5 / 30
5話 優しさと怪しさ
しおりを挟む
突然のルーク公爵令息からの告白に、私は非常に戸惑ってしまった……。
「る、ルーク……い、いきなり結婚って……!」
「あ、ご、ごめん、ウェルナ。つい、本音が……!」
「ほ、本音って……!」
「うっ、しまった……」
最早、私達は会話をしていない。お互いに言葉を発してはいるけれど、途中までしか言えてないし。こんなシーン、誰かに見られたら大変だわ。絶対、からかわれる……。
と、そんなことを心配していると、いつの間にか開いていた入り口のドア。そこには妹のラーナの姿があった。
「姉さん、ルークさん、ふふふ」
「ラーナ……」
明らかに先ほどまでの会話を聞かれていたわね……。よりにもよって、ラーナに聞かれてしまうなんて。使用人ならともかく、彼女は後で根掘り葉掘り聞いてきそうね。
「でも、ラーナ。このタイミングで戻ってくるってことは、用事自体は済んだの?」
「ええ、姉さん。もうバッチリよ。ルークさんに出会ったのは偶然だけどね」
ラーナはウイング王太子殿下に会いに行ったはず。ルークに婚約破棄のことを話したのは彼女なんだし、冷静に考えると、ウイング王太子殿下とも、私の婚約破棄のことを相談しに行ったと考えるのが妥当かしら?
「ウイング王太子殿下とは、どういう話をしたの?」
「姉さんの婚約破棄についてよ。ウイング様も嘆いていらしたわ」
やっぱり……でも、ラーナの行動は素直に嬉しいと思っていた。私の為に、王太子殿下の宮殿に行ったんだから。それに、ルークにも感謝したい気持ちでいっぱいかな。
なんていうか……二人共、優しいわね、本当に。
「ありがとう、ラーナ、ルーク……その、私の為に……」
「姉さん? まだ、私は何もしてないわよ?」
私のお礼の言葉に、ラーナはキョトンとしていた。お礼を言われるのはまだ早いといった印象だ。
「セドル・ブロークンは許せないわ……私の大切な姉さんに……」
「既に王太子殿下に報告していたと思うけど、僕で良ければ力になるよ」
「ありがと、ルークさん」
……なんだか、怪しい雰囲気を醸し出している二人……。話しを聞く限り、ラーナの背後にはウイング王太子殿下も居るみたいだし……。これって、セドルにとっては四面楚歌状態なんじゃ……? この時の私は、そんなことを考えていた。
あ、そういえばルークの告白の返答が有耶無耶になっちゃった……。まあ、そっちは今度でもいっか。流石に、今、返答するのは恥ずかしいし。
「る、ルーク……い、いきなり結婚って……!」
「あ、ご、ごめん、ウェルナ。つい、本音が……!」
「ほ、本音って……!」
「うっ、しまった……」
最早、私達は会話をしていない。お互いに言葉を発してはいるけれど、途中までしか言えてないし。こんなシーン、誰かに見られたら大変だわ。絶対、からかわれる……。
と、そんなことを心配していると、いつの間にか開いていた入り口のドア。そこには妹のラーナの姿があった。
「姉さん、ルークさん、ふふふ」
「ラーナ……」
明らかに先ほどまでの会話を聞かれていたわね……。よりにもよって、ラーナに聞かれてしまうなんて。使用人ならともかく、彼女は後で根掘り葉掘り聞いてきそうね。
「でも、ラーナ。このタイミングで戻ってくるってことは、用事自体は済んだの?」
「ええ、姉さん。もうバッチリよ。ルークさんに出会ったのは偶然だけどね」
ラーナはウイング王太子殿下に会いに行ったはず。ルークに婚約破棄のことを話したのは彼女なんだし、冷静に考えると、ウイング王太子殿下とも、私の婚約破棄のことを相談しに行ったと考えるのが妥当かしら?
「ウイング王太子殿下とは、どういう話をしたの?」
「姉さんの婚約破棄についてよ。ウイング様も嘆いていらしたわ」
やっぱり……でも、ラーナの行動は素直に嬉しいと思っていた。私の為に、王太子殿下の宮殿に行ったんだから。それに、ルークにも感謝したい気持ちでいっぱいかな。
なんていうか……二人共、優しいわね、本当に。
「ありがとう、ラーナ、ルーク……その、私の為に……」
「姉さん? まだ、私は何もしてないわよ?」
私のお礼の言葉に、ラーナはキョトンとしていた。お礼を言われるのはまだ早いといった印象だ。
「セドル・ブロークンは許せないわ……私の大切な姉さんに……」
「既に王太子殿下に報告していたと思うけど、僕で良ければ力になるよ」
「ありがと、ルークさん」
……なんだか、怪しい雰囲気を醸し出している二人……。話しを聞く限り、ラーナの背後にはウイング王太子殿下も居るみたいだし……。これって、セドルにとっては四面楚歌状態なんじゃ……? この時の私は、そんなことを考えていた。
あ、そういえばルークの告白の返答が有耶無耶になっちゃった……。まあ、そっちは今度でもいっか。流石に、今、返答するのは恥ずかしいし。
1
あなたにおすすめの小説
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
夫に愛想が尽きたので離婚します
しゃーりん
恋愛
次期侯爵のエステルは、3年前に結婚した夫マークとの離婚を決意した。
マークは優しいがお人好しで、度々エステルを困らせたが我慢の限界となった。
このままマークがそばに居れば侯爵家が馬鹿にされる。
夫を捨ててスッキリしたお話です。
自称聖女の従姉に誑かされた婚約者に婚約破棄追放されました、国が亡ぶ、知った事ではありません。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。
『偽者を信じて本物を婚約破棄追放するような国は滅びればいいのです。』
ブートル伯爵家の令嬢セシリアは不意に婚約者のルドルフ第三王子に張り飛ばされた。華奢なセシリアが筋肉バカのルドルフの殴られたら死の可能性すらあった。全ては聖女を自称する虚栄心の強い従姉コリンヌの仕業だった。公爵令嬢の自分がまだ婚約が決まらないのに、伯爵令嬢でしかない従妹のセシリアが第三王子と婚約しているのに元々腹を立てていたのだ。そこに叔父のブートル伯爵家ウィリアムに男の子が生まれたのだ。このままでは姉妹しかいないウィルブラハム公爵家は叔父の息子が継ぐことになる。それを恐れたコリンヌは筋肉バカのルドルフを騙してセシリアだけでなくブートル伯爵家を追放させようとしたのだった。
婚約破棄を伝えられて居るのは帝国の皇女様ですが…国は大丈夫でしょうか【完結】
繭
恋愛
卒業式の最中、王子が隣国皇帝陛下の娘で有る皇女に婚約破棄を突き付けると言う、前代未聞の所業が行われ阿鼻叫喚の事態に陥り、卒業式どころでは無くなる事から物語は始まる。
果たして王子の国は無事に国を維持できるのか?
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる