婚約破棄されたけど、妹と幼馴染が優しすぎる件

安奈

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5話 優しさと怪しさ

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 突然のルーク公爵令息からの告白に、私は非常に戸惑ってしまった……。

「る、ルーク……い、いきなり結婚って……!」

「あ、ご、ごめん、ウェルナ。つい、本音が……!」


「ほ、本音って……!」

「うっ、しまった……」


 最早、私達は会話をしていない。お互いに言葉を発してはいるけれど、途中までしか言えてないし。こんなシーン、誰かに見られたら大変だわ。絶対、からかわれる……。


 と、そんなことを心配していると、いつの間にか開いていた入り口のドア。そこには妹のラーナの姿があった。

「姉さん、ルークさん、ふふふ」

「ラーナ……」


 明らかに先ほどまでの会話を聞かれていたわね……。よりにもよって、ラーナに聞かれてしまうなんて。使用人ならともかく、彼女は後で根掘り葉掘り聞いてきそうね。


「でも、ラーナ。このタイミングで戻ってくるってことは、用事自体は済んだの?」

「ええ、姉さん。もうバッチリよ。ルークさんに出会ったのは偶然だけどね」


 ラーナはウイング王太子殿下に会いに行ったはず。ルークに婚約破棄のことを話したのは彼女なんだし、冷静に考えると、ウイング王太子殿下とも、私の婚約破棄のことを相談しに行ったと考えるのが妥当かしら?


「ウイング王太子殿下とは、どういう話をしたの?」

「姉さんの婚約破棄についてよ。ウイング様も嘆いていらしたわ」


 やっぱり……でも、ラーナの行動は素直に嬉しいと思っていた。私の為に、王太子殿下の宮殿に行ったんだから。それに、ルークにも感謝したい気持ちでいっぱいかな。


 なんていうか……二人共、優しいわね、本当に。


「ありがとう、ラーナ、ルーク……その、私の為に……」

「姉さん? まだ、私は何もしてないわよ?」


 私のお礼の言葉に、ラーナはキョトンとしていた。お礼を言われるのはまだ早いといった印象だ。


「セドル・ブロークンは許せないわ……私の大切な姉さんに……」

「既に王太子殿下に報告していたと思うけど、僕で良ければ力になるよ」

「ありがと、ルークさん」


 ……なんだか、怪しい雰囲気を醸し出している二人……。話しを聞く限り、ラーナの背後にはウイング王太子殿下も居るみたいだし……。これって、セドルにとっては四面楚歌状態なんじゃ……? この時の私は、そんなことを考えていた。


 あ、そういえばルークの告白の返答が有耶無耶になっちゃった……。まあ、そっちは今度でもいっか。流石に、今、返答するのは恥ずかしいし。
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