど……それは……」
セドルは婚約破棄をする時に、私にこう言っていた。「自分の方が位が高いので何もできない」と……。確かに、子爵家で出来ることは限られているわ……。特に伯爵以上との差は激しいとも聞くし……。
「君が婚約をしたと聞いた時、無理やりにでも割って入るべきだったかもしれない……」
「えっ? ルーク……?」
ルークは我を忘れているのか、とても恥ずかしいことを言っている気がする……。でも、彼の瞳は真剣そのものだった。
「ウェルナ……僕と結婚してほしい……! 一生、大切にすると約束するから!」
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